後編其ノ弐〜土銀版〜


手を繋いで屯所を飛び出した二人は、その勢いで最寄りのラブホテルに入っていった。
そして今、部屋の写真が並んだパネルの前で立ち往生している。

「なあ土方…どの部屋にすんの？」
「…どの部屋がいい？」
「お前ね、質問に質問で返すなよ…」
「すまん。えっと…ここでいいか？」

土方はなるべくシンプルな内装の部屋を選んで写真を指差す。

「うん。いいよ」

部屋が決まり、フロントで前金を払って鍵を受け取ると二人でエレベーターに乗り込む。
屯所にいた時よりも口数が少なくなった土方に、銀時が聞いてみた。

「……もしかして土方、緊張してる？こういうとこ入るの初めて？」
「ンなこたァねェが…オメーと入るような関係になったことが、未だに信じらんねェ」
「マイナス思考だなァ。俺なんか心の準備バッチリよ？」
「…オメーは先月から色々考えてたんだろ？俺ァ、まさかオメーがチョコのこと気付くなんて…」
「あー、それもそうか…。確かに俺も土方からチョコもらった時は暫く信じられなかったな」
「だろ？」
「…俺達が恋人同士になったって知ったら、周りのヤツらどういう顔するかな？」
「どうだろうな…。まあ、すぐに分かる」
「そうだな」

銀時と話しているうちに土方もいつもの調子を取り戻す。

「万事屋、先に風呂使っていいぞ」
「ありがと」

銀時が先にシャワーを浴び、続いて土方もシャワーを浴びる。
一人ベッドの上で待っていると、今度は銀時の方が緊張してきた。

（やべェ…なんかドキドキしてきた。何でこんなドキドキするんだ？さっきヌき合ったばっかじゃねェか。
それなのに何でだよ。心の準備バッチリだったはずなのに…土方とこうなることだって色々シュミレーションを …）

銀時の鼓動が落ち着くよりも早く土方が浴室から出てくる。

「うおっ！ははは早ェな…」
「そうか？…もっとちゃんと洗ってくる」
「あっ、そういう意味じゃねェ！大丈夫だ。じゃあ…ヤるか？」
「その前に一つ確認しておきてェことがある。万事屋、オメーどっちがいい？」
「どっちって？」
「…上と下」
「あっ、えっと…（抱かれることしか考えてなかったけど、よくよく考えてみりゃおかしいよな？
男のくせに抱かれたいなんて…。どうしよう。何て言えば…）」
「どうした？」
「その…土方は、どっちがいいんだ？」
「俺は、お前さえ良ければ上で…」
「いいよ（良かったァ。土方、上希望で）」
「ほ、本当にいいのか？何だったら順番でも…」
「固定でいいって」
「そうか？じゃあ…」
「ん……」

二人は唇を合わせ、ベッドに沈んでいった。


*　　*　　*　　*　　*


「あっ、あっ、あっ…」
「ここがイイのか？」
「…ンなこと、あっ…聞くなっ」


うつ伏せの状態で腰だけを上げ、銀時は土方の指を二本受け入れている。
土方の指がある箇所を擦る度、銀時から艶やかな声が上がった。


「もう二本、楽に動く…そろそろいいか？」
「うん、いいよ…」


土方は指を引き抜くと、枕元に備え付けてあるコンドームを手に取る。
銀時はそれを不思議そうに見つめた。

「えっ、何で？俺、男だから中出ししても妊娠しねェよ？」
「ンなこたァ分かってる。でも着けた方がお前が後で楽だろ」
「優しいねェ。黙って生で入れちゃえばいいのに…」
「惚れた相手にンなことできるかっ」
「へへっ…」

