後編
翌日二十一時少し前、土方が万事屋の横の路地に入ろうとしたところ、銀時が上から声を掛けた。
「上がれよ」
「………」
土方は無言で万事屋へ続く階段を上がっていく。
(いつもなら俺を家に上げるなんてしねェ。その辺の路地でヤって終わりだった。なのに…)
銀時の行動に戸惑いつつも、それを表には出さないようにして玄関をくぐる。
「久しぶり。出張大変だった?」
「まあ、それなりに。…ガキ共は?」
「いたらオメーを呼べるわけねーだろ」
「そうだな…」
「…ここでしゃべってても仕方ねぇし、入れよ」
「ああ」
土方は和室に通された。そこには既に布団が敷かれていた。布団でするのは初めてだと土方は思った。
「全部脱いで、布団の上に四つん這いになって」
「………」
銀時の言葉に従って土方は着流しと下着を脱ぎ、布団の上に四つん這いになった。
意外にも清潔感のある触り心地であった。おそらくシーツは洗いたてで、布団も日中に干していたのだろう。
「っ…」
土方の臀部に銀時の手が触れた。ヌルつく感触から、潤滑剤のようなものを塗っているのだと判った。
そのようなものを使われるのも初めてだった。いつもは唾液か精液で済ませている。そもそも、銀時が
土方との行為のために何かを準備したことなどなかった。土方はいきなり挿入されても平気なように
いつも自分で後孔へ指を入れて解してから銀時と会っていた。
けれど銀時から言わない限り、土方からいつもと違う理由を聞く気はなかった。
銀時の指が土方の内部に侵入していく。
「つっ…」
「今日は外じゃねェから、声聞かせろよ」
「んっ…ぁ…」
銀時はナカで指を曲げ、腹側の内壁を押した。
「なァ…イイとこってどの辺?」
「えっ…」
「あんだろ?いつも突っ込まれてイッてんじゃん」
「…もう少し手前」
「この辺?」
「もう少し…」
土方に聞きながら快楽点を探していく。これも初めての行動である。今までは銀時の快楽優先であった。
「んあっ!」
「…ここ?」
「そうだっ…ああっ!あっ…くっ!」
「声、我慢すんなって」
ナカの指を増やして、探し当てた快楽点を擦ると、土方は髪を振り乱して喘ぐ。
その艶やかな姿にもともと溜まっていた銀時は我慢の限界を感じた。
指を引き抜き、猛るモノを取り出して一気に最奥を穿つ。
「っああ!!」
「くぅっ!!」
挿入の衝撃で二人とも達したが、ナカのモノは萎えることなく、銀時はそのまま律動を始めた。
「ひあっ!あ…あうぅっ!!」
達したばかりの土方の身体に容赦なく次の快楽が襲ってくる。
潤滑剤と銀時の精液が混じり合い、動くたびに結合部から卑猥な水音が聞こえた。
「やっ…待っ…ああっ!」
「無理っ!もう止まんねェ!」
土方の制止を聞き入れず、銀時はますます激しく腰を打ち付けていった。
「ひあぁっ!ああっ!…ああっ!!」
「土方…顔、見せて」
「あぁうっ!!」
繋がったまま土方の身体を半回転させ、正常位の体勢にする。そしてわざとゆっくり腰を揺らした。
「はっ…あ、う…」
「土方の顔、すげぇエロい…」
「あっ、くっ!」
「そういやぁいつも暗い路地でヤってるから、ちゃんと顔見たことなかったな…もっと見せて」
銀時は土方の両腕を押さえ付け、激しく腰を揺すった。
「はぁんっ!ああっ!」
「ハァー、たまんねェその顔…」
銀時はうっとりとした表情で土方を見詰めながら、自分のモノで土方のナカを刺激していく。
「ひあ…あ…あぁっ!」
「土方、またイキそう?」
「うっ…ああっ!」
喘ぎながら土方は何度も首を縦に振った。銀時は土方を強く抱き締め、激しく腰を動かした。
「あっ、あっ、あっ…やあっ!あっ…くっ…っあああぁ!!」
「ひじかたっ……すきだ」
土方が達する瞬間、耳元で銀時の囁く声が聞こえた。しかし、それに反応する間もなく土方は意識を手放した。
* * * * *
「………」
土方が目を覚ました時、銀時は土方にしっかりと抱き付いて眠っていた。枕元の時計に目をやると
既に日付が変わっている。帰らねばと銀時を引き剥がそうとしたらますます強く抱き付かれた。
「行くなよ」
「…起きてたのか」
