会えばケンカする無自覚な2人

「土方さん、あれ…」

真選組の副長・土方十四郎がいつものように市中巡回をしていると、一緒にいた一番隊隊長・沖田総悟から声がかかった。沖田が指した方を見ると、万事屋の3人がこちらに向かって歩いている。買い物帰りなのか、手にはスーパーの袋らしきものを持っていた。

目障りな野郎に会っちまったぜ…そう思いながらも、土方は万事屋の一行―正確に言えばその中央にいる人物―から目が離せないでいた。そのうち、眼鏡の少年が中央にいる人物に何やら話したと思ったら、その人物―坂田銀時―がこちらを見た。銀時がこちらを見れば、銀時の方を見ていた土方と当然ながら目が合う。目が合ったからといって逸らすのは相手に負けた気がして、見詰め合ったまま互いの距離が縮まっていった。

「「……」」

相手の目の前まで来たはいいが、何を言ったらよいか分からない2人は、黙って見詰め合ったままである。2人の異様な雰囲気を感じ取って、一緒にいた万事屋の従業員2人と沖田も黙っていた。

しばらくして、元々気の長い方ではない土方が口を開く。

「よ、よう」

「…よう」

「……」

「……」

沈黙が破られたことに些かホッとしながら、銀時も挨拶を返す。しかし、その後再び沈黙が訪れてしまう。

またしても、先に動いたのは土方だった。

「じゃあな」

土方が、もう用はないとばかりに万事屋一行の横を通り過ぎようとしたそのとき

「えっ…ちょ、おいィィ!」

「あ?何だよ」

「何だじゃねーよ。そっちから声かけてきたんだろーが。」

「俺はただ…あ、挨拶しただけだ」

「はぁ?挨拶って…それにしたって、もうちょっと、こう、何かあんだろ?銀さん、今そんなに忙しくないから、話し相手になってやらなくもないよ」

「あぁ?テメーはいつだって暇だろうが。だいたい、テメーと話すことなんてねえよ。」

「…じゃあ、何で話しかけてきたんだよ!」

「だから、挨拶しただけだっつってんだろーが!テメーこそ、俺と話したいならそう言え!」

「はぁぁ?誰がテメーと話したいなんて言ったよ!」

「俺が行こうとしたら、テメーが引き止めたんじゃねェか!」

「そもそも、声をかけてきたのはそっちだろ!」

「知ってるやつがいたら声かけるのは普通だろうが!…あー、クソ!もう金輪際テメーには声をかけねェよ!!」

「望むところだ!!」

互いにチッと舌打ちをして反対方向に歩いていく。その後ろを、沖田と万事屋従業員2人はそれぞれ追いかけていく。

追いついた沖田が土方に問いかける。

「土方さん、いいんですかィ?」

「あぁ?何がだ?」

「今後、万事屋の旦那と口きかねェんで?」

「けっ、何の問題もねえな」

「そうですかィ」

一方、新八も銀時に問いかける。

「銀さん、いいんですか?」

「あぁ、何が?」

「土方さんに、あんなこと言っちゃって…」

「べーつにー、何の問題もないねー」

「はぁ、そうですか」

「新八ィ、ほっとくアル。アイツらじゃれてるだけヨ」

「ちょっ、神楽、オメー何言ってんの?」

「そうだよ、神楽ちゃん。どう見てもケンカしてたじゃないか」

「はぁー、これだからお前はいつまでたっても新八アル」

「名前、関係ないだろー!」

(09.07.23)

photo by スマイルライン


何だかよく分からない話を読ませてしまってすみません。でも、こういう付き合う前のいちゃいちゃって好きです。こんなところまで読んでいただいて、ありがとうございます。あと、タイトルって何ですか(^^;)

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