ここから先、15歳未満の方は閲覧禁止です。

一応、「一番隊隊長から副長へ素敵な素敵なプレゼント(笑)」の後日談のような話です。

お読みになっていない方でも、「プレゼント=猫耳」ということだけ分かっていれば大丈夫です。

では、15歳以上の方のみどうぞ。

 

 

 

     ↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真選組の人々がしていた、とんでもない誤解

 

 

「あれー、銀時じゃないか!」

「げっ!」

 

馴染みの居酒屋で銀時が一人静かに飲んでいると、来たばかりの客に話しかけられる。

店に入ってきたのは真選組局長近藤勲と一番隊隊長沖田総悟、そして監察の山崎退だ。

三人とも私服のところを見ると仕事が終わって飲みに来たのだろう。

そういや、アイツは今日夜勤だと言ってたな…三人を見ながら、銀時はここにいない恋人のことを思い出していた。

 

 

「なんだ、なんだ。一人酒か?寂しいヤツだなー。…よしっ、俺たちと一緒に飲もう!」

 

近藤は銀時の席まで来てそう言うと、返事も聞かず銀時を奥の座敷に連れていく。その後を沖田、山崎が続いた。

 

 

「…ったくよー、人が静かに飲んでたっつーのに…何なのおたくら?」

「まあまあ、せっかく会ったんだ。一緒に飲むのもいいだろう?」

「はあー…テメーが誘ったんだから金払えよ」

「おう、いいぞ。まかせとけ!」

 

ハハハ!と豪快に笑いながら、近藤は自分の胸をドンと叩いた。

 

「旦那、こちらにどうぞ」

「おう」

 

銀時が近藤と話している間に、山崎が銀時の席を準備していた。

いつの間にか、銀時が一人で飲んでいた席からコップや箸を持ってきていたらしい。

さすがは地味な監察だと妙なところで感心する。

 

 

「それじゃ、今日もご苦労だった。乾杯!」

 「「「かんぱーい」」」

 

四人分の酒がそろうと、近藤が号令をかける。…沖田は未成年だとか、そういう突っ込みはいまさらだ。

 

 

 

「おたくらは、よく一緒に飲みに行くの?」

「よくって程じゃねェですが、仕事が早く終わった時なんかはたまに。

…ああ!土方さんは一人で出かけることが多いんで、めったに行かないですけどねィ」

「ふーん。あっそ」

 

ニヤリと笑って沖田が答える。ここにはいない恋人の名を出したのもわざとだろうが、銀時はさほど気にした様子もない。

ここにいる全員…というか、真選組全員が銀時と土方の関係を知っている。

互いに隠す気もないので、土方は仕事が終わると「銀時と会ってくる」と言って出かけているのだ。

 

 

「そうか!今日はトシと会えないから一人酒だったんだな!」

「いや…別にそういうわけじゃ…」

「トシを呼んでやりたいのはヤマヤマなんだが…」

「だから違うって。…それにアイツ、夜勤なんだろ?」

「あれっ、知ってたんですかィ?…部外者に勤務を漏らすたァ、とんでもねーヤツだ。土方コノヤロー」

「まあまあ総悟、恋人同士なんだからいいじゃないか」

「恋人同士、ねェ…」

「何だよ」

 

沖田の含みのある言い方に、銀時は面倒臭そうに答える。

 

 

「いや…旦那はともかく、土方さんがあんなに堂々とアンタとの関係をオープンにするとは思わなかったんでさァ」

「あっ、それは僕も思いました。副長ってシャイなところがあるから…」

「そうだなー。銀時と会う日は、特に頑張って仕事を終わらせてるもんな!」

「ふーん…そうなんだ」

 

銀時は気のない返事をするが、内心かなり気恥かしかった。

 

 

「そうでさァ。朝ギリギリに戻ってくることも多いんで、からかってやろうと

『昨夜はお楽しみだったようで』って言ってやったら、『まあな』って真顔で返ってくるんでさァ」

「あの副長が意外ですよね?付き合ってることはともかく…そういうことまで平然と答えるなんて」

「からかいがいのない、つまらない男だぜィ」

「いやー、それだけ銀時に惚れてるんだろう。恋をすると人は変わるもんだ!

かくいう俺も、お妙さんという女性に出会ってからというもの…」

「あーはいはい、ストーカーに変わったんだろ?」

「違う!恋の狩人だ!」

「へー…じゃあ、土方さんも狩人になったんですかィ?」

 

 

近藤のおかげで自分のことから話が逸れたと銀時が密かに安心していたら、沖田が話を元に戻す。

おそらく銀時が居たたまれなくなっているのを分かってやっているのだろう。さすがサディスティック星の王子だ。

 

 

「いや、トシは狩人ってがらじゃないな」

「そうですね。それに、局長と違って副長はちゃんとお付き合いしてるんですから、狩る必要ないですもんね」

「むしろ旦那に狩られちまったんじゃねーですかィ?」

「何だよ、それ…」

「しかもちゃんと躾けられたみたいで、多少自由にさせてても、夜には自分から檻に戻るんだ。大したもんだねィ」

「何?お前、トシを檻に入れてるのか!?」

「局長…ただの例え話ですよ」

「あのねー、人を調教師みたいに言うのやめてくれる?」

「違ったんですかィ?」

「違うって…アイツはアイツの意思で動いてんの!別に、俺が無理矢理来させてるワケじゃねーって」

「へー…じゃあ、旦那のモノが余程気に入ってんですかねィ」

「ちょっ…隊長!」

 

