おかしい!絶対におかしい!確か、アイツってまだ二十代だったよな?…つーか、「まだ」ってほど
終盤でもなかったよーな…。そして、俺たちは付き合ってまだ三ヶ月だぞ?それなのに何だ、
この落ち着きよう。月に三回あればいい方ってどうよ?
…そりゃあ、アイツ仕事忙しいのに週二回は会ってくれるし?甘味持ってウチに来てくれることだってあるし?
会えばそれなりにラブラブって感じ?ソッチだけが目当てで付き合ってるワケじゃねーけど…
でもよー、ソッチだって大事だろ?
…あん?ソッチってどっちだって?セ〇クスだよ、セッ〇ス!
いい大人同士なんだからソッチも充実させてーって思うのが普通だろ?…んだよ。カマトトぶってんじゃねーよ。
好きな奴とヤりたいっつーのは、人間として当然の欲求だろうが!それなのにアイツったらよー…
ん?さっきから言ってるけど、アイツって誰だって?あれっ?知らねェの?この世で最も幸せな男だ。
なんつったって、この銀さんと付き合ってんだからよ!…え?そうじゃなくて名前?ああ、名前ね。土方十四郎。
真選組の副長さんだよ。…あ?このサイトに載ってんだから、そうだろうと思ってたって?じゃあ聞くな!
あー…ゴホン、ゴホン。話がズレちまったな。そう、俺は土方とのエッチに不満があるんだ!
…こういうと、何かアイツが下手みたいに聞こえるが、そうじゃないぞ。俺から言うのも何だが…
アイツは結構上手いんじゃないかな。ただ、回数が、な。…あっ、いや、アイツは武装警察の幹部だけあって、
鍛えてあっから一晩に三回とか余裕よ?いや…だから、そういう回数じゃなくてだな…ヤる日とヤる日が離れてんだよ。
前回シたのなんて二週間前だぜ?その間、会えないっつーなら仕方ねェが、この二週間で五回も会ってる!
もちろん二人っきりで、だ。しかもそのうち二回はウチに来たんだ。土方が来るっつーから、新八と神楽を追い出したのに…
アイツは「何だガキどもいねーのか。じゃあ、帰るまで待ってるか」とか言うんだぜ?
何でも美味いと評判の団子を買ってきたとかでよー。
そりゃあ、甘味を買ってきてくれるのは嬉しいよ?
でもよー、俺がせっかく「じゃあ二人が帰るまで、向こう(和室)でゆっくりしてようか」って言っても「ここでいい」っつって、
事務所で待ってんだよ。ぶっちゃけ、あの時、和室には布団敷いてあったんだよ!
布団だけじゃなく、色々準備しておいたんだよ!それなのによー。
結局その日は、二人が帰ってくるまで事務所で適当に話をして終わりだ(一応キスはした)。
二人が帰ってきたら、偉そうに土産の団子を見せて、それを二人が頬張ってるのを穏やかに眺めてたっけ。
…俺も一緒に食べたけどね。
まあ、そんな感じで俺たちは付き合って三か月だってのに、既に熟年カップルの域に達してるワケです。
…俺はそんなの望んでないんだけどね。…えっ?それならお前から押し倒せ?いや…それは、ちょっと…。
俺、こう見えて「受け」だからね。…は?誘い受けってのもある?いや、だからよー…
俺ばっかヤりたがってるみたいなのが嫌なんだよ。前回シたのだって、俺から「宿、行かねェ?」って誘ったんだよ。
宿に入ってからは…まあ、さすが攻めって感じの…なんだ、色々と、その…すごかったけど…って何言わせんだよ!
とにかく!次は絶対アイツからヤりたいって言わせたい!!
土方さんに誘ってほしい銀さん
「よー、久しぶり」
「久しぶりって…三日前にも会ったじゃねーか」
「まあまあ、どっちだっていーじゃねェか。…今日はあそこの店にしようぜ。期間限定パフェがあんだよ」
「ああ」
いつものように待ち合わせをして、俺の好きなところで昼メシを食う。ちなみに土方は今日、非番だ。
それでも午前中は仕事をしていたらしいが、この後は夜までずっと一緒にいられる。今日こそ誘われてやる!
とりあえず軽いジャブとして、俺はいつもより胸元を開けて服を着てみた。男の胸なんて見てもつまんねーとか言うなよ?
アイツは俺にベタ惚れなんだから、これでグッとくるはずなんだよ!…ん?着流し姿のコイツの方が、前、肌蹴てね?
いや、それは関係ねー。普段の俺と違うっつーのがポイントなんだ!それにしてもコイツ肌蹴すぎじゃね?
制服の時はこれでもかっつーくらい着込んでんのに…そのギャップがまた…いかんいかん、しっかりしろ俺!違うからね?
ギャップ萌えとか思ってないからねっ!
「じゃあ俺は…グラタンとー、この限定サマーパフェってやつ」
「俺は、かつ丼とマヨネーズ。それからコーヒー」
「か、かしこまりました」
ったく、マヨネーズなんてメニューにないっつーの。ウエイトレスのお姉さん、笑顔が引きつってたじゃん。
…あれっ?俺のこと見てね?見てるよ…確実に俺の胸に釘付けだよ。いやー、でもさすがに今はダメだぜ?
