「よっ。」
「お帰りアル。」
「お邪魔してます。」
「……何やってんだ?」
外回りから土方が屯所へ戻ると、隊士達の休憩室に万事屋の三人がいた。
出張万事屋銀ちゃん
「出張マッサージ〜?」
万事屋一行がここにいる理由を問い詰めた土方は、返ってきた答えに思い切り顔を顰めた。
「このご時世、待ってるだけじゃ仕事は入ってこねェだろ?かといって売り歩く商品仕入れる
金もねェし、まずは身一つでできる事をと思ってな。」
「だからって、何でウチなんだよ。」
「いきなり民家訪ねても怪しまれるだけだろ。その点ここには顔見知りも多いし、頑丈な野郎
ばかりだから多少やり方がアレでも「ぎゃあああ!!」
土方が悲鳴の聞こえた方へ視線を送ると、うつ伏せていた一人の隊士が神楽に後ろから両腕を掴まれ
海老反り状態にされていた。
「おっおい、やめさせなくていいのか!?」
「大丈ー夫。ああやって猫背を伸ばしてるんで。骨、ポキポキ鳴らすと気持ちいいよねー。」
「ポキポキっつーかボキボキいってんじゃねーかァァァ!!おい神楽、やめろ!」
「はいネ。」
神楽がパッと手を放すと、解放された隊士は重力に従い畳の上に倒れ込んだ。
「おっ、寝ちまうほど良かったか?こりゃ、割増料金いただかねーとな。」
「ふざけんなよテメー!勝手に屯所で商売始めた挙句、隊士を痛めつけるたァいい度胸じゃねーか!」
「勝手じゃありませんー。ちゃんと局長の許可はもらいましたー。」
「ぐっ……そ、それでも、怪我させていいわけねーだろ!真面目にやれ!!」
「まあまあ……ところでお前もどう?疲れ、溜まってんだろ?」
「俺ァいい。」
「遠慮すんなって。ここんとこ休みなしで働いてんじゃん。今日ここに来た本当の理由はな……」
「あっおい神楽やめろ!オメーは一人でやるんじゃねェ!」
「…………」
銀時の話の途中にもかかわらず土方は、再びマッサージに取り掛かろうとした神楽に注意をする。
更にそのまま銀時の横を通り過ぎ、子ども達の元へ行ってしまった。
「いいか神楽……オメーは銀時か新八のサポートをしろ。」
「嫌アル!私だって一人前ヨ!」
「そうかそうか。一人前の女は軽々しく野郎の体に触らねェもんだぞ。」
「分かったアル。じゃあトッシー、横になるネ。」
「いやだから……」
「トッシーは銀ちゃんの彼氏だから安全アル。」
「お、俺は急ぎの仕事があるからいい。…じゃあな。」
スタスタと休憩室を出て行く土方の後ろ姿を、銀時は無言で睨み続けていた。
* * * * *
「ひーじかーたくーん。」
「……何しに来た?」
「ンな釣れないこと言うなよ〜。ほら、肩がガチガチじゃん。こんなんじゃいざっつー時、動けねェよ?」
「触んなっ!」
両肩に置かれた銀時の手を土方は振り払い、書類に向かい続ける。けれど銀時はめげずに、土方の肩へ
手を戻した。
「お客さん凝ってますね〜。仕事、忙しいんでしょ?」
「やめろ。」
「こんなになるまで働いて……可愛い恋人が心配してんじゃないの?」
「…………」
「もう何日会ってないの?あんまり放置しとくとそのうち恋人が職場に乗り込んでくるかもよ?」
「…………」
「早く仕事終わらせて会いに行ってやんな。……まずはそのための体作り。こんなガチガチじゃ、
終わる仕事も終わらなくなっちゃうよ。」
「〜〜〜っ!!分かったよ!肩揉んだら家で待っとけ!!」
「よーし…新八、神楽、入っていいぞ!」
「は?」
土方が銀時のマッサージを受け入れるや否や、布団や手拭いを持った新八と神楽が副長室へ
入って来た。二人がテキパキと布団を敷くと、銀時はその上に土方を背負い投げて寝かせた。
「それではマッサージを始めまーす。」
「おいコラふざけんな!何で投げられなきゃなんねーんだよ!!」
「愛する恋人を放置プレイする副長さんには罰が必要かと思いまして。」
「だからそれは仕事で……」
「あーはいはい。じゃあ始めまーす。」
銀時は土方をうつ伏せにさせ、腰の上に跨る。新八と神楽は「それではごゆっくり」と笑顔で言って
副長室を後にした。
子ども達が襖を閉めたのを確認し、銀時は土方の背に倒れ込んで自分の胸をぴたりと付けた。
「……マッサージ、しねェのかよ。」
「ちょっとだけ……」
「悪かったな。なかなか会いに行けなくて。」
