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愛しの銀さん観察日記

○月×日 晴れ

今日、銀さんは十時に目覚めた。うふふ…お寝坊さんね。おかげでゆっくりと寝顔を観察することができたわ。

ああ…銀さんの寝顔を見ていると初めての日のことを思い出すわ。

私たちが初めて一夜を共にしたあの日…そう、運命のあの日!

結局あの日は銀さんの上に乗っかったまま寝ちゃったのよね。いやだわ、私ったらはしたない。

あっと、思い出に浸っている場合ではないわ。銀さんが起きちゃった。

寝起きの銀さんは普段よりも髪がもこもこしてて目もトローンとしててなんだか…か・わ・い・

でも…やっぱり私はいつものドSな銀さんの方がいいわ!ためしに朝の口付けをしてみたらグーで殴られた。

最高よ。さすが銀さんだわ。私のツボを心得てるじゃないのォォォ!!

朝から大サービスの銀さんに、私もサービスしちゃうぞ♪

大好きな納豆を、あの日の二人のようにネチャネチャと混ぜ合わせていたら外につまみ出された。

ああ…さすがだわ銀さん。こんなに私を喜ばせてくれるなんて!でも、私ったら銀さんの喜ぶことを何一つやっていない。こんなんじゃダメよ。ああ、銀さん…こんなダメな雌豚の私をもっと蔑んでちょうだい!

 

○月△日 曇り

今日の銀さんは夜更かしさん。昼間ジャンプを顔に乗せて眠ってたから、こんな時間になっても眠れないのかしら。そういえば今夜は神楽って子も大きな犬もいないわね…寂しいのかしら?

それなら…あの日のように、私を抱いて寝てもいいのよ?

あらっ?どうやらDVDを見るみたいだわ。映画?銀さんったらどんな映画が好きなのかしら?えーっと…

淫乱病棟 ナースの花びらびら

ぎ、銀さん…これは、あの時のナース服が似合ってたというメッセージなのね!そうなのね!

やっぱり私はあの時、銀さんだけのナースになっていれば良かったのね!仕事を取ってごめんなさい。

あら、電話だわ?こんな時間に誰からかしら?

……長谷川さんって言ったわね。今から見る?また借りる?黒髪ショート?

なるほど…このDVDは長谷川さんって人から借りた物なのね。それにしても…黒髪ショート?

DVDのパッケージの女が黒髪ショートね。…銀さんってば黒髪ショートが好きなのかしら?

紫髪ロングはダメかしら〜?

そうだったの…銀さんがいまいち結婚に踏み切れないのは、私が黒髪ショートじゃないからなのね!

ふふ…でも大丈夫よ。最大の恋敵であるお妙さんだって、黒髪ショートじゃないわ!

銀さんの好みを知った分、私が一歩リードよ!

あらっ?いつの間にかDVD鑑賞が始まってたみたい。

きゃあ!銀さんの×××があんなに大きく!

銀さん興奮してるのね。こんなの見せつけられたら……私も興奮するじゃないのォォォ!

くっ…ひじかたっ!って言って銀さんは満足そうな顔をしてる。…イッたみたい。

ひじかたって誰かしら?DVDに出てる女の名前ってわけじゃないわね。

どこかで聞いた気もするんだけど…調べてみる必要がありそうね。

 

○月□日 晴れ

意外と簡単に「ひじかた」の謎は解けたわ。脇さんに聞いたら「真選組の副長さんよン」って言われたの。

そういえばそうだったわ。鬼の副長、土方…トシローとか何とか。銀さん以外の男のことはよく分からないわ。

夜を待って真選組屯所に忍び込もうとしたら地味な男に「副長なら万事屋の旦那の所ですよ」って言われた。

なぜ真選組の副長が銀さんの所に?しかもこんな夜に…。

まさか、万事屋だからって無理難題押しつけてるんじゃ!?

ストーカーゴリラといい、真選組にはロクな男がいないのね!

万事屋に着き、いつものように天井裏から侵入成功。でも事務所には誰もいないわ。…和室から声がする。

銀さんと、黒髪の男…こいつが土方かしら?制服着てないと真選組かどうかも分からないじゃない。

あっ…銀さんが土方って呼んだわ!やっぱりこいつが土方なのね。ていうかこいつ…黒髪ショート?

な、何を言ってるのよ私!男で黒髪ショートなんて山のようにいるわよ!

ていうか二人…なんで布団の上に座ってるのよ!

ぎ、銀さんの手が土方の肩に…それを引き寄せて…きききき…キ・ス・し・た!

