後編


万事屋銀ちゃん事務所。長イスの上に横向きに座らされた銀八の脚の上に銀時が跨る。
ベルトを外そうとしてくる銀時の手を銀八は必死に拒んでいた。

「やめろって!」
「まあまあ…遠慮しなくていいって」
「遠慮とかじゃねェ!嫌だって言ってんだよ!」
「なんで?一人エッチみたいなもんだろ?」
「明らかに二人だろ!」
「でも触るだけで入れないからさァ…」
「そういう問題じゃねェ!」
「銀さんがすれば、一人エッチと二人エッチのいいとこ取りだと思わねェ?」
「本当に…何でそう、ヤりたがるんだよ…」
「せっかくのチャンスは活かさないと!」
「別にチャンスでも何でもねェよ」

銀時は一旦ベルトから手を離し、銀八の肩を掴んで諭すように言った。

「先生…よーく考えてみて。先生は教え子である土方くんと、卒業まではお付き合いしないと…」
「卒業したって付き合わねェかもしれねーよ」
「まあとにかく、最低でもあと半年は独りモンなわけだ。…もしかしたらもっと長いかもしれない」
「…だから何だよ」
「先生だってまだ若いんだしさ…ムラムラすることだってあるだろ?毎回一人でってのも寂しくね?」
「…別に」
「そりゃあ、土方くん以外の誰かとする気にはならないだろうけど…銀さんは別だろ?」
「だからって…」
「実際のところ…溜まってんでしょ?」
「ちょっ、んんっ!」

銀時は素早く右手を下ろして銀八の股間を服の上から撫でた。

「おっ、いい反応♪」
「てめぇ…くっ!」

銀八の制止を聞かず、銀時は股間を撫で続ける。

「ほらほら〜、ちょっと触っただけでこの反応って…やっぱ溜まってんでしょ?」
「もっ…やめっ…」
「やめてどうすんの?一人でヌく?…それなら銀さんがヌくのと同じでしょ」
「……くそっ。一回だけだからな…」

遂に銀八は観念した。銀時の言うように、久しぶりの「他人」の感触に身体はかなり昂ぶってきていた。

「じゃあ横になってー」
「嫌だ」
「おいおい…ヤる気になったんじゃなかったのかよ。先生が嘘吐いちゃダメだろ〜」
「ヤらないとは言ってねェ。ここまできたらヤるしかねェしな…」
「だったら横になってよ」
「だからといって見下ろされんのは趣味じゃねェ」
「…さすが先生。受け身でもドSは健在ってか?」
「お互い様だろ」

二人は不敵な笑みを浮かべ合う。

「じゃあ座ったままでヤりますか…それなら布団の上でどう?」
「ああ」

二人は隣の和室に入っていった。


*  *  *  *  *


「本当に俺と全く同じ体型なんだな…」
「当たり前だろ」

万年布団の上、ワイシャツだけを肩に羽織り、銀八は銀時の前で胡坐をかく。
銀時も着流しを脱いで銀八の前に座った。

「だってさ…先生よりも侍である俺の方がカラダ鍛えてそうじゃん」
「教師は教師で色々あんだよ…」
「そうなんだ。では…」
「んっ…」

銀時は勃ち上がりかけている銀八のモノをそっと握り、ゆっくり上下に動かした。


「ハッ…あ…」
「ほーんと、いい反応。もしかして、一人でもあんまヌいてないの?」
「うっせ…あっ!…黙って、扱け…」
「なに?女王様受け?」
「そんなんじゃ、あっ…ねぇよ。言葉責めが…いやな、だけだ…」
「あー、そうね…。銀さんも、言葉責めするのはいいけど、されるのは嫌だな…。じゃあ…」
「くっ…あぁっ!」


