後編
「…食ってもいいのか?」
「どーぞどーぞ。」
土方はやや興奮気味にマヨボトルのキャップを開け、先端に口を付けてチュウと吸った。
「うっ…(なんか、エロいぞ…)」
うっとりとした表情でマヨネーズを啜る土方の姿が昨夜思い描いたものと重なり、
銀時は思わず股間を押さえた。
「…どうしたんだ?」
「あ…何でもない。えっと…美味しい?」
「ああ!すっげぇ美味いぞ!」
「そ、そっか…(こんな台詞もあったよーな…)」
ますます脳内妄想とリンクし、銀時はそわそわと落ち着きがなくなる。
土方は高級マヨネーズを一口だけ味わうと、また丁寧に元の箱へ戻した。
「おい…腹でも痛ェのか?」
「いや、あの…」
「…!」
銀時の身体の変化に気付き、土方はそれまでの表情を一変させ、蔑んだ目で銀時を見る。
「テメー…何おっ勃ててやがる!」
「な、何って…ナニでしょ?」
「何でこの状況でおっ勃ててるのか聞いてんだ!つーか、ヒトの台詞パクるんじゃねェ!」
「ごめんごめん…」
「…で、何でだよ。そんなに切羽詰まってたのか?」
「まあ、一ヶ月ぶりだけどね…。でも、こうなった原因はマヨネーズ啜る姿がエロかったからだよ。」
「はぁ!?」
土方は思い切り顔を顰める。
「またテメーはわけの分からねェことを…」
「だってさァ…ちょっとハァハァしながらマヨ咥えるトコとか、昨日、俺のチ○コ咥えてたミニ方くんに
そっくりだったんだもん。」
「…いい加減、現実と妄想の区別を付けろ。ていうか、俺で勝手な妄想すんじゃねーよ。」
「いや〜…でも凄かったんだって、昨日のミニ方くん。自分で後ろ弄った挙句『入れて♥』って
可愛くおねだりなんかしちゃってさァ…そんなミニ方くんとお前がダブったからつい…」
「ダブったって…俺がオリジナルだろ。」
銀時があまりにも楽しげに「ミニ方」のことを話すものだから、土方によく分からない嫉妬心が芽生える。
「…詳しく話せ。」
「土方…?」
「昨日、小さい俺と何したか話せ。」
「えっ…あの、何で?」
「…話せねェなら浮気と見做す。」
「ちょっ…えぇっ!それはないでしょ!…先月の仕返し?」
「いいから話せ。…話せねェのか?」
「わ、分かったよ。…話せばいいんだな?」
話せと迫る土方の目は真剣そのもので、逃れられないと悟った銀時は昨夜のことに思いを巡らせた。
「えっと…ミニ方くんはベッドに座って、自分でチ○コ擦って、後ろにも指突っ込んで、
俺はそれをソファに座って見てて…」
「はぁ!?チッ……それで?」
勝手な妄想しやがってと怒鳴りたくなったが、自分で聞いた手前それを抑えて続きを促した。
「それで、えっと…指だけで我慢できなくなったミニ方くんは、自分でくぱぁって穴広げて、
『ここに入れて』って…。それから、俺のチ○コをしゃぶって勃たせて挿入するっていう…」
「〜〜〜!」
予想を遥かに上回る淫らな妄想に土方は頭を抱えた。
だがそれと同時に、自分とあまりにかけ離れた「ミニ方」の姿にふつふつと怒りがこみ上げてくる。
土方は無言でソファから立ち上がった。
「あ、あの…?」
「…着物は?」
「へっ?」
「小せェ俺は、そん時なに着てたかって聞いてんだよ!」
「え、えっと…何も着てなかった、かな?」
「チッ…」
土方はイラついた様子で帯を外しながらベッドへ向かう。
「…土方くん?」
「テメーはそこに座ってろ!」
帯を投げ捨て着流しも脱ぎ捨て、土方はベッドを前に拳を握り下唇を噛みしめる。
室内は妙な静寂に包まれていた。
土方は大きく息を吐くと意を決して下着を脱いでベッドへ上がる。
枕を背にして胡坐をかき、正面の銀時を睨み付けた。
「あ、あのー…一体何を?」
「テメーの妄想なんかにゃ負けねェ。」
「はい?」
「くっ…!」
「えぇっ!!」
視線を銀時から外し、土方は自分のモノを左手で握り、ゆっくりとその手を上下に動かし始めた。
銀時は驚いて立ち上がる。
「土方!?」
「動くんじゃねェ!…テメーは座って見てたんだろ。」
「えっ、あ…うん…」
「―っ!くっ…んっ!」
土方は半ばヤケになって自身を扱いていく。
銀時はただただ呆気にとられていた。
(何?何なの、これ!?えっ…夢?またミニ方くん出てきちゃった?…いやでも、土方くんだよね?
