布団の上で土方は自分の帯を解く。

「脱ぐのか?意外とヤる気満々?」
「アホ…服を汚さねェためだ。…テメーと出たのはおそらく隊士に知られてるからな。」
「そっか…。俺も新八達に気付かれると厄介だし、脱いでおくか…」

土方に倣い、銀時も服を脱ぐことにした。
一糸まとわぬ姿になった二人は改めて向かい合う。

「あらら〜…もう完勃ち?土方くんってばエロいんだから…」
「…そういうことはテメーの股間を見てから言えや。」
「あっ…」

銀時のモノも土方同様、完全に勃ち上がっていた。

「だいたい、誘ってきたヤツにエロいとか言われたくねーよ。」
「ハハハッ…じゃあ、ヌくか?」
「おう。」

二人は胡坐をかいて座り、相手のモノへ手を伸ばそうとしたものの・・・

「足が邪魔だな…」
「この前みたく、横になるか?」
「そうすると手が動かしずれェ。」
「だよなァ…。あっ、じゃあこうすればよくね?」

銀時は足を開いて土方の膝を跨ぐ。

「お前も足伸ばせよ。」
「…こうか?」

土方も足を崩して、銀時の膝の下を通す。
そして、互いに触りやすいようにと腰と腰をぐっと近付けた。

「これでいいだろ。」
「…俺の足が下になってんのが気に食わねェ。」
「何それ?この体位は俺が編み出したんだから、俺が上になるのは当然だろ。」
「編み出したなんつー、大それたもんじゃねェだろ。…だから俺が上だ。」
「意味分かんないんだけど…。もう、これでいいじゃん。…次はお前が上になっていいからさ。」
「…絶対だな?」
「はいはい…。じゃあ、触るぜ。」
「おう。」

二人は今度こそ相手のモノへ手を伸ばした。


「んんっ!」(銀)
「くっ!」(土)


相手の手が触れただけで忽ち強い快感に襲われた。
銀時は上がる息で途切れ途切れになりながら土方に問う。


「な、なぁ…そ、れ…どーやってん、だ?」
「そ、れって…?」
「お前、が、触ると…す、げぇ、感じ…で…」
「て、めーこそ…なんか、へんな…」
「ん?」


銀時が視線を手元に移すと、自分の手の中で土方のモノがピクピクと震え、先走りを漏らしていた。


「…なんか、エロいな…。お前のチ○コ…」
「は?テメのと、何が違うんだよ…」


言われて確認すると、土方の手に握られて銀時のモノも震えながら先走りを漏らしていた。
土方は手をゆっくり上下に動かす。


「むしろ、エロいのはテメーの方だろ?ちょっと触っただけでこんなヌルヌルにしやがって…」
「あっ!…お、まえだって、ヌルヌルのくせにっ…」


銀時も土方のモノを扱き始める。


「くっ!…っ…はぁっ…」(土)
「あっ…はぁっ!んんっ…」(銀)


手が動き始めると間もなく、二人は軽口を叩く余裕を奪われてしまう。


「んんっ!…くっ…ぁ…」(土)
「あぁっ…やばっ…も、イキそ…」(銀)
「…イケよ。」
「テ、メーもなっ…」
「うあっ!」


銀時は両手を使って土方のモノを刺激する。


「りょ、ては…ずり、ぃ…ぞ!」
「あぁっ!」


土方も両手を使って銀時のモノを刺激し始める。
二人の身体がぷるぷると震えた。


「あっ…くっ!!」(土)
「も、むりっ…ああっ!!」(銀)
「くぅっ!!」


銀時が達し、その直後に土方も達した。


*  *  *  *  *


「なあ…ケータイ番号、教えてくんねぇ?」
「あ?」

互いに精を吐き出した後、手や一物をティッシュで拭いながら銀時が土方に言った。

「ケータイの番号。そしたら沖田くん経由でお前の予定聞かなくていいし…」
「そうだな…。ったく、帰ったら絶対ェ総悟に勘繰られるな…」
「ハハッ…テキトーに誤魔化しといてね。」
「誰のせいだ、誰の。…ほらよ。」

土方は着物の中から名刺を取り出し、その裏に携帯電話の番号を書いて銀時に手渡す。

「んっ、サンキュー。ところでさ…」
「……もう一回、するか?」
「する。」


二人は再び布団の上で抱き合った。



*  *  *  *  *



それから一ヶ月が経ち、銀時と土方は休みのたびに肌を重ねるようになっていた。
今日も銀時が土方に電話を掛ける。電話を掛けるのはいつも銀時から。
二人の関係は極秘のため、誰が出るか分からない万事屋の電話に土方が掛けることはしなかった。