銀八のモノを両手で包み込み、片手で尿道口と括れを、もう一方の手で双珠を刺激する。


「あっ…んんっ!くっ…」


先端から漏れ出た雫を一物全体に塗り広げると、銀時の手が動くたびに粘着質な音が鳴った。


「は、あっ…んっ…あぁっ!」


感じるところを的確に、そして自分でするより丁寧に刺激され、銀八は姿勢を保つのが難しくなった。
それでも横にはなりたくなくて、正面にいる銀時の肩に縋りついた。


「あっ、あっ、あっ…」
「…横になるか?」
「い、やだ…」
「楽な姿勢になった方が気持ちいいだろ?」
「いや、だっ…あっ!」
「…まぁ、気持ちは分かるけどね」


銀時も、逆の立場だったら銀八に身を任せるようなことはしないだろうと思っていた。

(土方の前だったら結構何でも平気なんだけど…先生はその経験もないんだろうな…)

銀時は自分の肩に回っている銀八の腕をそっと外した。

「ちょっと待ってて。俺も脱ぐから」
「…あ?」

意味も分からず銀時を見詰める銀八をそのままにして、銀時は着ていた黒の上下と下着を脱ぎ
最初に脱いでいた白い着流しを再び羽織った。

「何だよ…」
「銀さんのも一緒に扱こうと思って」
「…アンタは恋人がいるんだろ」
「その恋人が暫く来られないみたいだからね…」

銀時は自分のモノを数回擦って勃たせると、銀八の脚を崩させる。
片側の脚で自分の脚を跨がせ、もう一方は銀時が跨ぐとグッと腰を近付ける。
そして微かに触れ合う二本のモノをまとめて握った。


「ちょっ…んんっ!」
「一緒に擦るとさァ…普通に擦るより気持ちよくね?」
「っ…知るかっ…!」
「あ、そうか…銀八先生はまだ男経験ないんだったね…」


銀時はまとめたモノを扱き始めた。


「あっ、あっ…あぁっ!」
「どう?気持ちいいでしょ?」
「ま…待て!やばいっ!」
「イッていいよー」


銀八のモノから溢れ出した体液を自分のモノにも絡め、ぬちゃぬちゃと音をたてて扱いていく。


「あ、くっ…て、めーも…イケっ」
「うあっ」


銀八は震える身体に叱咤して銀時のモノに触れた。先端の孔に指先を捻じ込み
グリグリ刺激すると、銀時のモノからも先走りが漏れ出てくる。


「ハッ…先生なに?銀さんと一緒にイキたいんですかー?」
「へっ…先にイッてもいいんだぜ?」
「冗談言うなよ。俺ァ、今始めたばっかだからね。先にイクのは先生の方でしょ」
「うあっ!」


銀時は二本の竿を激しく扱いた。その上で、銀八が自分にしているのと同じように銀八の先端を
弄ってみた。銀八の身体がびくびくと震える。


「やめっ…あぁっ!んんっ!…くっ…ぁ…んんっ……ああぁっ!!」


二人の手が銀八の精液に塗れた。
久しぶりに「他人」の手で達した銀八はドサリと布団の上に転がった。

「…横にならないって意地張ってたけど限界?」
「ハァ、ハァ…るせぇ……疲れた…」
「はい、ティッシュ」
「ああ…」

横になったまま銀八は自分の手をティッシュで拭った。

「俺、ちょっと厠行ってくる」
「ああ…」

銀時は着流しの合わせを軽く閉じ、未だ昂ぶったままの自身を宥めるために厠へ向かった。

(本当に疲れたな…。他人に触られるなんて何年ぶりだ?アイツのこと気になってから全然…)

そんなことを考えながら、銀八はゆっくりと瞼を閉じた。



*  *  *  *  *



「やべっ、一瞬寝ちまった!…あ、あれっ?」

銀八が次に目を開くと、ベッドの上に寝ていた。

(どこだここ…。万事屋じゃないことは確かだ…むしろ、「俺の世界」に近い感じがする…)

銀八はベッドから下り、自分と一緒にこの場所へ来ていた下着とスラックスを履いて
室内を見回してみた。

(…ウチのクラスの誰かの部屋ってのは間違いなさそうだな)

部屋には何枚ものクラス写真が飾られていた。遠足、体育祭、文化祭、修学旅行…

(集合写真ばっか飾るってのも珍しいな…そんなにクラスが気に入ってんのかね)

