後編
十二月二十五日夜十時頃、土方は仕事を終えて万事屋を訪れた。
「お疲れ様。…意外と早かったじゃん。」
「まあな。」
得意気に口角を上げた土方に、銀時はもう一度「お疲れ様」と言って和室へ通す。
「炬燵、温まってるから入ってて。…メシは?」
「まだ。」
「じゃあ一緒に食おうぜ。」
「…待っててくれたのか?悪ィな…」
「気にしなくていいよ。一緒に食った方が美味いし…」
土方は礼を言って炬燵に入り、銀時は食事の支度をしに台所へ向かった。
* * * * *
「そんで神楽がよー…」
「ハハッ…相変わらずだな…」
銀時の手料理を食べながら、二人は会話に花を咲かせる。
「さてと…メシも食い終わったし、次は風呂だな。…俺はもう入ったからどーぞ。」
「そうか?」
「着替えとタオルは脱衣所に置いてあるからな。」
「おう、用意がいいな…」
浴室へ向かう土方は、銀時が背後でニヤリと笑ったのに気付かなかった。
* * * * *
「おい銀時!ちょっと来い!ふざけんなテメー!」
暫くして銀時は浴室から大声で呼ばれた。
「はいはい何ですか…。夜中に大声出すなよ。」
銀時が浴室へ向かうと、下着姿で肩にバスタオルを羽織った土方が用意された着替えを持って怒りに
震えていた。
「お前、その格好…」
「はーい、銀サンタで〜す。」
「何だよ銀サンタって…」
浴室に現れた銀時は、昨夜屯所に来た時と同様、サンタクロースの格好をしていた。
「クリスマスなんだからそれっぽい格好した方が盛り上がるだろ?お前の持ってるサンタ服は銀さんから
もう一つのプレゼント。」
銀時は土方の持っている赤い服を指差した。
土方はそれを床に叩き付ける。
「恋人からのプレゼントを投げ付けるって、どーゆーことだ!」
「どういうことだはこっちの台詞だ!いいから普通の着替えを持って来い!」
「おいおい土方、空気読めよ…。俺はね、コスプレエッチでクリスマス気分を満喫しようって言ってんの。
…この後、ヤるんだろ?」
「じゃあテメーが着ろ。俺はテメーが今着てるヤツを着る。」
「えー…ヤダよ。俺、スカートなんて履きたくねーもん。」
銀時が用意したのは赤いミニ丈のワンピース。袖と襟に白いファーが付いており、縦に三つ大きな白い
ボタンが並んでいる。土方とて、サンタクロースの格好くらいならしてもいいと思っている。
けれど女装となれば話は別である。
「テメーは自分が着たくねェ服を俺に着ろっつーのか?あ!?」
「ちょっとしたジョークじゃん。…まあ、そんなに嫌なら着なくていいけど…その代わりヤらねーから。」
「はぁ!?」
「今夜はサンタ同士で絡み合うつもりだったのに…お前が着ないんじゃヤる気失せる。」
「…お前、マジでこんな服着た俺に抱かれるつもりだったのか?」
「ああ。でも着ないならヤらねー…」
「………」
土方は考えた。
ここで「着ない」と突っ撥ねれば銀時は本当に何もさせてくれないだろう。それでは折角年末の忙しい
時期に無理して会いに来た努力が水の泡である。それだけは何としても避けたい。それならワンピースを
着ればいい…。そもそも、行為が始まってしまえば服なんて関係ないのではないか。銀時の格好だって
下を脱がせばミニワンピースと同じようなものだ。だいたいこれは銀時からのプレゼントなんだ。
プレゼントなら、例え自分の趣味でなくても一度くらいは使ってやるのが大人の嗜みってもんだ。
…そうだ!
