後編
「んっ、ふっ…んんっ!」
二度目はだいぶ要領を得たようで、一度目より長く口付けていられる。
そして口付けが長い分、銀時の舌使いも大胆になっていく。
「んんっ…ぅ…んぅっ!」
(すげェ敏感だな…ずっとこうしていたい)
「ん…あっ…んんっ!」
(やべェ…かなりクる)
土方の声が聞いてみたくて一旦口を離すと、思わずといった感じで声が漏れる。
それを聞いた銀時はまた吸い寄せられるように土方に口付ける。
こうして三度目の深い口付けを堪能していると、土方が銀時の胸を押した。
「どうした?また息、苦しくなった?」
「違っ…。銀さん…カラダ、おかしぃ…」
「…もしかして」
「やめっ!……えっ?」
銀時は着流しの裾から手を入れ、下着越しに土方の下半身を撫でる。
そこは僅かに反応を示していた。
(うおぉぉぉっ…マジでか!?銀さんのチューで気持ちよくなっちゃった?)
喜びに目を煌めかせる銀時とは対照的に、土方は見たことのない体の変化に戸惑っていた。
「銀さん、どうしよう…」
「えっ、何が?」
「触って分かっただろ?俺の、変になってる…」
「ああ、これ?大丈夫だよ」
「ひゃあっ!」
銀時はニッコリと笑いながら土方の股間を撫でていく。
「だめっ…もっと、変になるっ…」
「だから大丈夫だって。変じゃないの。これは、勃起っていうんだよ」
「ぼっ、き?」
「そう。ディープキスは気持ちよかったでしょ?」
「そうだけど…今はキスの話じゃなくて…」
「あのね、気持ちよくなるとココが大きくなるんだよ」
「そう…なのか?」
「うん。だから十四郎はどこもおかしくないよ」
土方を安心させるように銀時は頭を撫でる。
「で、でも、今までこんな風には…」
「ああいうキスをしたのは初めてでしょ?」
「…ディープキスすると、こうなるのか?」
「毎回必ずってわけじゃないけど…気持ちよくてエッチな気分になると勃起するんだよ」
「…そんな気分になんか、なってねェ」
土方は頬を染めて口を尖らせる。
「クスッ…エッチは悪いことじゃないよ。俺は十四郎が気持よくなってくれて嬉しいよ」
「でも…」
「ねえ、もう一回キスしていい?」
「……ダメ」
「なんで?俺とキスするの嫌になっちゃった?」
「そうじゃねェ…でも、またキスしたら、もっと、気持ちよくなるから…」
「いいじゃない。俺、十四郎にもっと気持よくなってもらいたいよ」
「だっだめだ」
土方は内股に力を入れてギュッと足を閉じた。銀時はそこで漸く口付け拒否の理由が判った。
「ここ、辛かったんだね。気付いてあげられなくてゴメン」
「銀、さん…」
銀時は下着の上から土方のモノを揉みしだく。
「やあっ…だめぇ!」
「ちゃんとイカせてあげるから心配しないで」
「…いくって?」
「ここをね…こうやって刺激していくと精液っていうのが出るんだよ。そうするとすっごく気持ちいいからね」
「えっ、やっ…ああっ!」
土方は銀時の服にしがみ付き、いやいやと頭を振る。
「もっ、やだ……うっ、うぅっ…」
「えっ!」
自分の想像を遙かに超えた状況に土方はパニックになり、遂には泣き出してしまう。
銀時は慌てて手を離す。
「十四郎、ゴメン!」
「…銀さんの、バカ」
「本当にゴメンね。…十四郎といちゃつけるのが嬉しくて、調子に乗り過ぎた」
「………」
「ゴメンね。もうしないから許して」
「………」
「十四郎…」
銀時が何度謝っても、土方は自分の着物の裾を握り、俯いたまま何もしゃべらない。
「十四郎、本当にゴメン。もうしないから…お願い、何か言って」
「………もう、しない?」
「うん!絶対にしない!」
「……本当に、もう、しないのか?」
