後編


「誰彼構わず誘惑してんじゃねーよ」
「あ?」

トッシーへの言動を咎める土方に心外だと顔を顰める銀時。

「誘惑なんざした覚えはねェよ」
「じゃあこの服は何だ?」

これが証拠とばかりに後ろからぴらっと裾を捲れば、直ちに現れるイチゴ柄の下着。

「双子コーデっつーらしいぜ」
「ふた……あ?」

誰と誰が双子なのだと眉間に皺を寄せた土方は、ここで初めて己の出で立ちに意識を向けた。双子コーデの名に相応しく銀時そっくりの愛らしい格好。痛々しい状況に、深い溜息は魂まで吐き出す勢いだった。
腕の力が緩んだ隙に銀時は土方から下りて隣へ座る。

「服はともかくくっ付き過ぎだ」
「野郎には指一本触れて……」
「おい?」

途中で止まった弁明に土方の眉間の皺は深く刻まれていった。
違う違うと両手を振り身の潔白を訴える銀時だが、どうにも説得力に欠ける。

「何したんだテメー……」
「アレはギリギリセーフだ!」
「いいから何したか答えろ」
「…………」

尋問は土方の得意分野。
だからそういうんじゃねェって――膝の間、ソファーの縁を掴み、足をぱたぱたとさせながら口を割った。

「アイツが、手を握ってきて……」
「手?」
「ああ。急だったから、避けらんなくて……」
「それで?」
「すぐ振り払ったに決まってんじゃねーか!」
「お、おう」
「手袋の上からだし……セーフだろ?」

伺うようにこちらを見遣る銀時の瞳は叱られる寸前の子どものよう。上手に「ごめんなさい」出来たら許してくれる?とでも訴えているようだった。

「まあ、今回はセーフだな」
「そっか」

胸を撫で下ろす銀時の姿は、土方にとってかなり意外なこと。閨での積極性や日常的な下ネタの多さから、てっきりこの手のことには寛容なのだと思っていた。
また、己の腕にいつまでも納まってくれるほど、慕われているとも思っていなかった。銀時が飽きるまでの恋人関係だとばかり。可能であれば添い遂げたいが、それは過ぎた望みだと何処かで覚悟もしていた。

しかし少なくとも今の銀時は、他の男と手を繋ぐことすら拒むくらいに恋人へ操立てしている。浮上した際のことをよくよく思い返してみれば、確かに銀時はトッシーに近付きこそすれ触れてはいなかった。しかもあれほど至近距離にいたのは己の魂を呼び起こすため――土方は感動に打ち震える。

「銀時ィィィィィ!」
「わぷっ!」

抱き着いた勢いで倒れ込んだ銀時。そのまま進んでいきそうな手付きに危機感を覚え、身体の間に膝を入れて防御する。当然、土方からは非難の声。

「テメーから誘っておいてどういう了見だ?」
「ヤるのは吝かではねェんだけどな……その前に記念撮影しない?」
「あ?」

トッシーが持ち込んだカメラを拾い上げ、「はいチーズ」と銀時は構える真似をする。こんな痴態を記録されては堪らない土方は即座にカメラを取り返し、そして銀時の痴態ならば幾らでも残しておきたいと思った。これまでも密かに――全てを出し切り意識を飛ばしている時などに――銀時のあられもない姿をカメラに収めていたのだが、今日は堂々とそれができる。

「よし、撮ってやるからいい顔しろよ」
「そういう写真じゃねーよ」
「痛っ」

ワンピースの裾から侵入してくる手を払い除け、カメラは再び銀時の手に。

「一緒に撮んだよ。双子コーデなんだから」

ちょっとそこに立てとソファーの後ろに土方を立たせ、転がっていた三脚をセットする。十秒後にシ ャッターが切れるよう設定し、カウントダウンをしながら土方の隣へ。
土方が銀時の腰へ腕を回し、銀時が反対側の手でピースサインを作ったところでカシャリ。

「……お前、ピースしなかったな?」
「ああ」
「撮り直し。『双子』なんだからお前もピースしなきゃ」
「はいはい。つーか室内ならフラッシュ焚いた方が良くねェか?」
「どうやんの?」
「ここにいろ」

カメラマンを交代し、銀時がその場で待つ。土方は幾つかボタンを操作して小走りで銀時の隣に戻った。
銀時の右腕が土方の左腕に絡み、反対の手で各々ピースサインをする。一瞬の閃光と共にシャッター音が鳴った。

「ピースした?」
「ああ、したした」
「じゃあ……」

いいぜと銀時は右腕を絡めたまま、左手で土方をこちらへ向かせる。二人の唇が重なるのとほぼ同時に再びカメラが鳴った。
驚いたのは銀時。怪奇現象ではあるまいなと土方のワンピースを無意識に掴む。

撮り直しに備えて連写機能をセットしていたのだと説明してやり、土方は銀髪を撫でてカメラを止めに向かった。その間にも一度、カメラは光っている。

*  *  *  *  *

「ミルクがいっぱい出るように、マッサージしてくんない?」

寝室に敷布団のみを敷き、正座を崩して座った銀時はワンピースを胸の下までたくし上げる。肝心な部分はすれすれで服の内。その絶妙な境界線が一層土方の気分を高ぶらせていた。

土方の手が滑り込み、微かに膨らむ胸筋を撫でる。ん、と鼻に抜ける声。銀時は僅かに背を丸めた。
暫くはそうして指全体で円を描くだけ。焦れて口を開き掛けたところを見計らうかのように、土方は両の小突起を摘んだ。