銀時は赤くなった顔を隠すように、枕に顔を埋めた。


「じゃあ入れるぞ。力、抜けよ」
「うん…」


土方は自身にも潤滑剤を塗って入口に宛がい、銀時は息を吐いて身体の力を抜いた。


「…っ！！」
「痛ェか！？」


先端を押し込むと銀時の身体が強張る。土方は先に進むのを止めた。


「だいじょーぶ、だから…」
「無理しなくていいぞ」
「このままの方が、辛ェから…」
「じゃあ…」
「えっ？あっ！」


土方は前に手を伸ばし、萎えている銀時の一物をゆっくり撫でていく。


「あっ、んっ、あぁ！…くっ、んっ、うぁっ！」


前への刺激で力が抜ける瞬間を狙って徐々に奥へと進んでいく。
後ろからの圧迫感と前からの快感で、銀時は自然と涙を零していた。


「万事屋、痛ェのか？」
「ちがっ…何か、分かんねェけど、すげェよ…」
「…もう少しだからな」
「うん」


出来る限り銀時の負担にならないよう、土方はゆっくりとナカを進んでいく。
そして、漸く根元まで納めきると土方は詰めていた息を吐いた。


「万事屋、全部入ったぞ」
「ハァ…マジでか…」
「ああ。お前のナカ、すげェ気持ちイイぜ」
「本当？よかった…」


銀時のナカが馴染むまで待ってから土方は腰を動かし始める。
最初は軽く揺する程度。次第に腰の動きを大きくしていく。


「んっ、んっ…あぁっ！」


指を埋めていた時に見付けた快楽点の辺りを一物の先端で突くと、銀時は背を仰け反らせて喘いだ。


「万事屋…ここか？」
「ぎん、ときっ！」
「あ？」
「いい加減、名前で呼びやがれっ」
「…悪かったな。銀時…」
「うあぁっ！！」
「お、おい…くぅっ！！」


土方に名前を呼ばれた瞬間、銀時は痺れるような快感が全身に駆け巡るのを感じ、一気に絶頂へと昇りつめた。
その際、ナカがぎゅるっと蠢き、土方も堪え切れずに射精した。



「…名前呼ばれてイクとはな。可愛いトコあんじゃねーか」
「るせェ！…十四郎、うあっ！」

仕返しとばかりに下の名前を呼んでみたところ、まだ入ったままであった土方のモノがドクリと成長した。

「てめっ、デカくしてんじゃねーよ」
「オメーがいきなり呼ぶからだろーが。このままもう一回いくぞ」
「えっ、待っ…あっ！んっ、あっ…」


銀時の制止の声は喘ぎ声に変わっていった。

晴れて恋人同士になった二人は、こうして楽しい「休憩時間」を過ごしたのであった。



*　　*　　*　　*　　*



その夜。仕事を終えた土方は、銀時と待ち合わせてかぶき町のある店に入っていった。

「ようこそ、かまっ娘倶楽部へ…あらっ？パー子に副長さんじゃない。珍しい組み合わせね」
「パー子じゃねェから。銀さんだから」
「いいじゃねェか。今日は礼を言いに来たんだからよ」
「でもよー…」
「お礼？何のことかしら？」
「「とりあえずドンペリのドンペリ割り」」
「あら〜」

席に着くなり二人はドンペリを注文しながら、それぞれカードを取り出してホステスに見せた。
銀時のカードは「愛するアナタへ　土方十四郎より」、土方のカードは「愛するアナタへ　坂田銀時より」
どちらもかまっ娘倶楽部で書かれたものである。
ニッと笑ってカードを見せる二人に、ホステスは驚きと喜びが混じったような貌をする。

「ちょっと、ママ来て！パー子が、遂にパー子がやったわよ！玉の輿よ！」
「だからパー子じゃねェって…」
「放っておけよ。ほら、ドンペリ来たから飲もうぜ」
「それもそうだな…」
「「乾杯」」


騒がしくなる周囲を後目に、恋人達はカチャリとグラスを合わせた。

(10.03.23)

というわけでホワイトデーから暫く経ってしまいましたが、拍手文完全版いかがでしたでしょうか？銀さんはエッチの後、万事屋に帰ってひと眠りしてたと思います＾＾

土方さんはもちろんその間、幸せな気分に浸りながら頑張って働いていました。この二人は片想い期間が長い設定なので、恋人同士になれたのが嬉しくて

周囲に報告しまくるはずです＾＾　ここまでお読み下さり、ありがとうございました。そして拍手文の続きを見たいと言って下さった方々、本当にありがとうございます！

ちなみに、銀土版はこちらです→★

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