「約束する!絶対にしない!」
「………」
土方は着物を握る手に力を込める。
「あの、十四郎…?」
「…これ、どうすればいいんだよ」
「えっ…」
土方はちらりと銀時に視線を送り、再び下を向く。
視線の先には熱を持って膨らんだ下半身。銀時は恐る恐る尋ねた。
「えっと…もしかして…触っても、いいの?」
「触んなきゃ、元に戻んねェんだろ?」
「時間が経てば、自然に引くかもしれないけど…」
「なんか、ソワソワする…」
「…辛い?」
「うん」
「触って出せば早く治まるけど…」
「じゃあ…触って、いい」
「十四郎…本当にゴメンね。あの、優しくするから!」
「うん」
俯く土方は情欲と戸惑いの入り混じった表情をしている。
銀時は土方をそっと布団の上に寝かせた。
「十四郎は楽な姿勢で寝てればいいからね」
「うん」
「下着、脱がすよ」
「う、うん」
銀時が下着に手を掛けると、土方は恥ずかしそうに目をギュッと瞑った。
「十四郎、見える?」
「えっ…」
銀時に促され、首だけ起こして自身の股間の状況を確認した土方は目を丸くする。
「すげェ、デカくなってる…」
「そうだね。これが勃起。それでね…」
「ああっ!」
一物を握り込まれ、土方は再び枕に頭を沈めた。
「こうやって触ると、気持ちいいでしょ?」
「や…あぁっ!分かん、ないっ!」
土方にとっては初めての感覚で、それが快か否かは分からなかった。だが…
「…じゃあ、触るのやめていい?」
「だめっ…やめな、で!」
今の刺激が止んだら、先程までのような疼きを味わう羽目になることは分かっている。
それには耐えられそうもなかった。
「大丈夫…やめないよ。最後までイカせてあげる」
「ああぁっ!」
銀時は緩急をつけて一物を扱き、土方を追い立てていく。
「ぎ、さんっ…なんか、へんっ!」
「…イキそうなんでしょ?」
「あぁっ!…やっ…ああっ!」
「十四郎…」
「んっ!」
一物を扱く手はそのままに、銀時は上体を伸ばして口付けた。
土方は迫りくる未知の衝撃に備えようと、銀時の首に縋りつく。
「んっふっ…んうっ!」
(…もう少しだな)
銀時はラストスパートをかけた。
「んっ…はっ!あっ…ぎん、さんっ!」
「十四郎…」
「あ…あっ、ぎんさんっ!…ぎんさんっ!もっ…だめェェェ!!」
「―っ!!」
遂に土方は初めての射精を体験した。
口付けが解けても銀時に縋りつき、銀時の名を呼びながら達した。
そのあまりの色香に、銀時も限界が近付く。
(ヤバイヤバイヤバイヤバイ…俺のチ○コ、膨らみ過ぎておかしくなりそう!早くなんとかしないと…)
「銀さん…それが、せーえき?」
「えっ…あ、ああ…そうだよ。これが今、十四郎から出てきたんだ」
銀時は右手で受け止めた土方の精液を本人に見せる。
土方はそれを興味深そうに見つめた後、銀時ににっこりと微笑みかける。
「最初はびっくりしたけど、でも、すげェ気持よかった。…銀さん、ありがとう」
「っ!?」
あどけない笑顔で感謝の口付けをした土方は、先程までの艶を感じさせないくらい幼く見える。
そのギャップに銀時は堪らなくなる。
「ごめん、トイレ!」
「えっ…」
布団の上に土方を残し、銀時は厠へ駆け込むのであった。
* * * * *
「それで…勃起と射精は分かったよね?」
「しゃせい?」
「あー…精液が出ること」
「うん、分かった」
銀時が厠から戻ると、土方は下着を履き、着衣の乱れを整えていた。
互いに気分が落ち着いたところで改めて銀時の講義が始まる。
「さっき十四郎から出てきた精液には、精子っつー…まあ、子どもの素みたいなのが入ってて…」
「えぇっ!?じゃあ、俺にガキができるのか!?俺、ガキなんていらなかったのに…」