「別に……お前が忙しいのは知ってるし。」
「銀時、ありがとな。」
「ん。……さぁて、マッサージ始めますか…って、このセリフ何度目だ?」
「知るか。」
銀時は体を起こし、土方の背中に両手を付いた。
「―っ!」
背中に触れた際の土方の反応に違和感を覚えた銀時は、腰骨と布団の隙間に手を入れて確かめてみた。
「てめっ、何すん……」
「やぁっぱり勃ってる。…お客さ〜ん、そういうことなら別料金いただきますよ〜。」
「いらねェよ。」
「そんなこと言って溜まってんでしょ?あ、もしかして……さっきまで素っ気なかったのって、
こうなるのが分かってたからか?そんじゃあ、出張マッサージ特別版ってことでサービスしてやろう。」
「いらねェっつってんだろ!」
「お、おい……」
銀時を下ろして体を起こし、土方は背を向けて座る。
「テメーに水商売の真似事なんかさせられるか!」
「へっ?」
一瞬、言われたことが分からず目をパチクリさせた銀時であったが、言葉の意味を理解した途端、
締まりのない顔になっていく。
「言い方悪かったよ。……お客さんにはカラダで払ってもらいますぅ。」
「だから俺は……っ!?」
銀時は土方の手を取って自分の股間に導いた。
「オメーの勃起チ○コ触ったせいで勃っちまった……責任とって。」
「ンとにテメーは……」
「ん〜。」
二人は深く深く唇を重ねた。
* * * * *
「あれっ、入れねぇの?…俺が入れる方でもいいけど。」
「どっちもヤんねェよ。ここをどこだと思ってんだ。」
副長室の布団の上、土方と銀時は服から一物だけを出して向かい合って座っている。
「はいはい。では失礼しまーす。」
「その喋り方やめろ。」
銀時は土方の一物に、土方も悪態を吐きつつ銀時の一物に右手を伸ばした。
「いいじゃん。デリヘルごっこしよーぜ。…オ客サン、ツユダクネー。」
「何でカタコトなんだよ!」
「あっ!」
さっさと終わらせてしまおうと、土方はやや乱暴に銀時のモノを扱き始める。
「あっ、あっ、あっ……」
「テメーもつゆだくじゃねーか。」
「あっ、んっ……オ客サン、おじょーず……」
「もう黙ってろ。」
「んんっ!」
唇で唇を塞いで言葉を奪い、土方は激しく銀時の一物を扱く。
「んんっ!んっ、んーっ!」
「んんっ!」
負けじと銀時も土方の一物を扱いていく。二人の手が動くたび、ぬちゅぬちゅと淫靡な音が響いた。
「ハァ、んっ!」
「んっ、んくっ……」
快感に震える身体につられて離れそうになる唇を空いている左腕で互いに引き寄せ、貪るような
口付けをしながら、相手の一物を扱いていく。
会えない時を取り戻そうと激しく、熱い想いを込めて。
「んっ、んむっ、んんっ!」
「んくっ、んんっ、んーっ!」
「「んんーっ!!」」
二人の一物から大量の白濁液が放出された。
* * * * *
「オ客サ〜ン、延長シマセンカ〜?」
後始末を終えるとすぐ仕事へ戻った土方の背中に呼びかける。
「まだやってんのかよ……テメーも仕事に戻れ。」
「はいはい。……よっこらしょ。」
「……銀時。」
気怠げに立ち上がり部屋から出て行こうとすると、土方から名前を呼ばれた。
「何?」
「仕事終わったら、家で待ってろ。」
「延長デスカー?」
「アホか……」
「オ仕事、ガンバテクダサーイ。」
「テメーもな。」
互いに背を向けたまま手を振り合って別れた二人は、この日の深夜、万事屋で落ち合うことになる。
(11.07.20)
二周年記念として、七月二十日に三本(銀土・土銀・リバ)小説をアップするぞと三日前に決めまして、その時まったく手付かずだったのがリバ小説でした。
ネタのストックはあるのでどれにしようかと考えていたところ、旅先でマッサージを受けてる時にこれを思い付き、勢いで書いてしまいました。デリヘルごっこ
というかイメクラ?銀さんはノリノリでやりそうですが、土方さんはあまり好きじゃなさそうです。いつもの銀さんとラブラブしたいんですよ、彼は。
というわけで、全然二周年と関係ない話になりましたが二周年ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。
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