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神楽の素朴な疑問

 

 

それは何の変哲もない、いつもの万事屋での出来事だった。特に依頼の無かったこの日、銀時はソファに寝そべってジャンプを読み、

神楽は定春と戯れ、新八はそんな二人に「遊んでばかりいないで…」と小言を並べながら部屋の掃除をしていた。

そんな穏やかな時が流れる中、神楽がふと思い出したかのように銀時へ質問した。

 

 

「そういえば、銀ちゃんは攻めアルか?受けアルか?」

「……はっ?」

 

 

銀時は一瞬、何を聞かれているのか分からなかった。

いや、一瞬後に質問の内容は分かったのだが、何故それを神楽に聞かれるのかが分からなかった。

 

 

「だから、銀ちゃんは攻めアルか?受けアルか?」

「えっ…いや、あの…えっ?」

 

 

銀時の恋人が土方十四郎という男だということは神楽も新八も知っている。土方がここに来るからと神楽をお妙に預けたこともある。

だが、神楽はまだ幼いし、新八だって未経験なのだ。その辺のことは今までも適当にボカして伝えていた。

それなのに神楽からこんな言葉が出るとは思えなかった。

 

 

「どっちアルか?教えるネ!」

「い、いや…あのよ…」

「かっ神楽ちゃん!そういうことは二人の問題だから…」

 

 

うろたえる銀時に、漸く神楽の質問を理解したらしい新八が助け船を出す。しかし神楽は譲らない。

 

 

「どっちか教えるだけでいいネ」

「その前にいいか?その…攻めとか受けとか、誰に教わった?」

「アネゴの友だちネ」

「友だち?」

「そうネ。アネゴの家に泊まり行った時、銀ちゃんとニコ中の話をしたら色々聞かれたヨ」

「あー…そう」

 

 

そういえば最近やたらとゴリラにスナックすまいるへ誘われる。「お妙さんがトシとお前を呼べと言うんでな」とか言ってたが…そういうことか!

ストーカーを黙らせるためとばかり思っていたが、店の女共で俺たちを観察するつもりだったのかよ…怖ェな、オイ。

いやー、行かなくてよかった。

銀時がそんなことを考えている間も神楽は話を続ける。

 

 

「それで、分からないって言ったら聞いてきてほしいって」

「神楽ちゃん、でもそれはちょっと…二人の秘密ってことでいいんじゃないかな」

 

 

はっきり言って新八は聞きたくなかった。新八にとっては銀時も土方も尊敬できる侍なのだ。それぞれ欠点がないわけではないが、

それでも新八よりもずっと強い男であることは確かだ。だから、そのうちのどちらかが女役をしているなどと考えたくはなかった。

二人がいいならそれでいい。二人の関係を否定する気などない。だが、だからといって全てオープンにしてほしいとは思わなかった。

 

 

「私も、銀ちゃんは答えにくいと思ったから、こないだ巡回中に会った…」

「まさか、土方に聞いたのか?」

「違うネ。腹黒ドSに聞いたアル」

「あっ、そう。沖田くん、ね」

「そしたらアイツ、コンドーム常備してるからニコ中が攻めだって言うネ」

「あー…」

 

 

もうダメだ…新八は諦めた。ついに知りたくないことを知ってしまった。しかも銀さんが…いや、これは二人の問題なんだ。

二人が幸せならそれでいいじゃないか!新八は自分に言い聞かせていた。

 

 

「だから私言ってやったヨ。コンドームくらい銀ちゃんも常備してるネ。だから銀ちゃんが攻めアルって…」

「ちょっ!おまっ、勝手に人の箪笥漁ったのか!?」

 

 

まさか神楽がそこまでしているとは思わなかった。銀時は焦り出す。

 

 

「ニコ中は銀ちゃんがお金無い時に買ってあげたに決まってるアル。でもアイツはニコ中が攻めだと譲らないネ。だから賭けをしたヨ」

「賭け?」

 

 

話がとんでもない方向に行ったと銀時は思っていた。

 

 