「今起きた。…なぁ、泊まってけよ」
「…外泊の届けを出してねェ」
「山崎には泊まるって言っといたけど?」
「はぁ?いつ?」
「十一時過ぎくらいだったかな?お前の携帯が鳴って、出てみたら山崎で…」
「ヒトの携帯に勝手に出て、勝手に泊まるっつったのか?」
「だって…朝まで目覚めねェかと思ったから…」
「ンなやわじゃねェよ。…分かったら離せ」
「やだ。返事聞くまで帰さない」
もがく土方を押さえ付けるように銀時は圧し掛かってくる。
「返事ってなんだよ!重いっ…どけ!」
「…やっぱり覚えてないか。気絶する直前だったもんなァ…」
「お前…」
銀時から逃れようとしていた土方は動きを止めた。意識を失う直前に銀時から言われたことなら覚えている。
しかしあのようなタイミングで言ったのだから、聞いていないと思って言ったに違いないと思っていた。
「あれ?覚えてる?」
「………」
「えっ、無言じゃ分かんないんだけど…。まあ、いいや。もう一回言うね」
銀時は土方の顔の横に手を付き、上から覗き込むようにして土方と目を合わせた。
「好きだ!俺と付き合ってくれ」
「………」
「…あの、返事は?」
土方はフッと笑って不安げな表情の銀時の首に腕を回した。
「何度も言ったじゃねーか…。俺はお前が好きだぜ」
「土方っ!」
銀時は満面の笑みで土方の首に抱き付いた。
「土方、大好き!今まで酷いことしてごめんね」
「気にしてねェよ。むしろ、謝んのは俺の方だ」
「へっ?どういうこと?」
「…出張な、本当は二泊三日だった」
「はっ?」
「昨日も別に忙しくなかった」
「はあ!?」
銀時は先ほどよりも乱暴に土方の顔の横に手を付いた。
「ってことは何?嘘吐いて俺と会わなかったってのか!?」
「ああ」
「何で!?」
「気付かせるために」
「何を!?」
「テメーが俺なしじゃダメだってことを」
「はあぁ!?」
「とっくに堕ちてるくせに一向に気付きやがらねェから…ここは身体休ませねェと頭が働かねェんだと思ってよ…」
「ヤることしか考えてないって言いたいのか?」
「実際、ヤらなくなってから自覚したんだろ?」
「うっ…」
図星を指されて銀時は言葉に詰まる。
「まあ、そういうわけだからよ…禁欲生活させちまって悪かったなぁ、銀時?」
「てんめ…こーなったらヤりまくってやるから覚悟しろよ!」
「あまり酷くはしないでくれ…」
「そんな可愛い顔してもだめだから!お前、ちょっと痛いのとかキツイのとか好きだろ?分かってんだからな!」
「チッ…」
「舌打ちィ!?やっぱり今のは演技かコノヤロー!もう騙されねーぞ!」
「はいはい悪かったよ…これでいいだろ?そろそろどいてくれ。重いから」
「そんな謝罪で許せるか!マジでヤりまくってやる!」
「はあ!?今からかよ!」
「とーぜん!もうムリって泣いても止めてやんねーからな!」
「望むところだ」
「望むのかよ!この淫乱副長め!」
「ああ、そうだ…。俺は、淫乱だから欲しいんだ…お前が、全部…」
土方は銀時を抱き寄せ唇を重ねた。
それから明け方近くまで万事屋には土方の嬌声が響いていた。
(10.09.20)
ハァ〜、銀さんに押さえつけられてる土方さんが素敵過ぎるっ(挿絵の話です)!最後の土方さんのセリフは「独白」からパクリ…い、いえ、使わせていただきました。
銀←土っぽく見えて、実は銀さんが翻弄されてるという、そんな土方さんの黒い頭脳プレイ(?)が上手く表現できてたらいいな…。
そういえば、めだか様のサイトは銀土も土銀もあるので、どうせなら相互記念はリバ小説とかの方が良かったのかな?でも「独白」は銀土だったし…まあ、今更直せないんで^^;
めだか様、勝手に作品の続きを書いたにも関わらず、こんな素敵な挿絵を付けて合作にしていただき本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします!
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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