※「銀さんも本気になっちゃった」の直後の話です。そちらをお読みになってからお進み下さい。
他人は思い通りに動かない
真選組一番隊隊長・沖田総悟は出張帰りのその足で万事屋を訪れた。
「邪魔するぜィ」
「沖田さん…どうしたんですか?」
「ちょいと聞きたいことがあってな」
「聞きたいこと?まあ、どうぞ上がって下さい」
新八は沖田を事務所へ通す。
事務所では神楽がソファに寝そべって酢こんぶを齧っていた。
「なにしに来たアルか、税金ドロボー」
「テメーらにちょいと聞きたいことがあるんでィ」
「ちょうどいいネ。私もオメーに聞きたいことがアルネ」
「何でィ」
「まずはお前の要件を聞いてやるネ」
「そうかィ」
沖田は神楽の向かいに腰を下ろす。
新八が三人分のお茶を持って来て、神楽の隣に座った。
「…昨日、土方さんがここに来ただろ?」
「はい」
「何があったか知ってるか?」
「いえ。僕と神楽ちゃんはここにいなかったので…」
「旦那から何か聞いてねェか?」
「いえ。ただ、正式に恋人同士になったみたいですけど…」
「恋人というか、銀ちゃんは婚約者のつもりアル」
「婚約者?」
「そうネ。そのうち男同士でも結婚できるようになるから、そしたら銀ちゃんが婿入りするって言ってたアル」
「婿入りねィ。何だって急にそんな…」
「こっちが知りたいネ。お前、マヨラーから何か聞いてないカ?」
今度は神楽が沖田に聞いた。
「いや、何も…。今日は近藤さんや土方さんと地方に出張だったんだが、駅に旦那が迎えに来てて
あの二人、公衆の面前で『銀時』『十四郎』って言って抱き合ってたんでィ」
「銀さんがそんなことを…」
「あの銀ちゃんならやりかねないネ」
「そんでそのまま二人で夜の街に消えていった。土方さんは制服のままだってのに…」
「土方さんまで周りが見えなくなってるんですね」
「昨日の晩、何かあったとしか考えられなかったんでオメーらに聞きに来たんだが…」
「僕らも正式な恋人になったとしか…」
「そうか…。あの二人、今までセフレだからって色々我慢してたのかねィ」
「…本当はちゃんと恋人らしくしたかったのかもしれませんね」
「恋人じゃなくてただのバカップルアル」
「そうだな…」
「そうですね…」
「「「ハァーッ」」」
作戦通り銀時と土方は恋人同士になったものの、想定外のくっつき方に三人は深い溜息を吐いた。
(10.02.15)
約二カ月ぶりのセフレシリーズ改めバカップルシリーズでした。といっても、土銀出てきませんけどね^^; 機会があれば次はバカップル土銀を書きたいと思います。
セフレだった土銀を真の恋人同士にしたくて頑張って来た、十代三人の反省会のようなものでした。人生ってなかなか上手くいかないんだなと、この三人は今回のことで学んだと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
追記:続き書きました→★
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