後編


肩を抱かれた十四郎が銀時の腰に腕を回し、二人揃ってベッドへ乗り上げれば、
古びたスプリングは重さに耐え切れず音を上げた。

「十四郎……」
「銀時……」

見つめ合いながら愛しい人の名を呼んで、二人はベッドの中央で口付ける。
そのまま相手の帯を解き、着ているものを脱がせていけば、先に下着一枚となった十四郎。
上半身しか脱げていない銀時に腕を帯で拘束されようとしたので、待ったをかけた。

「今日は縛らなくていい」
「えっ?」

先程分かり合えたと思ったのだけれど、まだ遠慮しているのだろうかと銀時は思う。

「俺、縛るのも嫌いじゃないよ」
「銀時がしたいならいいけど……」
「十四郎が嫌ならやらないって」

十四郎を抱きしめて、背中を撫でながら銀時は言う。

「無理しなくていいからね」
「違ぇよ。ただ、今日はくっついていたい気分なんだ」

十四郎も銀時に抱き着けば、裸の胸と胸が密着してカッと身体が熱くなった。
拘束時には与えられるのを待つしかない温もり。それを今日は自らも求めたいと思っていた。

「じゃあ今日は、離れないように縛ってみる?」

尋ねる形をとりながらも銀時は既に十四郎の左手首に帯を巻き、それを自身の右手と重ねた。
十四郎の手に指を絡ませてしっかりと繋いでみせる。

「こうしたら離れないでしょ」
「ああ」

一方の端を十四郎が持って、二人は協同で互いの手を拘束していった。


*  *  *  *  *


「あっ、あっ、あっ!」


正常位で銀時を受け入れ、快感に悶える十四郎。
きゅうきゅうと銀時のモノを締めつけるのに連動して、繋がれた手をぎゅっぎゅと握る。


「十四郎っ……!」


内部の蠕動に射精感を耐え切れなくなった銀時は十四郎に口付け、激しく腰を振った。


「んぅっ、んっ、んんっ!」
「んっ!!」
「んんんっ!!」


痛いほど握られた手と身体の痙攣。ほぼ同時にイケたのだと胸を撫で下ろして身体を起こした
銀時は、未だ張り詰めたまま先走りを零し続けるモノを目にして絶句する。

「ごっごめん!イケなかったね」
「え……?っ……ああっ!!」

銀時の左手に包まれて十四郎も精を吐き出した。


「本当にごめん!」
「いや……」

達したばかりの上手く回らない頭で十四郎は考える。銀時は何を謝っているのだろうか……
イケなかったと言っていたが、イッていた気がする。あの弾けるような感覚は確かにそうだ。
しかしその後、銀時に触られて射精したということはイッていなかったのだということで……
自分のことなのに何がどうなっているのか、十四郎には分からなかった。

そんな時にはいつも銀時が頼り。

「銀時……」
「あ、もう一回ヤる?」
「その前に聞きたいことが……」
「何?」
「俺、イッてなかったか?」
「だっ大丈夫!ちゃんとイカせたから!」

先の交わりに満足できなかったのではと銀時は慌てて弁明する。

「俺の方がちょっと早くイッちゃったけど、でも、十四郎もすぐにイケたから!」
「ああ。だがな、その前にイッてたと思ったんだ」
「……どういうこと?」
「よく分かんねェ。精液が出ていなかったからイッてはなかったんだと思うが、だが、
イッた時みたいな感覚になったんだ」
「すごく気持ち良かったってこと?」
「ああ」
「なんか爆発しそうだった?」
「ああ」
「そっか……」

とりあえず及第点はもらえていたようでホッとして、銀時は改めて十四郎を襲った謎の
感覚について考察してみる。
確かに自分もあの時、十四郎の反応からイケたのだと思った。なのに射精寸前のままの一物を
見て愕然としたのだ。あれは自分の勘違いなどではなく十四郎も同じだったということらしい。

出ないのにイク?――もしや!

「それ、ナカでイッたのかも!」
「ん?」
「俺も経験したことはねェけど、ナカを開発すると出さずにイケることがあるらしい」
「それって、いいことなのか?」
「もちろん!ある意味、進化とも言えるね!もっともっと気持ちいいセックスするための進化!」

今回は偶然だが、中と外、両方でイケるようになれば諦めかけていた夢のひとつが叶えられる
かもしれないと銀時は舞い上がる。十四郎とのセックスが良すぎて長持ちせず、妄想だけで潰える
かに思えた夢――即ち、十四郎をイカせまくること。

「ぎ、銀時……」
「そろそろ二回目しようね」

期待に胸も一物も膨らませた銀時は再び腰を振り始めた。


「今度はどっちでイケるかな〜」
「あっ、あっ、あっ……」
「ここも開発したらイケるようになったりして」
「はぁっ!」


自由な左手で乳首を摘めば、また十四郎のナカと繋いだ手にきゅっと力が入った。


「待っ、はぅっ!あぁっ!」


間もなく十四郎は先程と同じく破裂しそうな快楽に襲われる。


「ぎっ……!!」
「イキそう?」


乳首を弄っていた手で十四郎の前髪を掻き上げ、腰の動きは止めずにその額へ口付けを落とす。


「ひあぁっっ!!」


ガクガクと震える十四郎の身体。精液は出ていないがやはり達しているようだ。


「ああああぁぁぁっ……!!」


達しても止まない快感から逃れようと、十四郎は上半身を捩る。
銀時は繋いだ方の手で十四郎の一物を握った。


「ひぅぅぅぅっ!!」
「うあ、やばっ!!」


十四郎の射精に引き摺られ、銀時も精を吐き出した。


「あ、う、ハァ……」
「すごいよ。十四郎のナカ、ヒクヒク動いて気持ちいい……もう一回しよ」
「はぅぅっ!!」


容易に回復を遂げた銀時が律動を再開し、三回戦が始まった。
恋人達の熱い睦み合いは、今宵もまだまだ続いていく。

(13.04.16)


十四郎はドライを覚えました^^ そして久々に銀さん主導でエッチできたような……良かったね、銀さん!
でも十四郎もMなんで、キツイけど気持ち良くて喜んでいると思います*^^*
ここまでお読み下さりありがとうございました。また忘れた頃に続きを書くかもです。 

 

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