(1)拍手ありがとうございます

銀:えっ、こんだけ?

(2)二回も拍手ありがとうございます

銀:あっ、あれっ?

(3)三回も拍手ありがとうございます!

銀:おいおい…

(4)
四回も拍手…

銀:ちょっと待ったァァァァ!
土:そんなに慌ててどうしたんだ?
銀:どうしたじゃねェよ!土方こそナニ落ち着いてんだ。ここ拍手だぞ!
土:何!?そうだったのか…コホンッ。あー、拍手ありがとうございます
銀:…もう四回目なんだけどね

土:四回!?いつの間にそんな…今回は俺達以外でお礼をしてたのか?
銀:管理人が一応…。「拍手ありがとう」とか「二回もありがとう」とか…
土:そんだけか!?本当にそんなお礼文だったのか!?
銀:ああ。いつにも増して酷かったんで待ったをかけたんだ
土:それは正解だな。…で、何でこんなことになったんだ?
銀:どーせいつもの「ネタがなかったんです〜」だろ…
土:ったく…それなら無理してお礼文変更すんなよ

銀:これからどうする?このままこうやって話してる?
土:それじゃあここまで拍手して下さった方に申し訳ない。何かねェのか?
銀:うーん……あっ、そうだ!企画部屋に載せようとして準備してたバレンタイン小説があるぜ
土:よしっ、それにしよう。…では次から2010年バレンタインデー記念小説が始まります!


(5)〜(8)
2010年バレンタインデー記念作品:隠された愛情



聖バレンタインデー。どこかの国の偉いヤツが死んだ日らしい。
それが菓子業界の陰謀によってチョコレートの日になった。
始まりは女が好きな男へチョコと共に想いを伝える日だった。
いつしか陰謀は進み、義理チョコやら友チョコやら、はたまた逆チョコなんてもんまで飛び出した。
だが、未だに男が男にチョコを渡す習慣はない。
…くそっ、女から男、女から女、男から女はあんのに何で男から男だけないんだよ!
陰謀に巻き込まれてやってもいいと思ってたのに、使えねェ菓子業界だぜ。

まあ、男同士だって付き合ってるヤツらは贈り合うこともあるらしいが、
あいにく俺がチョコを渡したい相手―坂田銀時―は恋人じゃねェ。
それなら渡すと同時に告白しろと思うかもしれないが、そんな大それたことをするつもりはねェ。
俺はただ、お祭り騒ぎに乗じて甘党のアイツにチョコを渡してェだけなんだ。
軽い感じでサラッと渡せればそれでいい。なのに…男が男に贈った時点で重いじゃねェか!
チョコはあるものの渡せねェかもな…。



*  *  *  *  *



数日前。

「ようこそ、かまっ娘倶楽部へ〜」
「ど、どうも…」

近藤と土方は、接待と警備を兼ねてある星の大使や幕府の官僚とかぶき町に来ていた。
大使が普通の店ではつまらないと言うので、おかまバーへやって来たのだ。
心は女性だという彼女達が美しいかどうか土方には分からなかったが
大使が初めて触れた文化(?)に満足しているようなので接待は成功だろう。
一人のホステスが近藤のグラスに酒を注ぐ。

「局長さん、はいどうぞ」
「こ、これはどうも」
「あっずるーい。局長さん、私のお酒も飲んでぇ〜」
「は、はい…」
「いやあ、近藤殿は随分とおモテになりますなァ」
「いえ、滅相もございません!」

かまっ娘倶楽部のホステスにモテモテの近藤は苦笑いを浮かべている。

「そうだ!少し早いけど、局長さんにチョコレートをサービスするわ」
「そ、そんなもったいない…。ここにいる全員で頂戴します。なっ、トシ?」
「あ、ああ…」

近藤に助けを求められて土方はとりあえず頷いた。
ホステスがボーイに注文すると、様々な形のチョコレートが運ばれてくる。

「さっ、局長さんどうぞ召し上がれ♥」
「い、いえ…まずは大使殿からどうぞ!」
「では失礼して……ほう、これはなかなか美味しいですぞ。皆さんもいただくといい」
「はい」

大使の号令でその場にいる全員がチョコレートを口にする。
普段あまり甘い物は口にしない土方であったが、確かにこれは美味いと感じた。
特に大使はかなり気に入ってくれたようだ。

「これを地球土産として持ち帰りたいのだが、どちらの店の品ですかな?」
「店自体は地方にあるのですが、ここでもプレゼント用に包装したものを販売しておりますわ」
「ほう…そんなに遠くから仕入れているのですか?」
「実は、以前この店で働いていたコが地元に戻って店を開いたんです。
それで宣伝も兼ねてウチに商品を置いているんですよ。
もちろん、ちゃんと試食して美味しいと思った物だけを置いてますわ」

