土方さんのどこが好きか、銀さんに聞いてみた
「今日は銀さんに聞きたいことがあります」
「あー、何だよ改まって」
いつもの万事屋の朝食時間。僕はこの前からの疑問をぶつけてみることにした。
ちなみに、今日の食事当番は神楽ちゃん。メニューは卵かけご飯と漬物だ。
「銀さんは、土方さんのどこが好きなんですか?」
「ぶっふぉー!!」
「うわっ!汚っ!ちょ、何するんですか!」
銀さんは盛大に卵かけご飯を吐き出した。
「ゲホッ、ゲホッ…あー、テメーが変なこと言うから吹き出しちまったじゃねーか」
「変なことって…僕はどうして土方さんと付き合ってるのか聞いただけで…」
「それが変なことだっつーの!」
「何でですか。僕はこの前、土方さんにも聞いたから銀さんにも聞いてみようと思っただけで…」
「はぁ?アイツに?何を聞いたんだ?」
「だから、銀さんのどこが好きかを…」
「ぶっふぁー!!」
「うわっ!また!」
今度はいちご牛乳を吐き出した。
「ゲッホッ、ゲホッ…て、テメー何てことを聞きやがる…」
「ちょっと気になったから聞いただけですよ。で、銀さんはどうなんですか?」
「そ、その前に…アイツ、何て言ってた?」
「は?」
「だーかーら、アイツはお前に何て言ったんだよ!」
「あれっ?気になるんですか?」
「い、いや別にー。き、気になるって何?」
嘘だ。絶対に気になってる…銀さんも結構かわいいトコあるんだな。
「銀さんが答えてくれたら教えます」
「は?」
「だから、銀さんが土方さんの好きなところを答えてくれたら、土方さんの答えも教えます」
「な、なんだよそれ…何で俺がありもしねー、アイツのいいところなんか言わなきゃなんねーんだよ」
「えー、それじゃあ教えられませんね」
「新八のくせに上から目線で言いやがって…。あー、分かった。アイツのいいところな。うーんと…カネ!」
「えっ、お金?」
「そう!アイツは稼ぎがいい!ここに来る時はいつも土産持ってくるだろ?」
「まあ、そうですけど…」
「飲みに行っても奢ってくれるし、宿代も…あっ、いや何でもねェ。
と、とにかく金持ってるとこがいい!…さっ、答えたから教えろ」
一瞬聞こえた爛れた単語は聞かなかったことにしよう。
「そんなんじゃ教えられませんね」
「何でだよー。ちゃんと答えたじゃねーか」
「ダメです。じゃあ、例えば、奢ってくれたら沖田さんとかでもいいんですか?」
「沖田くん?ダメだよー。あのドSに奢られたりしたら、後で何要求されっか分からねェよ。
その点、土方はそういう見返りは求めねーヤツだからな。黙っててもお前らの分の土産も買ってくれるしな」
「つまり、土方さんは優しいんですね」
「お、おう…」
「じゃあ…近藤さんは?」
「何で俺があんなゴリラと付き合わなきゃなんねーんだよ。
いくら奢ってくれても、あの顔が隣にいんのはゴメンだね」
「つまり、土方さんは顔がいいから隣にいてもいいと」
「ま、まあな」
「じゃあ…桂さんは?」
「ヅラぁ!?あんなの問題外だろーが!お前も知ってんだろ?信じらんねーくらいアホだぞ、アイツ。」
「はは…まあ、そうですね。じゃあ、土方さんはアホじゃない…つまり頭がいいってことですよね」
「まあ…マヨネーズばかではあるが、な」
「うーんと、じゃあ…長谷川さんは?」
「はぁ!?おいおい、あんな無職冗談じゃないぜ。仕事決まってもすーぐクビになるしよー」
「土方さんは仕事できますもんね」
「ああ、そーね。…つーか、マダオは一応結婚してんだろ!」
「まあ例えばの話ですから」
「…この話、なんか意味あんの?こんなダメ人間どもと土方を比べてもよー…」
「えー…ここまでの銀さんの話を総合すると、土方さんは優しくて、顔も頭もよくて、仕事もできて、
なおかつ色々奢ってくれる、誰とも比べれられない程、最高の人ってことですよね?」
「ちょっ…何ソレ!?何でそんなことになってんの!?」
「全部銀さんが言ったんじゃないですか」
「そ、それは…誘導尋問だ!俺はそんなこと思っちゃいねーぞ!!」
「はいはい。まあ、でも、ちゃんと答えてくれたんだし、土方さんの答えも教えましょう」
「…お、おう。で?」
「分からないそうです」
「はっ?」
「だから、分からないって言ってました」
「えっ…わ、分からない?」
「はい。気付いたら好きになってたそうです」
「な、何だソレ!?テメー…買収か?ヤツに口止めされてんだろ?」
「違いますって!本当にそう言ってたんですよ。」
「…何だよソレ…俺がこんなに恥ずかしい目に遭って、結果がコレ?」
「いやー、銀さんも結構土方さんのこと好きなんですね。安心しました。」
「うるせーよ。何でテメーに心配されなきゃなんねーんだよ。つーか、分からないって何だよ」
「具体的にどこがっていうのは分からなくても、好きなんだからいいじゃないですか」
「よくねーよ。チクショー、騙された」
「まあまあ」
男二人が会話に夢中になっている間、神楽は一人で本日分の白米を全てたいらげていた。
(09.08.02)
前に書いた土銀の土方さんが、あまりにも可哀想だったので…。
神楽ちゃんを出すとますます長くなりそうなのでやめました。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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