限定パフェを食べるまではお預けだ。
「おい、銀時」
「ん?何なに?何かあった?」
「…何でそんなに前のめりなんだ?」
「えっ?前が、なに?」
「いや、大したことじゃねーんだが…」
「なんだ、言ってみろよ」
「お前、いつもよりココ開いてねーか?」
そう言って土方は自分の胸元をトントンと叩いた。
…おしっ!やっぱ気付いてる!だがここで油断は禁物だ。あくまでも俺は何でもない風を装わないとな。
「えっ?そう?いつもと同じだと思うけど…」
「いや、いつもより開いてる」
「そ、そう?えっ、何、それがどうかした?」
「どうかっつーか…」
「(よしっ、計画どお…)」
「だらしなく見えるから閉めた方がいいぞ」
「(…り…ってあれっ?)は?」
「お前は普段からだらしない格好だが…前もそんなに開いてっと更にダメ人間に見えるぞ」
「ダメ、人間って…」
「いや…俺はお前がやるときゃやる男だと判ってる。だが、お前を初めてみるヤツは見た目でダメだと
判断するかもしれねー。今日は仕事じゃねェが、客商売やってんだから身形にも気を遣わないとな」
「そ、そうだな」
そう言って俺は前を閉めた…くやしいからいつも以上に閉めてやったら、ちょっと苦しかったのでやめた。
それからすぐに料理が来て、食い終わってからは適当に話をしながら、その辺をブラブラ歩いた。
公園のベンチで休憩する頃には、もう夕方になっていた。
俺はアイツに買ってもらったアイスキャンディーを食べ、その横でアイツは煙草を吸ってる。
アイツの視界の端で、ちょっとエロくアイスを舐めてみたけどダメだ。
目が合ったと思ったら「さっさと食わねェと溶けるぞ」とか言うんだ。あー、今日はこれで終わりなんかなー。
だったら誘われんのは次にして、今日も俺が誘うしかねーか…。このまま帰るよりはマシだ!
「銀時」
「んー、なに?」
「この後、時間あるか?」
「………えっ!?」
「無理ならいいんだが…」
「ある!時間ある!つーか、帰らなくても大丈夫!」
「帰らなくてもって…じゃあ、少し付き合ってくれるか?」
「お、おう!」
何だよー。コイツだってやれば出来んじゃん!そうそう、お前がヤりたいっつーなら俺は拒んだりしねェよ?
…ん?大江戸マーケット?何買うんだ?アレに必要な物っつったら、スーパーよりドラッグストアだろ?
あれっ?これって…
―10分後―
「いやー、ありがとな。銀時」
「いえいえどういたしまして」
俺はアイツのために「お一人様一個まで」の業務用マヨネーズを買ってやった(もちろん金は土方が出した)。
アイツは自分の分と合わせて、二個の特大マヨボトルにほくほく顔だ。チクショー、俺にはそんな笑顔向けたこと
ねーってのに。ん?またコッチ見てやがる。今度は何だよ…
「銀時…」
「何だよ、見んじゃねーよ!」
「どうした、機嫌悪いな」
「別に!何でもねーよ!」
「俺の買い物に付き合わせちまって悪かったな。今度はお前の行きたいところに…」
「ああ!?俺の行きたいところ!?んなモンねーよ!!」
俺の行きたいところなんて決まってる。でも、俺からは言いたくない。俺はある可能性に気付いちまった。
…土方は俺に魅力を感じてねェんじゃねーか?アイツにとっちゃ俺はダチの延長みたいなもんで…
一応恋人同士って手前、誘われれば抱くが、特にシたいとは思わねーんじゃ…。
そう思ったら、誘うのも悪い気がしてきた。
「おい、本当にどうしたんだ?」
「うるせー。もうお前帰れ!」
「この状態で帰れるワケねーだろ。なあ、どうした?」
「どうもしねェよ!でっかいマヨ買ってご満悦なんだろ?だったらもう帰れ!!」
「何だ…やっぱり、俺の買い物させられたのが嫌だったのか?」
「そんなんじゃねー!!でも、お前だって何もなきゃ、このまま帰るつもりだったんだろ!?だったらさっさと…」
「いや…できれば、朝まで…とか思ってたんだが…」
「うそ…」
今、コイツなんつった?朝まで?朝までっつったよな?それってアレだよな?泊まりってこと?俺と?マジで?
「ぎ、銀時、いやなら別に…」
「嫌じゃない!」
「うおっ!急に抱きつくな!つーか、見られてる!見られてるからっ!」
「うるせー…これ以上見られたくなかったら、さっさと宿でもどこでも連れてけ!」
「いや、でもその前にお前の行きたいところへ…」
「だから!さっさと連れてけっつってんだろーが!!」
「お、おう」
結局、俺から連れてけって言っちまった。でも、最初に言ったのはアイツだからいいよな。
つーか、何でもいいから早くヤりてェ!今日は寝かせねーから、覚悟しとけよ土方!
(09.08.19)
photo by 素材屋angelo
土銀の隠れテーマは(言ってる時点で隠れてない)誘い受けだったりします。自分が振り回しているつもりで振り回されてるとても銀さんは可愛いと思います。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
後編は18歳以上の方のみとさせていただきます。よろしければどうぞ→後編