おまけ
万事屋の住み込みバイト最終日、仕事の終わった銀時は土方と共に我が家へ向かっていた。
土方はまだ仕事が残っていたが「せっかくだから恋人と一緒に上がれ」という近藤の気遣いにより
こうして二人揃って仕事終了となったのである。
他のメンバーはと言うと、二人きりにしてあげようと揃って志村家へ行っていた。
道すがら、土方は横目でちらりと銀時を見た。
「その服…なんか、すげぇ久しぶりに見る気がする。」
「そ、そう?」
「ここんとこ、制服か寝巻きしか見てなかったから…」
いつもの白い着流し姿の銀時に、土方は安心感すら覚えていた。
「そういえばそうだね…。たった一週間だったけど、随分長く真選組に居た気分。」
「…でも、坂田はやっぱり万事屋の方が合ってると思う。」
「そうだね。近藤からはまた手伝いに来てくれって言われたけど…」
「そうなのか!?(あんなカッコイイ坂田とまた…?一週間だけだと思って耐えたのに…)」
「あっ、でも断わったよ。…万事屋の方が気楽でいいし(仕事中の土方、めっちゃカッコよくて、
これ以上一緒に居たら心臓爆発しちまうって!)」
「そ、そうか…(良かった…)」
これで漸く日常に戻れるのだと、二人とも胸を撫で下ろした。
* * * * *
「どーぞ。」
「お邪魔します。」
万事屋に着き、履物を脱いで玄関を上がると、そこからはいつものように手を繋いで中へ入る。
そして銀時が居間の明かりを点け、二人で長イスに腰掛けた。
もうじき梅雨入りするこの時季、一週間留守にしていた部屋は空気が籠っていて外よりも蒸し暑い。
けれど二人は何もせず、ただ長イスに並んで座り、指を絡めて手を繋ぎ続けている。
まるで一週間分の日常を取り戻すかのように、いつもと変わらぬ万事屋で、いつもと変わらぬ服装で
いつもと変わらずただ静かに、いつもよりほんの少しだけ強く、相手の手を握っていた。
新たな面を知れば知るほど相手を好きになる―恋人達にとってそれは幸せなことだと思うのだが、
この二人にとっては緊張の種が増えるだけ。
周囲からどう思われようと、二人は今のままで充分幸せなのであった。
(11.06.07)
純情シリーズの最終目標は初エッチってことで連載を続けているのですが、複数の方から「このままでも…」というコメントをいただいております。
そうしたことからここ何話かは、あまり進展らしい進展のない話が続きました。ただ、このままとなると話が続かないんです。いっつもお手て繋いで
ふわふわしてるだけの二人ですから^^; 純情シリーズ限定リクとか受け付けようかな…純情な二人にこれをさせて!的な…(笑)
でもまだ進展させないと決めた訳じゃありません。進展させる場合のゴールは一年くらい前から考えているので、それに向かっていきたい気持ちもあります。
なので、もう暫くはどっちつかずな感じで連載を続けようと思います。ぐだぐだ言ってすみません。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
追記:続きを書きました。→★
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