※銀土と土銀のクロスオーバー話です。銀さんと土方さんが二人ずついます。 ※年齢制限はしていませんが、ヤるヤらないの話をしています。 ※大丈夫と思われた方のみお進みください。
HGGH?軸リバ
銀時が目を開けると、そこは見慣れた、しかし久しく足を踏み入れていない我が家であった。 「単行本派の方々のために詳しくは言わねぇけど、今かなり微妙な時期だからね。銀さんといえども軽々しく万事屋に居ちゃいけねぇんだよ」 誰にか分からぬツッコミを入れ、このまま誰にも会わず去ろうとする銀時。しかし玄関から続く廊下を歩く人の気配がして、反射的に事務机へ身を隠した。 「単行本派の方々のために詳しくは言わねぇけど、今かなり微妙な……」 「……え?」 先ほど自身の発したものと全く同じ台詞が、何処かで聞いたような声で聞こえ、銀時は恐る恐る机から顔を覗かせる。そして言葉を失った。 そこにいたのは今の自分と同様、黒の洋服に流線模様の白い着物を合わせた格好の、坂田銀時であったから。 「お前……誰だ?」 後から現れた「坂田」が尋ねれば、前からいた「銀時」は立ち上がり机を挟んで聞き返す。 「おっお前こそ、誰だ?」 「……坂田銀時」 「……俺も」 「…………」 「…………」 無言で睨み合う銀髪の侍二人。 今の自分がどうしてこの服装なのかは不明だが、普段着としてこの服を着ていたのは過去のこと。もしやタイムスリップか? 「「今、何年何月……」」 だが相手も同じことを考えていたようで、質問が重なった。椅子の背凭れを意味もなく掴みながら銀時が続ける。 「……何日?」 「俺の記憶では――」 返ってきたのは銀時も記憶している年月日。仮説その一は消えた。であるならば…… 「「機械(からくり)か?」」 「…………」 「…………」 仮説その二、源外製の精巧なカラクリ説も違うらしい。そもそもこちらへ話し掛けてきた時点で悪意はないようだし、まあいいかと銀時は己と瓜二つの男の方へ歩を進めた。 「何を……」 「オメーが何者かは興味あるけど、ここに長居する訳にはいかねぇんでね」 「玄関なら開かねぇぞ」 「は?」 そんな馬鹿なと鼻で笑って裸足で土間へ下り、引き戸に手を掛けてみる。しかしもう一人の自分は正直者らしく、扉は一寸たりとも動かなかった。
「何なんだよもう……」
「――っ!」居間に戻った銀時を待っていたのは、緊張の面持ちとなった坂田。和室へ続く襖が開いている。にもかかわらずこちら側にいるということは窓から出るのも不可能ということか。よく見れば事務机の後ろの窓の外は真っ白で、異空間にでもいるような様相を呈していた。 「どうした?」 「あれ……」 坂田は板の間の掛軸を指し示す。本来であれば「いちご牛乳」の書であるそこに書いてあったのは、セッ〇スしないと出られない部屋。 「えっ、マジで?」 「そのようだな」 ご丁寧に布団は敷かれており、枕元には潤滑剤など必要なものが並んでいた。 先に覚悟を決めたのは襖を開けた方。ベルトと帯を外し、和服とともに長椅子へ放り投げる。 「おまっ、ヤる気かァァァ!?」 「こんな所でぐだぐだしてる暇はねぇんだよ」 「それは分かる」 「上か下かは選ばせてやる」 「いやいや待て待て」 一旦落ち着こうかと銀時は、もうヤる気に満ちている坂田を椅子に座らせて、その横に腰を下ろした。 「そっちの事情は分かってる。最終章の真っ只中だな。でも、こっちにはこっちの事情があるんだよ」 「事情?」 「そう。分厚い本誌から来たお前には言いにくいんだけど、俺は薄い本の銀さんだから」 「…………」 坂田の目と眉が近付いたのを見て、気持ちは分かると繰り返す銀時。 「原作の銀さん……いや、銀様にとっては不本意だと思う。何てったって皆のヒーローだもんな。でも銀様……いや、銀伯爵のお情けで生かされている俺には一応、お付き合い的なことをしてる野郎がいてですね……」 「……俺にもいる」 「はい?」 「俺も、お前と同じだ」 「何だよ〜……」 ならば焦ることはない。掛軸に書いてある方法を試すのは念入りに部屋を調べてからでもいいではないか。 銀時は同志に告げる。 「俺の相手はメチャクチャ嫉妬深いの。緊急事態とはいえ簡単に他の男とヤったら後で何されるか……そっちは?」 