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「んっ…はぁ…」
「ここ、イイんだ…」
「やっ…そこ、ばっか、さわんな…あっ」
夜の万事屋、和室。そこには家主である坂田銀時とその恋人土方十四郎が二人の時を過ごしていた。
だが、その時…
「!!お、おいっ、待てっ!」
「んー、何?」
「今、何か物音が聞こえなかったか?…ほら、今も廊下を歩くような音が…」
「…あー、神楽が厠にでも行ってんだろ。さっ、続きしようぜ」
「なっ、おまっ、チャイナがいんのか!?」
「ああ、いるけど?」
「っざけんな…」
「えっ、ちょっ、な、何?何で服着てんの!?」
「帰る!」
「えっ!?ど、どうしたの急に」
「ガキがいる家でできるかよ…」
「大丈夫だって!アイツは押入れの中なんだしよ…」
「今だって聞かれたんじゃねーか?」
「聞かれたっていいじゃねーか。アイツは俺たちのこと知ってんだし」
「よくねェよ!知ってるのと現場を見聞きするのとでは大違いだ!」
「まあ…社会勉強ってことでよくね?」
「よくねェェェ!そんな勉強必要ねーんだよ!!…とにかく、今日は帰るからな」
そう言って、土方は玄関に向かって歩き出す。その姿を銀時が慌てて追いかける。
「ちょっ、考え直せって。こんな時間に屯所帰ったら、変に思われんだろーが」
「…ガキに変なモン聞かれるよりはマシだ」
「変なモンって…あっ、おい、土方!」
ガラガラ、ピシャッ。玄関の扉が開いてまたすぐ閉じた。
玄関に独り残された銀時は「マジでか。どーすんのよコレ」とつぶやきながら立ち尽くしていた。
神楽がいると分かり慌てて万事屋を後にする土方さん
翌日、行きつけの団子屋にいた銀時を、巡回中の沖田が見付けた。
「旦那じゃねーですかィ」
「よう、沖田くん。サボり?」
「こう見えて仕事中でさァ」
言いながら沖田は銀時の横に腰を下ろし、自分も団子を注文する。
「おいおい、どこが仕事中なんだよ…団子食ってるじゃねーか」
「夜まで一緒に過ごしておきながら恋人に逃げられた、憐れな男をなぐさめてやるのも仕事のうちでさァ」
「…何ソレ?もしかして俺のこと?」
「旦那以外に誰がいるってんですかィ?」
「いや、俺と土方くんはラブラブだからね?」
「へー…そのワリには、昨夜、いや、もう日付が変わってたから今日ですが、土方さんは随分と変な時間に帰ってきましたねィ」
「何…おたくは隊士一人一人の帰宅時間までチェックしてんの?」
「そんな面倒なことはしやせん。ただ、土方さんの弱みになりそうなことは逃しやせんぜ」
「まあ、アイツはおたくと違って仕事熱心だから…急に戻ることだってあんだろ?」
「昨夜から今朝にかけては何の事件もありやせん」
「それなら…書類の不備を思い出したとか…」
「それもありやせん。土方さんは帰ってすぐ床に就きやしたから」
「…で、何が言いたいの?」
「別に…ただ土方さんには今朝、中途半端で帰ってきたんなら旦那が可哀想だからイイ娘を紹介しときやすって言っておきやした」
「ちょっ、何てこと言ってんの!?」
「というわけで、紹介しやしょうか?」
「いらないから!俺には土方くんがいるから!」
「あんなマイナス思考の堅物のどこがいいんですかィ?」
「マイナス思考だって分かってんなら、余計なこと言わないでくれる?で、土方くんは今屯所?」
「へェ。ボケーっとして仕事が手に着かないみたいでさァ。こんなんならさっさと俺に副長の座を譲れってんだィ」
「じゃあ、沖田くん、ここの支払いよろしくー」
言いながら、銀時は真選組屯所の方へ走っていく。
残された沖田は「土方十四郎でツケといてくだせェ」と言って団子屋を後にした。
* * * * *
「何しに来た」
銀時が副長室に入るとすぐ、土方から先の台詞が発せられた。
「あの…昨日は、ゴメン」
「……」
「今度から、お前が来る時は、ちゃんと神楽をお妙か下のババァんとこに預けとくから…ゴメン」
「…俺も、急に帰って、わ、わる、かっ、た」
「土方…」
「そ、その…これからって時だったのに…」
「ううん。俺の配慮が足りなかったんだ。ゴメンね」
そういうと銀時は土方をそっと抱きしめ、少ししてから、土方はその背中におずおずと腕を回した。
* * * * *
「…おい、どうすんだコレ」
「どうすんだって、今ココに入れるわけねーだろ」
「この書類…急ぎなんだけどな」
「俺だって早く報告しなきゃなんねーことが…」
甘い空気に包まれた副長室の外で隊士たちは、いつ仕事を再開できるのかと困り果てていた。
この状況に割って入れるのは沖田しかいない。だが、その沖田は巡回中である。
隊士たちは皆この時ばかりは、沖田の副長苛めを心待ちにしているのであった。
(09.07.30)
photo by素材屋angelo
実は土方さんが気付かなかっただけで、今まで何度も神楽ちゃんがいる家でいたしております(笑)だから銀さんにとっては今更…という感じだったのですが、
それを言うと収拾がつかなくなりそうだったので、言いませんでした。 ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
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