後編
「マジでかァァァァ!?」
とあるラブホテルの一室に銀時の叫び声が木霊する。
ラブホテルにいるのだから当然一人ではない。つい最近恋人になった土方と一緒である。
近距離で叫ばれ、土方は眉間に皺を寄せる。
「何をそんなに驚いてやがる」
「えっ、だって…えっ、マジで?」
「ワケ分かんねェよ…。オメーは一体何に焦ってんだ?」
「だって土方が変なコト言うからよー…」
「変なコトって何だよ…」
「だから、俺とヤんのが初めてって…」
「…その通りだろ?」
「えっ…だって、この前、ヤったんだろ?」
「はぁ?…オメーついに中身までパーになったか?」
「天パをバカにすんじゃねェ!…じゃなくて、この前ほら、ウチに泊まった時…」
「…オメー何の話をしてんだ?」
銀時の勘違いなど知りもしない土方には、銀時の言いたいことが全く分からなかった。
「だからー…一緒に飲みに行って、俺がベロベロになったからオメーが送ってくれた時…」
「…あん時が、どうかしたか?」
「あっ、もしかして、俺が覚えてないからノーカウントにするつもり?それはダメだよー」
「いや…オメーが何をカウントしてんのかサッパリ分からん」
「はっ?俺達がヤったことに決まってんじゃん」
「…念のため聞くが、あの日、俺達が何をやったって?」
「ナニに決まってんじゃん」
「ナニって…セックスか?」
「うん」
「誰と誰が?」
「俺と土方が」
「あの日?」
「うん」
「セックスした?」
「うん」
「………」
土方はハァーと深く息を吐いた。
「なっ何だよ…。そりゃあ俺は覚えてねェけど…でも、だからって無かったことにするつもりは…」
「つもりも何も…無かったんだよ」
「………何が?」
「ナニが」
「まさか…ヤって、ねェの?」
「ああ」
「セックス?」
「ああ」
「…マジで?」
「マジで」
「ウソ…」
「本当」
「………」
銀時は全身の力が抜けたようにヘナヘナとベッドへ倒れ込んだ。
「おい、ぎんと…」
「だってあの日、土方は腰、辛そうにしてたし、俺の帯は緩んでたし…」
「帯は吐くっつーから緩めた。腰はオメーを布団まで運ぼうとしたら、オメーがふざけて動くんで
何処かにぶつけたか何かだ…俺も酔ってたしな」
「妙にスッキリしてたのは吐いたからかよ…。
えっ、でもオメー、俺が告白した時、ヤったって認めてたじゃねーか」
「…もしかしてオメーが言った『あんなコトをした』ってのはヤったことだったのか?」
「そうだよ。だから俺、オメーのこと好きだったんだなァと…」
「ちょっと待て。じゃあ、ヤってねェとオメーの告白も無しになんのか!?」
「うーん…」
考え込んでしまった銀時に土方は焦りの色を隠せない。
「ぎ、ぎん…」
「あっ、そうだ。土方は『あんなコトした』って何だと思ったワケ?」
「…腕枕」
「そういえば…何でヤってもねェのに一つの布団で腕枕だったの?」
「オメーが俺を引きずり込んだんじゃねェか…」
「そうなんだ…。やっぱ俺、土方のコト好きだったんじゃん」
「ほっ本当か!?」
「ああ。…一緒に寝たかったんだろ?」
「そ、そうか…良かった」
土方は心から安堵した。
こうして誤解の解けた二人は、今度こそ本当にハッピーエンドを迎えたのであった。
(10.04.19)
長い割に内容が乏しくてすみません。ここまでお読み下さったお礼におまけのエロ付けました。というか、初エッチまでって銘打っておいてエロなしじゃ終われませんよね。
というわけで、18歳以上の方はどうぞ!→★