ホステスが合図を送ると、ボーイが販売用のメニューを持ってくる。

「なあトシ、これならお妙さんも喜んでくれると思わないか?俺も買おうかな…」
「あの女が受け取るかは分からねェが、確かにこれは美味いよな」
「だろ?よしっ、俺も買います!…トシも一緒に買おう!」
「えっ、いや俺は…」
「じゃあ局長さんと副長さん、一つずつでいいですね?」

いつの間にか土方も買うことに決まってしまった。
他の官僚達も大使に合わせるためかチョコレートを買っているので、今更取り消すこともできない。

「メッセージカードもお付けできますが、どういたしましょう?」
「じゃあ『愛するお妙さんへ。アナタの近藤勲より』と書いて下さい」
「かしこまりました。…副長さんはどうなさいます?」
「あ、いや、俺は自分で食うから…」
「そうですか。分かりました」

一瞬、ある男の顔が土方の脳裏を過ぎったのだが、ここでその名を口にできるはずもなく
土方は自分用としてチョコレートを購入した。


付き合いで購入したにせよ、チョコレートを入手したからには意中の相手に渡したいと土方は思った。
だがどうやって渡せばよいか分からない。
真選組のように毎年宅配便で大量のチョコレート(中には敵からの毒入りもある)が届くなら
それに紛れ込ませることもできるが、万事屋ではそういったこともなさそうである。

結局、渡す術を見出せないままバレンタインデー当日を迎えた。



*  *  *  *  *



二月十四日。土方は懐に例のチョコレートを忍ばせて、朝からかぶき町の巡回に出ていた。
何度も万事屋の前を通り過ぎたが、やはり宅配業者の出入りはなかった。
それどころか、朝から外に出ていたせいで土方自身が大量のチョコレートをもらうハメになってしまった。
抱えきれない程のチョコレートをどうしようかと思案しているところに、団子屋の主人が紙袋を差し出してくれた。
土方はお礼代わりに団子を一皿注文し、店先の長イスに腰掛けた。

(あー、何やってんだ俺…。チョコ渡すどころかもらう一方じゃねェか…。
こんなことなら屯所に籠もってりゃよかったな。そしたら渡せなくても仕方なかったってことに…)

「んな辛気臭ェツラして団子食われちゃ営業妨害ですよ、お巡りさん」
「よ、万事屋!?」

ここ数日間土方の頭を悩ませていた張本人の登場に、土方は幻覚でも見ているような気分になる。

「おいおいどうした、ボーっとして…風邪でもひいたか?」
「いや、なんでもねェ。…テメーこそ一人でどうしたんだ?」
「ちょっと逃げてきたとこ。…親父ィ、俺にも団子ちょーだい」
「はいよっ」

銀時は土方の隣に座った。
程なくして銀時用の団子が出てくる。

(今なら渡せるか?…いや、ダメだ。そもそも俺から渡すっつーのが有り得ねェんだ。
俺からだって分からなくてもいいから、何かに紛れさせてアイツの手元に渡ればそれで…)

「それ、もしかしてバレンタインのチョコ?」
「違っ…あ、ああ…そうだ」

一瞬、懐のチョコレートに勘付かれたのかと焦ったが、すぐに足元の紙袋を指しているのだと気付く。

「すげェな…毎年こんなにもらうのか?」
「ああ…屯所に届くのもあるぞ」
「マジでか…いいよなァ。やっぱストレートヘアーだとモテるのかね」
「関係ねェだろ。ある種の祭みてェなもんだ」
「祭ねェ…。だったら俺も参加してェよ…」
「…お前だってもらうんだろ?」
「少しはもらうけどさァ…逃げてきたって言ったろ?」
「そういえば…」

土方は少し前に銀時が言ったことを思い出していた。

「神楽が昨日の晩から志村家に泊まるっつーから嫌な予感はしてたんだよ。
案の定、お妙と一緒にチョコレート作りやがってよー…あんなのチョコじゃねェよ。
兵器だよ、兵器。材料の板チョコそのままくれた方がどんだけマシか…」
「でも心がこもってんだからいいじゃねーか」
「いーや、アイツらがこめてんのは日頃の怨み辛みだな…。お前はいいよな。美味そうなチョコもらえて…」
「俺ァそんなに甘いモンは食わねェから別に…」
「えっ?じゃあ、そんなにもらってんのにどうすんの?」
「毎年隊士達に分けてる。…だいたい、こんな量を一人で食えるワケねェだろ」
「俺だったらイケるよ。…なあ、どうせ他のヤツにやるならソレ、俺にくれねェ?」
「!い、いいぞ…」
「マジで?サンキュー。これで暫く糖分不足にならなくてすむぜ」

銀時の提案に、土方はあることを思いついた。

(この紙袋の中に俺からのチョコも入れれば…そしたらコイツにチョコが渡る!)