ど、どういうこと、これ?銀さんてホm…いや、違うわ!

だってこの前見てたDVDは……ナースの花びらびら。そうよ、ちゃんと女に興味があるのよ。

でもまさか黒髪ショートって本当に…。

ああっ!そうこうしている間にも銀さんが土方を押し倒したわ!

舌を絡ませ合いながら土方の帯を解いて、胸と胸の間をツッと人差し指で辿る…私のように谷間があるわけでもないのに何がいいのかしら!

「乳首、触ってほしいの?」って……

きゃあ〜!!何てドSな笑顔なのかしら!最高よ銀さん!

銀さんは鬼の副長に対してもドSなのね! ていうかあの男、私と同じ匂いがするわね。もしかして…M?

まさかドM? そうだったのね。鬼の副長なんてSっぽい名前をしておきながら、ドMなのね!

ギャップに弱いとはよく言ったものよ。

まさか鬼の副長がドMなんて誰も思わないもの!

そのギャップを利用して銀さんを落としたのね!やるわね!今日からあなたが最大の恋敵のようね!

えーっと…名前、何だったかしら?なんとか、方……M方?エム方ね!負けないわよエム方!!

 

○月◇日 雨

 

「なんじゃこれはァァァァ!!」

「まあまあ、そうカッカするなってエム方くん」

「誰がエム方だ!誰がドMだ!」

「えっ、お前…」

「違ェよっ!!」

 

非番の日に万事屋を訪れた土方は、事務所の机に一冊のノートが置いてあるのを見付けた。

銀時に何のノートか聞いたところ心当たりがないというので、二人で中を見ていた。その内容というのが冒頭の日記である。

 

「つーか、何なんだよこのノート。まさか…テメーが書いたのか?」

「アホかァァァ!どう考えても第三者が俺のこと観察したモンだろーが!!」

「じゃあ何か?○月□日って…見られたってことか!?アレを!?」

「うるせー!!俺なんか一人遊びも見られてんだぞ!つーか、□日ってことは十日前だろ?

 …あん時は普通にヤってただけだからいいじゃねーか」

「良くねェェェェ!!普通だろうがマニアックだろうがヤってんのを見られた時点で良くねーんだよっ!!」

「まあヤっちゃったもんは仕方ねーよ。つーかコレ…最中のお前の記述がほとんどねーじゃん。銀さんがドSなのは

 分かってっからよー、エム方くんのエム方くんらしいドMな所を描写してくんねーかな。使えねーヤツ…」

「だから誰がエム方だっ!!」

 

ツッコミを入れたところで、土方は銀時の言い回しに引っかかった部分があり訊ねてみた。

 

「…もしかしてお前、コレ書いたヤツに心当たりあんのか?」

「あるよ」

「だ、誰だ!?」

「誰って…んなことするのはアイツしかいねーだろ」

「アイツって?」

「俺のストーカー」

「ストーカー?」

「そっストーカー。日記の中にも書いてあったろ?紫髪ロングのストーカー。あれっ?お前、知らなかったっけ?」

「…知らねェ」

「そうかー。お宅のゴリラとはストーカー仲間だよ?今度聞いてみ?」

「近藤さんはゴリラじゃねェ」

「あーはいはい」

 

適当にあしらう銀時を睨みつけながら土方が言う。

 

「で、お前はそのストーカーと一夜を共にしたり、抱いて寝たり、ナースプレイをしたりしたわけか…」

「へっ?……ちちちち違うからっ!ココに書いてあるのはそーゆーことじゃなくて…」

「そういうことじゃねェってことは、嘘ではないっつーことだな?」

「う、嘘ではねーけど、でも違うんだって!」

「…これが真実だと認めたな?」

「だから違うんだって!俺にはお前だけだから!ちゃんと説明するから、聞いてお願い!」

「テメーの言い訳は聞いてねェ。聞いてんのは、コレが真実かどうかだけだ」

「あの…だから、ね?」

 

鬼の副長モード全開で銀時を問い詰める土方と、土方の迫力に圧されながら必死で弁解する銀時。

二人が元通りの関係に戻るまでには暫く時間がかかるのであった。

 

 

(09.10.09)

photo by NEO HIMEISM

土方さんはさっちゃんと面識がないと思って下さい。そして、さっちゃんになりたい…この話を書いていて本気で思いました(笑)。さっちゃんになってこの二人を観察しまくりたいです。

実はこの話には没になった会話文がありまして…せっかくなのでおまけにしました。ただの会話文なのに18禁なのは、内容が下品だからです。よろしければどうぞ。注意書きに飛びます