中編

銀時の告白から一ヶ月、俺と銀時は順調なお付き合いを続けていた。

俺は仕事の合間を縫ってちょくちょく会いに行き、その度に甘味処へ連れてったり、

土産に菓子を買ったりしている。アイツは本当に俺のこと好きすぎだと思う。…惚気じゃねーって!

だって、毎回毎回すげー嬉しそうにしてるんだぜ?

ここまでされちゃァ、誰だって自分にすっげー惚れてるんだって分かんだろ?…えっ、糖分目当て?

んなワケねーって。いくらアイツでも、嫌なやつから糖分もらうなんてことはしねーだろ。

 

そんな俺たちも付き合って一ヶ月が経ったんだが…最近、銀時の様子がおかしい。

妙にくっついてきやがるし、何となく、その…色気?みてーなモンが出てきた気がする。

ちょっと…いや、かなりヤバイ。何がって…ナニが。俺だっていい大人なんだ。

付き合ってるヤツとは、そういうことをシたいと思う。だからキスをした。…キスは、した。

だが、それより先に進んでいいのか分からねェんだ。好きなヤツを抱きたいと思うのは男として当然のことだと

思う…ってことは、銀時も同じことを考えている可能性があるってことだ。

 

何が言いてェのかっつーと…俺は銀時を抱く気はあるが、抱かれるのは正直ちょっと…。

いや、まだ銀時が俺を抱きたいと思ってるかどうかは分からねーが……聞くのが恐ェ。

アイツはこういうことに積極的なんだ。だから、もしかしたら…。

それに、キスしてる時に股間を押し付けてくる時もあるんだ。…俺とアイツの身長は全く同じだから

抱き合ってキスすれば股間同士が当るのは問題ねェ。だが、明らかにアレはわざと当ててる。

コレを入れさせろってことなのか?それだけはな…。いや、銀時のことは好きなんだ!

だけどそれとコレとは違うだろ?

 

男相手は初めてだが、男同士でどうすんのかを知らないワケじゃねェ。つまりは、あれだろ?

ケツにアレを……うん、無理だ。絶対ェ無理だ。しかも女みたいに濡れねェから、色々と準備が必要で……嫌だ。

ンなことを銀時にされたくねェ!アイツにする分には問題ねーよ?俺のことを受け入れる準備だからな。

不公平だと言われようとも、俺は下になりたくねェんだ。

だからと言っていつまでもこのままっつーわけにもいかねェよな。ハッキリ言って、俺の息子も限界だ。

 

…そんなことを考えながら、非番の前夜に銀時と飲んでいたら、家に誘われた。しかもガキ二人はいないと言う。

これはどう考えてもそういうことだろう。…どうすればいいんだ?

 

 

 

*  *  *  *  * 

 

 

 

「テキトーに座って。今、お茶いれてくっから」

「あ、ああ」

 

「はい」

「あ、ああ」

 

 

銀時がお茶を持って俺の隣に座った。俺に…ぴったりくっついて。…しまった!

何で居間の方に座っちまったんだ!和室ならこんなにくっついて座れなかったのに!

これじゃあ、このまま押し倒されちまうじゃねーか!だが、今、席を移るのは不自然すぎる。

 

 

「なあ、明日は非番なんだよな?」

「あ、ああ」

「じゃあ…今日は、その…と、泊まってかね?」

「っ!!」

 

 

泊まりだと!?これで確定だな…アイツは今夜ヤるつもりだ。ヤられんのは嫌だ!どーする?考えろ!

考えるんだ十四郎!

 

 

 

*  *  *  *  *

 

 

 

勧められるままに風呂へ入り、今俺は和室に敷かれた布団の上にいる。

…といっても、銀時に押し倒されたわけじゃねェ。ピッタリとくっつけて敷かれた二組の布団を見た時は、

このまま押し倒されんじゃねーかと思ったが、銀時は俺と入れ違いに風呂場へ行った。

もう覚悟はできた。銀時にヤられる覚悟じゃねー。銀時にヤられる前にヤる覚悟だ!

アイツが風呂から出て、この部屋に入ってきたらすぐに行動だ!先手必勝!いつでも来い、銀時!!

 

 

 

 

「ふー…おわっ!……ってェな、土方!いきなり何しやがんだ!」

 

風呂から出て和室の入り口まで来た銀時を、俺は布団まで引っ張って行って座らせた。

…本当は押し倒したかったんだが、タイミングが合わず、向かい合って座る格好になった。まあ、いい。

俺は銀時の両肩に手を置いた。

 

 

「ぎ、銀時!」

「な、何だよ…んなマジな顔して…」

「俺は…お前を、抱きたいんだ!」

「ひ、じか、た…」

 

 

銀時は目を丸くして驚いている。そりゃあそうだよな。

自分が抱こうとしていた相手に抱きたいって言われたんだ…驚くよな。でもダメだ。これだけは譲れねェ!

 

 

「ぎ、ぎん…」

「土方!」

 

 

いきなり銀時が抱きついてきた!はずみで倒れそうになるのを必死で堪える。ダメだ、押し倒されるな!

 

 

「土方オメー、やればできんじゃねェか!」

「……はっ?」

「いやー、ウチに誘っても隣に座っても泊まりっつっても何もしてこねーから、もう、

俺から抱いてって言うしかねェのかと思ってたんだよー。あー、ホっとしたぜ!」

「銀時、お前…」

「ん?何だよ」

「お前…そんなに抱いてほしかったのか?」

「…ち、違ェぞ!俺ァ別に…その、アレだ…」

「そうだったのか!気付かなくて悪かったな!よしっ、俺に任せろ!」

「お、おう…」

 

 

 

 

今度こそ俺は銀時を押し倒した。

(09.08.30)

 

 

 photo by 素材屋angelo


受け受けしい攻め…それが土銀の土方さん(笑) 次は18禁になります後編