 

話がとんでもない方向に進みそうなのを、山崎が慌てて止める。

いくらなんでも、上司と恋人の、それも男同士のアレやコレを聞きたくはない。

山崎はそう思っていたのだが、人の嫌がることをするのが日課の沖田は止められず…

 

 

「そうでなきゃ、あそこまで変わるとは思えません。…とんだ淫乱ヤローだぜ」

「えっ?なに?どういうこと?」

 

近藤は話が全く見えない、といった様子だ。

 

 

「旦那のモノが忘れられない淫乱副長は、身体が疼くたびに旦那の元へ通ってるってことでさァ」

「か、からだっ!?トシが…そんなふしだらな…」

「局長、落ち着いてください!…隊長も、その話はおしまいに…」

「いや、だめだ!そういうことなら…局長として、ちゃんと言っておかなければ!」

「ちょっと局長!何を言うんですか!」

「銀時!」

「待ってください局長!…隊長も笑ってないで局長を止めてくださいよー!」

 

 

沖田の話を信じきった近藤は、銀時に向かって「お前に一つ言いたいことがある!」と宣言した。

山崎は近藤を止めようと必死になり、沖田はそんな二人をみてクックッと笑っていた。

銀時は、奢ってもらわなくてもいいから一人で飲むんだったと後悔していた。

 

 

「銀時!」

「…んだよ」

「トシは確かにお前の恋人かもしれん。だが、俺たちの大事な仲間でもある!」

「そーですね」

「だから…頼む!」

「なにが?」

「頼むから…トシに、その…あまり無理はさせないでくれ」

「はあ?」

「いや…俺がこんなことを言うのは筋違いだと分かってる。だが、俺たちの仕事は健康第一だ!」

「あーそうね」

「俺は男同士ってのは、正直、よく分からんが…やはり、トシの方に負担がかかってるんだと思う」

「あ、あのよ…」

「いや分かってる!これは二人の問題だからな!!だが、トシは具合が悪くても隠して戦いに出るようなヤツだ」

「まさか旦那にヤられてケツが痛ェから休むなんて言えないでしょうねィ」

「た、隊長!もっとオブラートに包んで!」

「何でィ山崎。はっきり言わねーと旦那に伝わらないだろィ。なあ、近藤さん?」

「そ、そうだな。言いにくいことを…総悟ありがとうな」

「どういたしまして」

 

近藤に背を向けた沖田の肩が震えている。楽しくてしょうがないといった様子だ。

 

 

「…というわけだ。俺の言いたいことは分かってくれたか?」

「あの…一つ言っておきたいんだけど…」

「何だ?言ってみろ」

「…おたくら、根本的なトコが間違ってる」

「ん?それは何だ?」

「だから副長の身体が…ってとこから全部ですよ!」

「いや…それ以前の問題」

「へっ?どういうことですか?」

「俺はアイツに突っ込んでねェ」

 

 「「「………はっ?」」」

 

 

真選組の三人は、言葉の意味が理解できないといった風に固まっている。さっきまで笑っていた沖田も真顔になっている。

 

 

「だからー、アイツが突っ込む方なの!よって…いつも無理させられてんのは俺の方!

アイツはやたらと元気!もっと仕事させて疲れさせてほしいくらいだぜ」

 

言い終わると銀時はグイッと酒を呷る。その銀時に、沖田が恐る恐る尋ねる。

 

 

「旦那…今のこと、本当ですかィ?」

「嘘ついてどうすんのよ…」

「旦那が突っ込まれてるんで?」

「だからそう言ってんだろ?何?土方が俺に突っ込まれてるとでも言ったワケ?」

「いや…そんな話は聞いてやせん」

「だろ?だったら…」

「でも信じられやせん。土方さんはてっきりネコかと…」

「もしかして、こないだの猫耳はそれでか?ったくよー…同じ男なんだし、どっちだっていーだろ?」

「いや、でも…あんなに苛めがいがあるのに…旦那もSだと思ってやしたが、実はMなんですかィ?」

「何でそうなるんだよ!まあ、苛めがいがあるっつーのは認めるが…」

「だったらなんで…」

「別に嫌がらせでシてるわけじゃねーんだから、いいんだよ、これで。以上!」

「はあ…」

 

沖田はまだ納得していない様子だったが、銀時が強制的に話を終える。

だいたい、どっちが上かなんてことは二人が良ければいいのだ。外野がとやかく言うことではない。

それを分かっているから近藤も山崎も「信じられない」という顔をしてはいるが何も言わない。

沖田も分かってはいるのだが、今まで土方が受ける側だと思って嫌がらせをしていただけに、

それが全く通じていなかったことに動揺していたのだ。

 

 

 

周りから受けだと思われてるヤツに攻められてる俺ってどうよ?

そんなことを思いながら、銀時は漸く静かになった座敷に満足もしていた。

 

(09.08.28)

photo by 素材屋angelo


土方さんはたとえ攻めでも受け受けしく見えます(笑)。でも、銀さんだけには攻め攻めしく(そんな言葉はない?)見えるんだと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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