おまけ後編


「「ハァ〜……」」

満足感に息を吐く銀時と中途半端に燻ってしまった熱を吐き出そうとする土方。
異なる意味を持つ二つの「ハァ」が重なった。
仰向けに寝転ぶ銀時は、隣で突っ伏す土方の背中をぽんぽんと天井を向いたまま叩く。

「起きてる〜?」
「……テメーのせいで眠れそうにねェよ」
「ヤり足んねェの?土方くんってばいんら〜ん」
「ざけんっ……」

冗談を受け流せない質の土方が勢いで身体を起こせば、ナカに放たれたモノが逆流してきて
言葉を詰まらせた。

「んん〜……どーしたのかな〜?」
「チッ……次は覚えてろよ!」
「はいはい……んじゃ、次はがんばっへねー」
「あ?」

喋りながら銀時は勃ちかけのモノをあんぐりと咥えた。


「んっ……んむっ、ん……」
「くっ!」


口内で土方のモノを育てつつ、片手を後ろに回して自ら入口を解していく。
「次」とは今からかと、職場でもある所でこれ以上はと頭の片隅で思った土方であったが、
一回でも二回でもヤったことに変わりはないと早々に打ち消した。


「んぅ!む……ぐっ……んんっ!」


与えられている刺激もさることながら、自分の秘所に指を入れて前を膨らませている銀時の姿に
土方の喉がごくりと鳴る。


「ハァッ……これくらいで、いいか?」
「お、おう……」
「では……」


ナカに入っていた手で土方のモノを握り、その先端を自分の窄まりへ押し込んだ。


「あー……思ったよりキチィな……」
「無理ならまた俺が……」
「それはテメーのモンが俺よりデカいっつー自慢か?」
「いやっ、そんなつもりは……」
「はいはい、どーせ俺のムスコは謙虚なヤツですよ……」
「だからそうじゃねェって……」

土方の弁解を聞いているのかいないのか定かではないが、とにかく銀時の口は止まらない。

「だいたいなァ……重要なのはデカさじゃねェ。テクだテク。まぁ、銀さんのは奥ゆかしさが
あるだけで標準サイズだよ。色々言っても普通が一番なんだって。……つーか、お前のモンだって
標準の範囲内だからな。入れる時ちょっとキツかったのは銀さんの締まりが良すぎたからだ!」
「……そうだな」

相槌を打ってはみたが、銀時の話を土方はほぼ聞いていなかった。
どちらのサイズがどうでもいいから、今はただ熱り勃ったモノをどうにか鎮めたかった。
だから一刻も早く話を終えてもらって、行為の続きをしたい。そのためには黙って聞いている
―実際のところは聞き流している―のが最良だ。下手に口を挟めばその分長くなるだけだから。

土方の作戦は功を奏したようで、銀時はふぅと息を吐いて一物の上へ腰を落としていった。

「ほらな……全部入ったじゃねーか」
「ああ」
「…………」
「…………」

顔を見合わせたまま二人の動きが止まる。暫しの沈黙の後、銀時が尋ねた。

「どうした?大丈夫だから動けよ」
「俺がやんのか?」
「おいおい土方くん……オメー今までどんな経験積んでんだよ。突っ込んでる方が動く、
基本中の基本だろ」
「乗っかってる方が動くだろフツー。つーか、付き合ってるヤツの過去とか聞くんじゃねーよアホ」

自分も気にはなるが聞かないようにしてるのにという言葉は飲み込んで、土方は腰を下から
軽く突き上げてみた。


「あっ!」


銀時が首へ縋り付いてきたのに口角を上げ、土方は二度三度と腰を揺らした。


「あっ、あっ、あっ……」


土方の動きに呼応して上がる艶やかな声。


「あっ、んんっ……イイっ!そこっ、気持ちいっ!」
「万事屋……」
「んむっ!」


最後まで聞いていたいがこれ以上騒いではマズイ……というか、既にマズイかもしれない。
土方は銀時を引き寄せて唇を重ねた。


「んっ、んむ、んむっ、ん……」


与えられるのみであった銀時も腰を揺らし、一物を土方の腹筋に擦りつけて自ら快感を追っていく。


「んぅっ!んっ、んむっ、んんっ!」


腹に触れる先走りで絶頂が近いと悟った土方は、銀時の背中と後頭部に手を添え、
身体を倒していった。
仰向けに寝かせた銀時と改めて唇を合わせ、その体勢で激しく腰を振る。