土方は銀時に紙袋を渡す際、こっそり懐のチョコレートを紛れ込ませた。
そして一つだけ忠告する。

「あっ…手作りのは食べない方がいいぞ」
「なんで?」
「毒入りの危険性があんだよ。…堂々と俺らに食いモン渡せる日だからって、浪士共も狙ってやがるんだ」
「そ、そうなんだ…」
「一応、怪しいヤツからはもらわなかったが…」
「怪しいヤツって?」
「男」
「へっ?」
「だから男から渡されることがあんだって。明らかに何か企んでるって思うだろ?」
「そうとも限らないんじゃ…まあ、いいか。じゃあテキトーに選んで食うよ」
「ああ…」
「じゃあなー」
「ああ…」

銀時の背中が見えなくなってから、土方は安堵の溜息を吐いた。

(やった…アイツに渡せた。俺のチョコは店で買ったものだから食べてもらえるかもしれない)

渡せずに終わると諦めかけていただけに、銀時の手に渡っただけで土方は達成感を覚えた。


*  *  *  *  *


一方銀時は、軽やかな足取りで万事屋へ戻った。

「ただいま〜」
「お帰りなさい」
「銀ちゃん、逃げるなんて酷いアル。私、アネゴと頑張って作ったのに…」
「神楽、オメーには酢こんぶが一番似合うぞ」
「銀さん、その紙袋どうしたんですか?」
「もしかしてチョコレートアルか?」
「そうなんだよ〜。いや〜、銀さんモテモテで…」
「コレ、土方十四郎様へって書いてあるんですけど…」

新八は紙袋の中からメッセージカードを一枚抜き出した。

「あっ、勝手に見るんじゃねェよ!」
「まさかチョコレートほしさに盗みを働いたんじゃないでしょうね…」
「んなことするかよ!これは本人にもらったの!」
「本人って…土方さんに?」
「そう。偶然そこで会って、アイツは甘いモン食わねェっつーからもらったんだよ」
「銀ちゃん…そんなことして虚しくないアルか?」
「るせェよ。誰宛だろうが糖分は糖分。腹ん中に入っちまえば同じだ…お前らにはやらねェからな」
「マヨラー宛のチョコなんてマヨネーズ味に決まってるネ」
「僕も人のを奪ってまでチョコが欲しいとは思いませんよ」
「だから取ったんじゃなくてもらったんだって…」

銀時は自分の事務机に紙袋の中身を広げる。

「うお〜っ、高級店の包みばっかじゃねェか。さすが真選組の副長だな…。
これ、絶対ェ祭り気分なんかじゃねェよ…本気だよ本気。はぁ〜っ、うめェ…」

高級店のラッピングを解き、中のチョコレートを一粒口に入れた。
新八と神楽は、他人宛のチョコレートを嬉しそうに頬張る銀時を呆れ顔で見ている。

「こんなうめェモン食わねェなんて、アイツ人生の半分以上損してるよな。
おっ、これは何処の店だ?ん〜っ…ハッピーバレンタイン♥かまっ娘倶楽部ぅ?
ははっ…何だよアイツ、男からはもらわねェとか言っておかまからはもらってんじゃねーか。
…まさかヅラ子じゃねェよな?開けた途端ドカン!なんてことは…」

銀時は恐る恐る包みを開けた。

「こ、これは…」
「銀ちゃん、どうしたアルか?」
「まさか本当に桂さんからだったんですか?」
「い、いや何でもねェ!普通のチョコだった。…おっ、これも美味い」

明らかに銀時の様子がおかしかったが、新八と神楽がいくら聞いても「美味いチョコだった」としか言わなかった。


土方がこっそり渡したチョコレートは、土方の希望通り銀時に食べてもらえたのだった。


(9)
銀:あっ、あれ?ここで終わり?
土:そうみたいだな…
銀:なんか中途半端じゃね?チョコレートに秘密があるっぽくね?
土:知るかよ。バレンタイン記念小説なんだから、来月に続くんじゃねェのか
銀:来月?あっ、ホワイトデーか!じゃあ次のネタも決まったな
土:つーワケで、次回の拍手更新はホワイトデー版になります
銀:ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
土:これからも俺達をよろしくお願いします!

(10)
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました

(10.03.02)


2010年2月後半〜3月初めに設置していた拍手お礼文でした。バレンタイン記念文が中心なので企画部屋に収納します。全部通して見るとそれほどでもないですが、最初の三回は酷いですね^^;

これの続きが次の拍手文でした。

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