正真正銘本物の土方くんだよね!?えっ…何で?何で土方くんがこんな大サービスしてんの?
今日、ホワイトデーだよ?むしろ、こっちがサービスする方だよ?…そういやさっき、『妄想には
負けない』とか何とか…。えっ…もしかして俺の脳内のミニ方くんに嫉妬、とか?
『俺の方がお前を興奮させられるぜ』的な?うおぉぉぉっ…マジでか!?)
状況を理解した銀時は土方の姿を食い入るように見詰める。
土方は羞恥で頬を染めながらも一物は真上を向いていた。
ごくり―銀時の喉が鳴る。
土方は膝を立ててやや足を開き、左手で一物を握ったまま、右手の中指を唾液で濡らして
それを後孔へ押し当てた。
「くっ…!」
(ままままじ!?後ろ、自分じゃ触ったことなかったのに…)
中指を根元まで埋めてゆっくり引き抜き、また埋める。
土方の身体は快感で小刻みに震えていた。
「つっ…ぁ…くっ!」
(自分で感じてる?…そっか、後ろは久々だから…)
土方はこれまで、自身で後ろに触れたことがなかった。
一ヶ月ぶりに銀時と会ったということは、一ヶ月間そこへ刺激を受けていなかったということで、
そこは、初めて行う自身の拙い指の動きにも反応してしまうほど敏感になっていた。
「…ぁ、くっ!ハァッ…っ!」
(歯ァ食いしばって耐えてんのに、つい声が漏れちゃうとことか、たまんねぇな…)
土方は一度指を抜き、今度は人差し指と中指、二本まとめて挿入していく。
「くっ…!ぁ、あ…」
入口付近で若干の抵抗はあったものの、二本の指はずぶずぶとナカへ埋められていった。
「ハァッ…あっ!んんっ…っ!」
抜き差しするたび、先程より強い快感が湧き上がり、土方は徐々に声を抑えられなくなっていく。
握っただけになっていた一物からもとろとろと先走りが漏れ出る。
「くっ…あっ!んぅっ…はぁっ!」
(エッロ…!何このエロさ!!ちょっ…もう我慢できねェんだけど!早くあのエロい穴に俺のチ○コ
突っ込んで、もっともっとエロく啼かせてェっ!!)
銀時の股間は着物の下でカチカチに硬くなっていた。
「はぁっ……ろず、や…」
「な、なに?」
吐息交じりに呼ばれ、銀時は声を上ずらせる。
土方は二本の指の指先だけをナカに入れ、その指を開いて入口を広げた。
「こ…こに…いれ「喜んでっ!!」
言い終わらぬうちに銀時はベッドへダイブして土方を押し倒した。
「お、おい!…まずは口で…」
「そんなのあと!もう我慢できないっ!!」
予定が狂い戸惑う土方を押さえ付け、銀時は土方のナカへ一気に自身を突き入れた。
「うあっ!」
「くぅっ!!」
挿入と同時に一物から白濁液が吐き出された――銀時の。
「よ、よろずや…?」
「るせェ!お前のせいだからな!?お前がエロすぎるからいけないんだっ!!」
「はぁ?テメーなに言って…」
「もう今夜は寝かさないから覚悟しろ!!」
「待っ…ああっ!!」
回復を遂げた銀時が律動を始めると、土方からは嬌声しか上がらなくなる。
こうして恋人達のホワイトデーは過ぎていった。
(11.03.16)
バレンタイン小説書いた時に「ホワイトデーは18禁!」みたいなことを言ったので、18禁にしたのですが…エロ中心になってしまい全然ホワイトデーっぽくない話に^^;
前編冒頭のありえないデレ方さんも楽しいですが、やはり土方さんはツンデレですね^^ 妄想の自分にすら嫉妬してしまう土方さんは可愛いと思います。
銀さんは折角レアマヨで点数上がったのに、妄想癖(?)のせいでプラマイゼロです(笑)。まあ、色々あっても結局ラブラブな二人なんですよ^^
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ブラウザを閉じてお戻りください