自分の受け持つクラスが気に入られるのは、担任として少し誇らしい気分だった。
その時、部屋の扉が開いた。

「えっ…先生!?」
「なんだ…ここ、土方の部屋だったのか」

部屋に入ってきたのは土方であった。

「ああ、悪ィ…驚かせちまって。俺にもよく分かんねェんだけど、気付いたらここにいたんだ。
信じられないかもしれないけど本当なんだって。別に不法侵入したわけじゃねェから…」
「大丈夫です。その…分かってますから」
「分かってる?何が?」
「先生、万事屋にいたんでしょ?」
「…なんで、知ってんだ?」
「実はさっきまでそこに土方さんが来ていて…」
「もしかして、真選組副長の土方か?」
「はい。それで、その…」

土方の顔が見る間に赤くなっていく。

「どうした?」
「いっ、いえ!何でもないです!」
「明らかに何でもないって顔じゃねェだろ…」
「いや、本当に…何でもないんで!」
「いいから言ってみろ。…怒らねェから」

土方は銀八に促され、渋々口を開いた。

「実は、その…テレビに、先生達が映って…」
「テレビって…あのテレビか?」

銀八は部屋の中にあるテレビを指差した。

「はい…」
「これに、俺と銀さんが映ってたってわけ?」
「はい」
「音声付きで?」
「はい」
「…どこから見てた?」
「えっと…先生が、家で寝てたら向こうの世界に行ってたと言った辺りから…」
「……ほとんど最初っからじゃねーか!」
「す、すいません…」

銀八に大声を出され、土方は反射的に謝った。

「み、見られた?アレを?」
「あっあの…途中までしか、見てませんから!」
「…途中ってどこだよ」
「画面が真っ暗になった時、俺は見ちゃダメだって…だから…」
「え?お前、あれでテレビ消したの?何で?」
「何でって…高校生は見るなと…」
「それでもさァ…見たくなるモンだろ?いや、俺は見られてなくて良かったけどよー…
黙ってりゃ分かんねェのに、真面目だねぇ…」
「だって、土方さんもいましたし…」
「そうか…警官が一緒にいたんじゃ無理だな…」
「そ、それで、あの…先生は、俺のこと…」

期待の籠った視線を送る土方の頭に銀八はポンと手を置いた。

「その話は後でな」
「…俺が卒業した後で、ですか?」
「分かってんじゃねェか。…じゃあ、そろそろ行くな」

出口に向かう銀八の背中に土方が呼びかける。

「先生…」
「ん?」
「誕生日、おめでとうございます」
「どーも」
「…来年の誕生日は、何がほしいですか?」
「………とりあえずケーキ」
「あ、ありがとうございます!」

満面の笑みで礼を言う土方を前に、銀八は照れくさくなって頭をガシガシと掻いた。

「何でくれる側のお前が礼を言ってんだよ…」
「だって、だって、来年ってことは…」
「あー…それも後で、な」
「はいっ!」
「…よし。じゃあ、今度こそ行くな」
「はい。…あっ、玄関まで送ります」
「ああ」

玄関へ行くと、万事屋に置いてきたはずの銀八の靴がちゃんと置いてあった。

「つくづく不思議な体験だったな…」
「でも…俺は良かったです。おかげで、日曜なのに先生に会えました」
「…そうだな」
「先生…」
「土方…また、後でな」
「はい。また、後で」

銀八は後ろ手に手を振って土方家を後にした。

二人が新たな関係を築くのはこれから半年先の話。

(10.10.08)

photo by 素材屋angelo 


2010年銀誕記念小説は銀×銀でした^^ 銀×銀を見たいと言って下さった方がいたので…。土×土の時(2010年土誕)みたいに攻銀×受銀でも良かったのですが

銀さんは色んなバリエーションがあるので、普通の原作設定同士じゃ勿体ないなと…。現在設置してある銀誕版拍手で銀八先生の台詞が少ないのは、これに出てくる

予定だったからです。最終的に銀八先生が主役みたいになってしまった^^; 3Zの二人はこの後もちろんくっ付きます。前編で銀さんが言っていたように、このサイトの

二人はどうあってもくっ付く運命です(笑)。タイトルは、銀さん同士で祝い合うということから。作中で「日曜」と言っているのは今年の10月10日が日曜だからです。

銀さんと銀八先生が会っていた頃の土方sは「おまけ」で書きました