男同士って・・・?終
季節は春、天気は晴れ。今日は文句なしの花見日和。
銀時達万事屋一行はスナックお登勢の面々や、お妙らとともに近所の公園で花見をしていた。
そこへ、部下を引き連れた近藤がやって来た。
「いや〜奇遇ですなぁ!お妙さんも花見ですか?」
近藤はさり気ない風を装っているつもりのようだが、彼の部下も含め、周囲からは呆れ顔で見られている。
そんな中、営業スマイルにどす黒いオーラを纏ったお妙が立ち上がった。
「いい加減にして下さい。私達は花見をしてるんです。ゴリラを見に来たんじゃありません。」
「いや、我々も花見に…」
「部下を連れてストーキングなんて恥ずかしくないんですか?」
「誤解ですよお妙さん!確かに今日ここで万事屋一行が花見をするのは知っていました。それは認めます。」
「あら、漸く罪を認めましたね。…さあ警察の皆さん、このストーカーゴリラを早く捕まえて下さい。」
「待って下さいお妙さん!俺はトシのためを思って今日の花見を企画したんです!」
「は?」
いきなり話題に出された土方は、咥えていた煙草を危うく落としそうになった。
「おい近藤さん、何言ってんだ?」
「俺はな、トシが恋人と会いたいだろうと思って万事屋の花見の日取りを調べたんだ。…さあトシ、
遠慮なく恋人の隣に行くがいい。…なに?一人じゃ照れ臭い?じゃあ俺が一緒に行ってやろう!」
土方は額に手を当てて溜息を吐いた。
「近藤さん…それでやたらとしつこく俺を花見に誘ったのか…。ったく…そんな小細工があの女に
通用するわけねーだろ。」
「こ、小細工とはなんだ!俺はただ、可愛い部下と恋人の過ごす時間を増やしてやろうとだな…」
「流石ですわ、近藤さん。」
「お妙さん!俺のこと、見直してくれました!?」
「ええ。ゴリラにしては上出来ですわ。…では、土方さん『だけ』こちらへどうぞ。」
「あ、いや、俺は…」
「トシが一人じゃ行きにくいみたいなんで俺も「テメーは来るんじゃねェェェェ!!」
お妙の鉄拳が近藤の顔面にクリーンヒットし、土方一人、万事屋一行の中に加わることになった。
けれどめげない近藤は隣にシートを広げ、沖田と神楽が言い争いを始めたこともあり、結局合同の
花見となったのである。
* * * * *
一時間後。
「おい山崎、トシはどうした?トシがいないと今日、ここに来た理由が…」
「副長なら喫煙所に行きましたよ。ていうか局長、もうバレバレですって。」
「何を言う!俺はトシと万事屋を会わせてやろうとだな…あ、あれ?万事屋もいないぞ。」
「本当ですね。…新八くん、旦那は?」
「そういえば、厠に行くって言ったきり戻ってきてませんね。まだそんなに飲んでないと思ったんですけど、
酔って寝ちゃったのかな?」
「銀ちゃんならトッシーと一緒アルヨ。」
「「えっ?」」
真選組の弁当を沖田と奪い合っていた神楽が手を止めて話に加わる。
「神楽ちゃん、それ本当?」
「多分そうアル。二人とも、ずっとソワソワしてたネ。」
「言われてみれば副長も、煙草吸いに行って三十分くらい経ってるな…」
「今頃、どこかのホテルにしけこんでるに違いないネ。」
「チャイナさん、トシはそんなふしだらな男じゃありません!確かに万事屋とは将来を誓い合った仲だが
だからといって祝言を挙げる前にそんな…」
「何言ってるネ。アイツらが隙あらばいちゃいちゃしてるの、知らないアルか?」
「へぇ…あの二人がねィ。」
面白そうな話をしていると、沖田も口を挟む。
「旦那ん家でいちゃついてやがるのか?」
「はい…一応、僕達の前では遠慮してるつもりみたいなんですが…」