「俺の方は黙って身を引くかもな」 「一途だねぇ」 「一途というか頑固というか……何度勘違いで別れを切り出されたか」 「ハハハ……そんだけ愛されてんだろ」 「そっちもな」 「まあね」 まさしく唯一無二の理解者を得て、恋愛談義に花が咲いた。 坂田が問う。 「お前、ネコか?」 「そちらさんはタチのようで?」 「ああ」 「やっぱり。だから俺が『銀時』で、そっちが『坂田』ってわけね」 「名前も上と下か」 地の文の謎も解きつつ二人の会話は弾んだ。 「余計なお世話かもしれねぇけど、ちゃんとタチやれてる?」 「当たり前だろ」 「でも銀さんの銀さんて謙虚な奴だからさァ」 「テメーは不能だからネコやってんのか」 「不能じゃねーよ! それに、ウチのは俺にべた惚れだから。俺が気持ち良くなるために尽くすタイプだから!」 「相手の優しさに胡座かいて使わねぇから縮こまるんだよ」 「ちゃんとデカくなるわボケ!」 「はいはい……まあ俺は、アイツの恥じらい混じりの可愛い顔見りゃ一発だけどな」 「へぇ〜……」 そして遂に話は核心へ。 「で、坂田さんの一途で可愛い恋人って誰?」 「土方」 「はあ!? 嘘だろ!?」 「別にいいだろ」 自身にとっての土方と、目の前の男にとっての土方の印象が異なることなど想定内。どうせ向こうもビックリするような彼氏持ちに違いない。 「俺も土方と付き合ってんだけど……」 「はあ!?」 だがこの方向にビックリさせられるとは思わなかった。 坂田こと、銀土の銀時は目を見開き、ぷるぷると震える指でもう一人の男を差す。 「お前……土方に抱かれてんのか?」 「そういうお前は土方を抱いてんの?」 銀時こと、土銀の銀時は未確認生物でも見るかのような目で相手を見た。 「一途で可愛い土方くん、ね。まあ、ウチのも銀さん一筋だし、見ようによっちゃあ可愛げもあるような、ないような……」 「お前んとこの土方は、お前にべた惚れだったな?」 「そうだよー。あんなことやそんなこともしてくれるしー」 「こっこんなこともか!?」 「まあねー」 「くそっ!」 どうやらこの方面では銀時の方に分があるらしい。悔しがる坂田の肩を、銀時は優越感たっぷりに叩いた。 「土方に好かれる秘訣、教えてほしい?」 「どっどうするんだ?」 「布団、行こうか?」 「……はい?」
* * * * *
布団の上、黒の半袖だけを身に付けて、坂田は四つん這いで下半身を晒け出す。その後ろにはきっちり着こんだままの銀時が潤滑剤を片手で捏ねていた。 「何でだァァァァァ!」 坂田のツッコミ空しく、濡れた手が尻に触れる。 「はい力抜いてー」 「待て待て待て! おかしい! 俺は土方くんがアレとかコレとかしてくれる方法を知りてぇだけだぞ!」 大人しく従ってはみたもののやはり変だと身を翻し、坂田は膝を抱えて守備体勢をとった。対する男はぬめる右手でぬちゃぬちゃと音を立てながら聞く。 「土方ってMだろ?」 「まあ……」 「でも本人は認めねぇ」 「ああ」 「だから一回抱かれとけ」 「何でだよ!」 他人(と言えるのか微妙なところだが少なくとも自分ではない者)の付き合い方に口を出すのは野暮だけれど、坂田にはどうしても土方が攻める姿を想像できなかった。 そのような、察しの悪い男に息を吐きつつ銀時は持論を展開する。 「無自覚Mだから普通に服従させようとしても無駄。でもな、上にしとけば奉仕の名目で言うこと聞かせ放題!」 「そんなに上手くいくかァ?」 「いくんだって! えっ、こんなのとかそんなのとかヤりたくねぇの?」 「……ヤりてぇ」 「だろ? だから俺に任せとけって。ウチなんかもう、土方くんから『させてください』って言ってくるからね」 「土方から!?」 「そうだよー。普段は上のお前だったらその効果は倍……いや、更に倍かもな」 「そっそんなに……」 恋人との目眩く交際を脳裏に浮かべ、喉を鳴らす坂田。その様子に銀時は舌なめずりをして最後通告。「どうする?」 「……お願いします」
こうして銀時は勝利を手にした。
(18.09.29)
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