「あっ……」
「この程度で音を上げてたら乳なんざ出ねェぞ」
「う、ん――っ!」

指の腹で頂を押し潰され、銀時は唇を引き結ぶ。裾を捲っていた手は小刻みに震えながら下がり、無意識に腰が引けていった。

「ちゃんと手ェ上げてろ」
「んんっ!」

切なげに眉を寄せつつも何とか腕を上げようと試みる銀時の、従順で健気な姿に土方は興奮すると同時に違和感を覚える。
確かに銀時は抱かれる側であるが、決して受け身ではなかった。ドSを自称するだけあって、あれこれ命令めいたことを言われるのが嫌らしい。

それが今はどうだ。

搾乳プレイの発案は銀時だが、そこから先は土方にお任せ。揶揄も指図も素直に受け入れている――こんな銀時を以前も見たことがある。

再び下がり始めたワンピースの裾を、土方は鎖骨の辺りまで一気に捲り上げた。

「こっちは持っててやるから、マッサージは自分でやんな」
「ひゃっ……」

ぽっちり立ち上がった粒目掛けて息を吹き掛けてやれば、銀時は反射的に身を竦ませる。やらなきゃダメか?そんな視線が土方へ向けられた。

「俺が触る度にテメーは下がっていくじゃねーか」
「だって……」
「自分の手なら、逃げようがねェだろ」

片手を胸へ導いてやると、もう一方もおずおず付いてくる。至近距離に土方がいる状況は、銀時の身体を更に感じやすくさせていった。

「あ……あ、んっ……」

身悶えつつ親指と人差し指で「マッサージ」を始めた銀時。土方は確信した。

銀時はコスプレに弱い。

かつて、面食らうほどに言いなりとなった際も、切っ掛けはトッシーの持ち込んだコスプレ衣装であった。どうやら普段と異なる雰囲気に酔いやすいらしい。

「ね……」
「何だ?」
「マ、サージ……終わったから、吸って?」
「まだ足りねェだろ」
「あぁっ!」

爪の先で頂点を引っ掻くと、銀時はきゅっと膝を閉じた。そちらを見れば、イチゴ柄のトランクスは中央が盛り上がり湿っている。
土方はその湿地の中心に、人差し指の腹で降り立った。

「ハ、ァ……」
「こっちも吸ってほしそうだぞ」
「うん。吸ってほしい……」
「口は一つしかねェよ。どっちがいい?」
「下……」
「じゃあこっち」
「あ……ああっ!」

求めに応じず胸へ吸い付いた土方。姿勢を保っていられず、銀時は遂に倒れ込んだ。

「そ、ちじゃな……ああっ!」

もじもじと動く下半身には敢えて触れないように、土方は舌先で突起を転がしていく。

「あぁぁぁ……も、ダメ!」
「次は反対側を吸ってみるか」
「もう、乳首はいいからっ――」

両手で胸を多い隠し、下への刺激を強請る銀時。ガードごと揉み拉きながら土方はにっと口角を上げた。

「そっちは触んなくても出そうだぞ」
「だめ……みるく、のんで……」

途切れ途切れに発せられたおねだり。しかし見方を変えれば、己に差し出すため必死で耐えている恋人の図。
土方の余裕もここまで。イチゴの下着を剥ぎ取って、くぷくぷと涎を垂らす一物を咥え込んだ。

「ああぁっ!!」

咥えたままに口内へ注ぐ特濃ミルクを嚥下されれば、銀時はまた新たに迫り上がるものを感じる。

「ひぁっ!またみるく出ちゃうぅぅぅぅぅ!!」

*  *  *  *  *

お前のミルクは下の口に飲ませて――そう言って寄れたシーツの上に四肢を着いた銀時。ひらりと揺れる白黒の布を腰まで上げてやり、土方は己の裾も開いて欲望の塊を銀時へ挿入した。

「ああんっ!」
「ハッ……」

後から受け入れた土方の質量。銀時の体は歓喜に震える。時折視界を掠めていく、土方の印象とは懸け離れた色の手袋が銀時を更に興奮させた。

「ああっ!ああっ!ああっ!」

髪を振り乱して喘ぐ銀時の、牛耳カチューシャはとうに外れている。土方の桃色の両手が服の中へ侵入し、銀時の胸へ到達した。

「んんんんんっ!!」

逃れるように背中を丸め、びくびくと震えた銀時は出さずに達する。一物から滴り落ちたものがシーツに染みを作っていた。

「みるくっ、搾って――!」

土方の左手が張り詰めた陰茎を握る。そのまま手の力を入れたり緩めたりしつつ、腰を律動させれば、

「ああああぁっ!!」

まさに乳搾りの如く白い体液が放出された。
その直後、土方も銀時の下の口へ「ミルク」を注ぎ込んでやる。

「ハァ、ハァ……みるく、もっと……」
「上等だ」

己の出したぬめりを借りて、土方は更に激しく腰を打ち付けた。

こうして二頭の発情した牛達は、互いのミルクが出なくなるまで体を重ねるのだった。


*  *  *  *  *


【拡散希望】バカップルは双子コスコーデを単なるペアルックに貶めるので注意

二人の目元のみ隠した口付け画像の添付された単文は後日、再び舞い戻ったトッシーによって電脳空間へ広まることとなる。

(14.12.16)


もちろん土方さんは拡散された画像の無修正版とともに、他には見せられない丑銀さん画像を実用用にたくさん所持してると思います^^
それから誰得な攻め方さんの丑コスですが、管理人は女装攻め好きなのでお許しをw 何年か前にミニスカサンタ着せたこともありましたね。
それでは、ここまでお読み下さりありがとうございました。



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