「二人でご飯作ると言っては台所でいちゃいちゃ、後片付けを私と新八がしてる時は居間でいちゃいちゃ…
それで、私と新八がいなくなった瞬間布団に直行ネ。」
「副長と旦那が…。ハハッ…随分と上手くいってるみたいだね。」
「とんでもねェバカップルになりやがって…面白くねェ。」
「困った大人達ネ。」
その頃、話題の二人はというと…
「「んっ…」」
公園からそう遠くない場所にあるラブホテルの一室に居た。
部屋の扉を閉めたと同時に抱き合って唇を合わせ、一通り口内の感触を楽しんだところで口付けを解き、
履物を脱ぐ。そして、真っ直ぐにベッドへ向かいながら自分の帯に手を掛けた。
「お前さァ…今日は仕事って言ってたじゃん。だから俺、アイツらと花見してたのによー…」
「本来なら俺は留守番するはずだったんだよ。…テメーがあの女と一緒なのが悪い。」
「いやいや、悪いのはお宅のストーカー上司でしょ。それにお前も、ちゃっかりウチの陣地に来たし…」
「あ?嬉しかったか?俺が隣に座った途端、物欲しそうな顔しやがって。」
「それはそっちじゃねーか。厠でいきなり襲ってきたくせに。」
「襲って欲しくて厠に行ったんだろ?」
「マジで自意識過剰だな。んっ…そんなわけねーじゃん。」
「んっ…じゃあ何でここに来てんだよ…」
交わす言葉とは裏腹に、全裸になった二人は触れるだけの口付けを繰り返す。
「それは、んっ…お前が盛ってて可哀想だったからだよ。」
「そうかそうか、んっ…気遣ってもらって悪かったな。」
「んっ…ハァッ……つーことで、抱いてやる。」
「おう。」
ベッドの上、土方が仰向けになり銀時がその上に重なって口付けを続ける。
今日は銀時が抱く番であった。
初めに土方が銀時を抱いてから、二人は会う度に役割を交代させて身体を繋げていた。
口付けを交わしながら銀時は右手を土方の脚の間に滑り込ませる。
「んっ…」
土方は銀時の首に腕を回して口付けを深めつつ、膝を立てて足を開き銀時の手を迎え入れる。
「んっ、んむ!」
銀時の指が挿入されると、土方の腕に力が込められた。
「んっ…んぅっ!んんっ!」
土方は銀時にしがみ付いて快感を享受する。
「あっ!んんっ…んーっ!」
ナカの指を増やすと同時に銀時はわざと口付けを解く。
すると土方は、声を漏らさぬよう自ら手の甲で口を塞いだ。
「声、聞かせてよ。」
銀時は土方の手を口元から外し、頭上で一纏めにして押さえ付けた。
「離せっ…」
「お前の時は俺の声聞いてんだろ。…だからさっ。」
「んんっ!くっ…ぁ…あぁっ!」
土方は力いっぱい口を引き結び声を上げまいとしたが、快楽点を激しく捏ねられると堪え切れずに
声が漏れてしまう。
銀時はそうして土方の乱れる姿を堪能してから指を引き抜き、勃ち上がった自身を一気に挿入した。
「あぁぁ…っ!!」
銀時は間髪入れずに律動を始めた。
「あっ!あっ!あっ!あっ!」
潤滑液と体液が混ざり、結合部がじゅぷじゅぷと音を立てる。
土方はもう、声を抑える余裕などなくなってしまった。
「ああっ!あっ、あっ…くっ…ああぁっ!!」
「ハッ…くぅっ!!」
ナカの刺激によって土方は達し、銀時も土方の体内に精を放った。
「ハァッ…土方…」
「んっ…」
繋がったまま銀時は上体を倒して唇を重ねる。
チュッチュと啄ばむような口付けを数回交わすと、銀時は土方の指をしゃぶり始めた。
「なぁ…俺のも触ってくんない?」
「ん…」
土方はもう一方の指を唾液で湿らせてから腕を伸ばした。
「もっとこっち…」
「大丈夫?触れって言っといてなんだけど…この体勢、キツくない?」