「分かった…。着てやる。」
「マジで?」
土方はワンピースを頭から被って着た。思った以上に丈が短く、下に履いているボクサーパンツが
ぎりぎり隠れるくらいだったが、この際目を瞑ることにする。
「よしっ、ヤるぞ!」
「…おう。」
覚悟を決めた土方の迫力に圧倒されそうになりながら、銀時は土方について和室に向かった。
「なあ、これも付けてみてくんねぇ?」
「あ!?」
銀時の手には三十センチ程の長さの黒髪が一つに纏まっている形の付け毛。土方は半ばヤケになって
それをひったくるようにして受け取った。
「これを頭に付ければいいんだな!」
「そうそう。…そこのピンで止めればいいだけだから。」
「チッ…」
土方が頭頂部にウィッグを付けると、ポニーテールのような髪型になる。
「おー、似合う似合う。」
「そうかよ!」
「オメー昔、ポニーだったんだろ?」
「ただ束ねてただけだ。…女の髪型と一緒にすんな。」
「いやいや一緒だろ。…よし来い、ポニーサンタ土方!」
「変な名前付けんな…」
土方は呆れながらも銀時を布団に寝かせて覆い被さった。
* * * * *
「んっ、ふっ…」
唇を合わせながら土方は銀時のズボンを脱がせていく。
「ハッ…エロい格好だな。」
「くそっ…」
上着一枚になった銀時を見て、土方はフッと口角を上げた。銀時は上着の裾を引っ張り、
口付けだけで反応し始めた下半身を隠そうとする。
「ンなことしても無駄だぜ。もう大分デカくなってるからな…」
「るせぇ…あっ!」
土方の手が銀時のモノに触れた。
「随分ヨさそうじゃねーか…。お前、マジでこの格好に興奮してんのか?」
「違、う…くっ!」
銀時は否定したものの、土方が軽く握っただけで銀時のモノはぐんぐん育っていく。
「んっ…くっ…はぁっ!」
「テメーがかなりアレだってのは分かっていたが…まさか俺の女装に反応するとはな…」
「だ、ら…違、うって…」
「じゃあコレは何なんだよ。…もう我慢汁垂れてるぜ?」
「あっ、待っ…」
土方は一物を咥え込む。
自分の脚の間で長い黒髪が揺れるのを見て銀時は、急速に下半身が重くなるのを感じた。
「やっ…ダメっ!あっ、くぅっ!」
あっという間に訪れた射精感を銀時は何とか堪えようとするが、身体は解放を求めて震え出す。
「あっ、あっ、あっ…」
銀時が我慢の限界を感じた頃、土方は後孔に指を挿入した。
「ああぁっ!!」
敏感なところを内側から触られ、銀時は堪え切れずに達した。土方の指が尚もぐにぐにと動く。
「やっ…あぁっ!ひ、じかた…ヅラ、はずせっ!」
「あ?コレしてた方が感じんだろ?」
「…んなことなっ…ああっ!!」
銀時の脚を抱え上げ、土方は一気に自身を銀時へ挿入した。
「だめだめだめっ…ああっ!」
「くっ…すげぇ締め付け…」
間髪入れずに律動を始めた土方に銀時の泣きが入るが、土方は腰の動きを止めようとはしない。
「ひあっ!やっ…ああっ!」
彷徨うように上がった銀時の腕を自分の首に回し、土方は腰を打ち付け続ける。
「やぁっ!…また、イキそ…」
「いいぜ…イケよ。」
土方が激しく腰を揺らすと、銀時は土方に回した腕に力を込め、縋るように土方の服を掴んだ。
「あぁっ!…あっ、んっ…っああぁ!!」
「っ!!」
赤い服に銀時の白濁液が飛び散り、その直後、土方は銀時の内部に欲を放った。
恋人達のクリスマスは更けていく。
(10.12.23)
photo by 素材屋angelo
前編が折角いい話っぽい感じで終わったのに何かすみません^^; クリスマスらしいエッチを…とか考えていたら、銀さんといちゃいちゃするためなら多少の恥は厭わない
M気質な土方さんと、土方さんを女装させてからかうつもりがハァハァしてしまい困惑する銀さんという、誰も望んでいないようなエロシーンになってしまいました^^;
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。 よいクリスマスをお過ごしください。
銀土版はこちら→★