「そうネ。銀ちゃんが攻めだったら私の勝ちアル。アイツから酢こんぶ一年分もらえるネ」

「あー…残念だが、その賭けは成立しねェよ」

 

 

目を輝かせながら「どっちネ?」と聞く神楽の頭にポンッと手を置き、宥めるように銀時が言った。だが、神楽は納得しない。

 

 

「どうしてヨ?教えてヨ、銀ちゃん」

「神楽ちゃん、だからこれは他人が知っていいことじゃないんだよ」

 

 

曖昧なままこの話題が終わってほしいと新八は願いながら神楽を諭す。

 

 

「ドSはニコ中に聞くって言ってたネ。でもアイツのことは信用ならないから銀ちゃんに聞きたいアル」

「…あー、分かった。もう土方も巻き込まれてんじゃ仕方ねェな。沖田くんのことだから、何としてでも聞き出すんだろうし…」

「じゃあ、教えてくれるアルか?」

「あーあー、教えてやるよ…」

 

 

遂にこの時が来てしまった!新八もここまで来たら聞かないワケにはいかなかった。大丈夫だ。どっちがどっちでも何も変わらない。

二人とも立派な侍だ……自分でも何をしてるかよく分からなかったが、新八は心の中でそう繰り返していた。

 

 

「えー…特に決まってません」

「「……はっ?」」

 

 

銀時の発言に、新八と神楽はきょとんとした顔をする。

 

 

「だからー、どっちが攻めとか受けとか…そういうのは決まってねーの」

「…いい歳した大人が、清い関係とでも言いたいアルか?」

「銀さん…さすがにそんなんじゃ騙されないですよ」

「違ェって。決まってねーってのはそういうことじゃねーよ」

「じゃあ、どういうことネ」

「どっちもヤんだよ。攻めの時もあれば受けの時もあんの」

「順番こアルか?」

「あー、まあ、そんな感じ…」

「何で決めないネ」

「決める必要ねーだろ?男同士なんだからよー。どっちもできんだから、どっちもやればいいだろ?」

「それもそうアルな…」

「はいっ!そういうことでこの話はおしまい!それから神楽、これは万事屋メンバーだから話したんだからな。

このことは他のヤツらに言うんじゃねーぞ」

「分かったアル」

 

 

 

これでお妙の友だちとかいうヤツらに余計な情報はいかなくなる。銀時は一安心してジャンプに戻った。

そして、新八もなぜだかホッと胸を撫で下ろすのだった。

 

 

 

<おまけ>

 

屯所での沖田と土方の会話

 

「土方さん、ちょいと聞きたいことがあるんですが…」

「なんだ」

「アンタと旦那のことでさァ」

「俺と銀時?」

「そうでさァ。アンタと旦那、どっちがネコなんで?」

「…何でンなことを答えなきゃなんねーんだよ」

「言えないっつーことは、まさかアンタがネコですかィ?」

「俺が言ってんのは、何でおめーがそんなことを聞くのかってことだよ」

「チャイナと賭けをしたんでさァ」

「賭け?」

「アンタがネコだったら俺はチャイナに酢こんぶ一年分やらなきゃなんねェんで、真面目に答えてくだせェ」

「勝手に人を賭けの対象にしてんじゃねーよ」

「チャイナも旦那に聞いてると思うんで、嘘ついてもダメですぜィ」

「あー…残念だが、その賭けは成立しねェな」

「どういうことですかィ?まさか未だに清い関係なんて言いませんよねィ」

「違ェよ。決まってねーんだよ」

「へっ?」

「だからー、どっちもやんだよ」

「順番にやるんですかィ?」

「まあ、そんな感じだ…」

「へェー、そんなこともあるんですねィ」

「…分かったら仕事に戻れ」

「へいへい…」

 

(09.10.05)


十代三人は一つ大人になった…というところでしょうか(笑)。ただ、既に二人がデキてることは知られているので、今更銀さんが口止めしても乙女たちの妄想は止まらないと思います。

というか、妄想が止まらないのは私です(^^; ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

 

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