「あー、大丈夫だよ。子どもは女とじゃなきゃできないから」
「そうか…良かった」
「だから、女が寄ってきても触らせちゃダメだよ。…ていうか、俺以外は男もダメだからね」
「こんなとこ、他のヤツにさせるわけねェだろ」
「約束だよ?十四郎はモテるから心配で…」
「別にモテねェよ」
「モテるって!」
どうみても女受けしそうな顔立ちをしているし、真選組の中にも恋敵が大勢いることを銀時は知っている。
「…例えモテたとしても、俺が好きなのは銀さんだけだぞ」
「十四郎!」
「うわっ!」
銀時は嬉しくなって土方に抱きつく。
「俺も十四郎のこと、だいだいだーい好き!」
「ちょっ…銀さん苦しい…」
「十四郎、だーい好き!」
「わ、分かったから…」
銀時は暫くの間、土方をぎゅうぎゅう抱き締め、幸せに浸るのだった。
それから二人は次の約束をし、万事屋と屯所に帰っていった。
帰り際に銀時は「今日のことは二人だけの秘密だよ」と念を押して別れた。
* * * * *
翌朝の万事屋。
朝食の時間に起きてこない銀時を起こすため、新八は和室に向かった。
「銀さん、朝ですよ!」
「っ!?」
いつもなら体を強く揺り動かしてやっと起きる銀時が、今朝に限って飛び上らんばかりに跳ね起きた。
「銀さん、どうしたんですか?」
「いいいいや、何でもない…」
「そうですか?じゃあ、朝ごはんできてるんで銀さんも食べて…」
「っ!!」
「どうしたんですか、銀さ「わーわーわーわー!」
新八がしゃべろうとするのを銀時は大声を出して阻む。
実は銀さんと呼ばれる度、昨日自分の首に縋りついて達した土方の嬌態が浮かぶのだ。
「新八…お前とはかなり長い付き合いになるから、もう呼び捨てでいいぞ」
「何ですかいきなり…。いいですよ別に今のままで」
「テメー、俺の気遣いを無にするんじゃねェよ!今日からさん付け禁止だからな」
「えー…そんなこと急に言われても…今まで銀さんで来たのに」
「っ!!…だからさん付け禁止っつったろ!じゃあ、アレだ…呼び捨てがダメなら『銀ちゃん』にしよう!
それなら神楽と一緒だし、いいだろ?」
「僕、年上の人にはさん付けした方が話しやすいんですけど…」
「そんなにさん付けがいいなら『銀ちゃんさん』にすればいいだろ!
お前、さっちゃんのことも『さっちゃんさん』って呼んでるじゃねーか!」
「まあ、そうですけど…ていうか、何でちょっとキレてるんですか?」
「とにかく!銀さんは禁止だ!分かったな!?」
「はいはい、分かりましたよ…銀ちゃんさん」
「よしっ」
新八は無理矢理丸めこんだものの、銀時を「銀さん」と呼ぶ者は大勢いる。
今後も銀時は、様々な人から「銀さん」と呼ばれる度に挙動がおかしくなるのだった。
(10.06.23)
こんな感じで土方さんは性的快楽を知ってしまいました。そして銀さんは初心な土方さんにメロメロです^^ 土方さんは初心な分、素直に「好き」とか「ありがとう」とか言います。
それが銀さんには堪らなく嬉しいんだと思います。銀さんも初めのうちは罪悪感を感じていたのでしょうが、最終的に土方さんが「気持ちいい」と言ったので良いことした気になってます。
土方さんが素直だと、バカップルっぽくなることが分かりました。「ツン」のない土方さんなんて…と思っているのですが、銀さん大好きな土方さんもアリなのかな〜とも思っています^^
次のレッスン3では、再び土方さん総受け気味になる予定です。 ここまでお読み下さりありがとうございました。
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