「平気だから、来い。」
曲げた脚が胸に付くような体勢で挿入されている土方は、自分の腿と銀時の腰の隙間に両腕を通し、
銀時の臀部をまさぐる。
「はぁ……あっ!」
「んっ!」
土方の指が銀時の入口に到達すると、土方のナカの一物も反応を示す。
土方は左右の指を二本同時にナカへ挿入した。
「あ、ぁ…気持ちイイ…」
「…いつもより熱いな。酒のせいか?」
「土方のナカも熱いぜ。」
「んっ…!」
銀時は土方の手の妨げにならない範囲で腰を揺すり、土方のナカを刺激する。
「お前のアレ…デカくなってきた。」
「そりゃあね、気持ちイイから…」
「じゃあ、もっとしてやる。」
土方は出来る限り指を奥まで進め、銀時の内壁をぐにぐにと押していく。
「あっ、あっ、あっ!」
「は、ぁ…」
銀時が土方の指で感じるとナカにある一物が膨らみ、土方自身も気持ち良くなる。
また土方が感じるとナカが蠢き、銀時のモノに快感を与える。
互いに互いの快感を呼び、二人はすぐにその虜となった。
「あっ、あっ…やべっ!」
先に限界が来たのは、前後から同時に刺激を受けている銀時であった。
「もう、ダメ…。出していい?」
「ああ。」
土方は銀時の射精を促すため、ナカの指で前立腺を強く擦った。
「…ああぁっ!!」
銀時は再び土方のナカに吐精し、その後土方も前を擦られて白濁液を散らせた。
* * * * *
「あー…もう今更戻れねェな。新八達、怒ってるかなァ…」
水のボトルを手に、銀時は背中を丸めて息を吐く。
二人は今、シャワーを浴び終えてベッドの縁に腰掛け、水分補給をしているところである。
「お前、戻るつもりだったのか?」
「ていうか、お前は最初から戻らないつもりだったのか?」
「ああ。…戻ったとしたら晒しモンになるだけだからな。」
「だから二人で抜けたって気付かれないように、さっとヤって戻ろうかと…」
「無理だろ…」
「無理か…そうだな。」
そうと決まればこの部屋で寛いでやろうとベットに突っ伏した銀時であったが、何かを思い出したように
「あっ!」と声を上げて起き上がる。
「俺達が一緒にいるって…バレてるよな?」
「多分な…」
「あ〜…」
「…あの場にいた連中は、俺達の関係を知ってたんじゃないのか?」
「知ってはいるんだけどさァ…何つーか、暫くこのネタでからかわれそうな気がして…」
「まあ、そうだろうな…。ていうか、あの場に居たら今まさにからかわれてるところだろうな…」
「それもそうか…」
「ところで…」
土方の表情から次の言葉を読み取った銀時の目が煌めく。
「…次は土方が抱く番な。」
「ああ。」
二人は再びベッドの上で抱き合うのだった。
(11.04.19)
「壱」をアップしたのが2月18日ですから丸二ヶ月かかって漸くリバ小説完結です。えっと…この二人は基本的に会えばエロいことしかしてません^^;
そもそも付き合うきっかけが「シてみたら気持ち良かった」ですからね。なので、会ったら発情するようにできてるんです(笑)。やめられない止まらない
そんな二人のいちゃラブエロが書きたかったんです。ただ、一話一話の分量を全く考えずに書いてしまったので、最後が駆け足になってしまったのが反省点です。
もう少し二人が「後ろ」に慣れていく様子をじっくり書きたかった。「玖」と「拾」、「拾」と「終」の間で何回かデートしてる設定です。分かりにくかったらすみません。
二ヶ月かけて更新のたびに一話ずつ読んで下さった方々も、一気に通して読んで下さった方々も、ここまでお読みくださり本当にありがとうございました!