「んんっ!?んっ!んっ!んっ!んーっ!」


土方の肩に回る銀時の腕までビクビクと震えていた。


「んっ、んっ、んっ、んっ、んんんーっ!!」
「っ、ハァッ……!!」


二人の間で銀時のモノが弾け、その直後に土方も達し、口付けを解いた。



*  *  *  *  *



「副長、朝食の準備が整いましたっ!」
「ん……」

朝、土方は障子越しに聞こえる小姓の声で目を覚ました。
といっても、ほんの少し前に寝たばかりな気がする……土方は布団に入ったまま応える。

「今日はいらねェ」
「二度寝っスか?」
「まあな……」
「了解しました!ゆっくりとお休み下さい!」

障子の向こうの丸い影が敬礼して去っていくのを、銀時も布団の中から無言で見詰めていた。
部屋の外に誰もいなくなったところで土方に聞く。

「……行かなくて平気?」
「ああ。休みの日はたまに食わないで寝てるからな」
「あっ、今日休みなんだ……」
「お前は?」
「今のところ何も……」
「じゃあ一眠りしてから何処か行こうぜ」
「あ、うん。でもよ……俺、ここにいて大丈夫なのか?」
「ダメだろうな……」
「ですよねー……」
「……その辺は起きてから考えろ」
「お前がそう言うなら……」

内側の腕を絡ませて手を繋ぎ、二人は目を閉じた。


*  *  *  *  *


「……おはよう」
「おはよう」

先に目を覚ました銀時の視線を感じて土方は再び目覚めた。今更、見るなだなんだと言う気は
ない。言う気はないが、想いも身体も通じ合った今「自分を見てくれて嬉しい」などいう感情も
出てこなくはなっていた。

「そろそろ行くか……」
「あのさ、服貸してくんない?」

銀時はここへ寝巻のまま来てしまった。夜の街はそれでも何とかなったが、流石に明るい中を
寝巻姿で歩くのは気が引ける。それに、そんなおかしな格好の男が一緒では土方にも迷惑が
かかってしまうだろう。

「ほらよ」
「どうも」

見覚えのある濃紺の着流しを受け取って銀時はそれに袖を通す。土方の物を着るということに
ドキドキしていた銀時であったが、隣で同じような着流しに着替えていた土方に目を奪われた。
銀時の着替えの手が止まり、袖を通し、帯を結ぶ土方の様子をじっと見詰める。

「……いい加減にしろよテメー」
「あ!」

土方の言葉で我に返った銀時は慌てて着替えの続きに取りかかり、結び慣れない帯は土方に
結んでもらった。

「器用貧乏のくせに何で帯が結べねェんだよ」
「貧乏は余計だ。ちょうちょ結びはできるぞコノヤロー」
「……それ以外できねェからいつも上からベルトしてんのか」
「まあね……。で、何処行く?」
「とりあえずもう少し寝ねェか?」
「あらやだ、土方くんのエッチ!」
「その寝るじゃねーよ!」
「冗談だって……分かってるよ。俺も眠ィし、コンビニで朝メシ買って宿行くか?」
「ああ」
「じゃ、五丁目のコンビニで待ち合わせな」
「は?」
「俺、入ってきたとこから出るからよ」

そう言って銀時は天井を指差した。

「もうバレてると思うし、玄関から出ろよ」
「でもさ……まだ気付いてないヤツもいるかもしれないし……」
「そのうちバレるからいいって。ほら行くぞ」
「ちょっ……」

土方は銀時の手首を掴んで廊下側の襖を開けた。

「お、おはようございます副長……」
「あのっ、たまたま通りがかっただけでその……」
「神聖な職場に男を連れ込むなんざ士道不覚悟で切腹しろコノヤロー」

副長室の前は隊士達の人だかりができていた。沖田・山崎・鉄之助といった銀時も知っている
隊士から、名前の知らない隊士まで数十人。沖田に至ってはビデオカメラを構えている。
一体いつから撮影していたのか……。だが土方は予想が付いていたのか涼しい顔で、

「連れ込んでねーよ。コイツが勝手に来たんだ」

事実だけを述べ、銀時の腕を掴んだまま隊士達の間を通り廊下を進んでいった。
あまりに堂々とされたため、隊士達は何も言えず立ち尽くすことになる。

それから二人は予定通りコンビニで朝食を購入し、二人で過ごせる宿へ向かった。
途中、銀時は土方に携帯電話を借りて我が家へ連絡を入れた。そこで土方との交際開始を
報告したところ、ストーカーの妄想ではないかと全く信用されず、土方本人に証言してもらった。


交際初日はまだまだ続く。

(12.09.28)


本編より長い「おまけ」これにて終了です。この後二人は宿でご飯食べて昼寝して、またヤるんじゃないかな*^^*

銀さんの帯は、実際のところどうなんでしょうね?羽織袴を着ていたこともありますし、手先は器用な方だと思うのでできなくはなさそうですが……

今回は、できなくて手伝ってもらってたら可愛いなと思ってできないことにしました(笑)。ストーカー(視姦)癖は健在の銀さん。土方さんは苦労させられそうです。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

 

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