「もしもーし…明後日のことなんだけどさァ…あ?勤務変更?バッカ…お前、そういうことは早く言えよ。
…で?次の休みはいつ?……はぁ!?今日!?お前、マジでアホか…いきなり今日とかよー……
いや、大丈夫だけど…。…うん、うん…いいよー。じゃあ、また後で〜…はーい…」

銀時は受話器を置くと「ちょっと行って来る」とだけ言い残して家を出た。
玄関の扉が開き、また閉まる音を確認してから新八が口を開く。

「銀さん、最近誰と会ってるんだろう…。神楽ちゃん、知ってる?」
「どほーじゅーアル。」
「どほー…えっ?何それ?」
「銀ちゃん名刺見ながら電話掛けてたアル。その名刺こっそり見たら、どほーじゅーって書いてあったネ。」
「…本当にそんな名前だったの?」
「失礼アルな!簡単な漢字ばっかりだったから読めたネ!間違いなく、どほーじゅーだったアル!」
「うーん……ちょっと書いてみてよ。」

新八はメモ帳とペンを神楽に渡す。神楽はそこに名刺で見た字を書いていく。
神楽の書く文字を見て、新八は目を丸くした。

「か、神楽ちゃん…本当にこれだったの!?」
「そうアル!なっ、どほーじゅーだっただろ?…下の名前は、しろうだったネ。」
「これ、土方さんだよ!!」

メモ帳には歪な字で「土方十 四郎」と書かれていた。

「…マヨラーアルか?マヨラーって本当は、どほーじゅー しろうって名前だったアルか?」
「違う違う!これで、ひじかたとうしろうって読むんだよ。」
「マジでか!?じゃあ銀ちゃんは最近、マヨラーと会ってたアルか!?」
「た、多分…」
「何でネ?銀ちゃんとマヨラー、めちゃくちゃ仲悪いアル。」
「僕も何が何だか…」
「問い詰める必要があるアルな。」
「と、問い詰める?」
「きっと銀ちゃん、マヨラーの弱み握ったネ。それで美味しいモン鱈腹ご馳走してもらってるアル!」
「そ、そうなのかなぁ?」
「銀ちゃんばっかりずるいアル!次は私も連れて行ってもらうネ!」
「うーん…」

神楽の言うような理由で銀時が土方と頻繁に会うとは思えないが、二人が急接近した理由は気になるので
銀時が帰ってきたら聞いてみようと新八も思った。


*  *  *  *  *


「ただいまーっと…」
「銀ちゃん!」
「な、なんだよ…」

数時間後、土方との逢瀬を終えて銀時が帰ってくると、神楽が腕組みして待ち構えていた。

「銀ちゃん、マヨラーと会ってたアルな?」
「は、はぁ!?なに言ってんだよ…そんなことあるわけねーだろ。」
「しらばっくれても無駄ネ!どほーじゅーじゃないことは分かってるアル!」
「は?どほー…何だって?」
「神楽ちゃん、銀さんが土方さんの名刺片手に電話してたの見てたんですよ。」
「えっ…」

神楽の言葉を新八が補足する。

「それで、土方さんの名前を『どほうじゅう』と読んでいたみたいで…」
「あ、そう…」

銀時は新八の言葉を聞きながらも、どう言い訳しようか必死に考えていた。

「どういうことネ!マヨラーの弱みに付け込んでご馳走三昧アルか?」
「ま、まあ、そんな感じかな?」
「…違いますよね?そういう時は、僕らも連れて行ってくれるじゃないですか。」
「い、いや〜…アイツも部下に奢ったりとかで意外と生活苦しいみたいでよー…」
「じゃあ何で、この前土方さんに会った時、何も言ってなかったんですか?」
「こ、この前って…?」
「三人で買い物に出た時、土方さんに会ったじゃないですか。でも何も言いませんでしたよね?」
「そういえばそうネ!そんな時は、団子の一つでも奢らせるのがいつもの銀ちゃんアル!」
「そ、それはだな…」
「それは?」
「何ネ?」

新八と神楽に詰め寄られ、銀時は言葉に詰まる。

(マズイ…。コイツら、付き合い長いだけあってヘタな誤魔化しは通用しそうにねェぞ…。
かといって子どもに『気持ちいいからヌき合ってる』なんてこと言えねェし…でも今更単なる飲み友達で
信用してくれそうもねェし…尾行とかされてホテル入ってんの見られたら終わりだしなァ…)

「もしかして…僕らには言えないようなことしてるんですか?危険な依頼を受けてるとか…」
「マジでか!?それなら私がマヨラーぶん殴ってやめさせてやるヨ!」
「ち、違うって!そういうんじゃないから…」
「じゃあ何ネ?」
「えっと…だから、その…」
「言えないってことはやっぱり…」
「違う違う!だから、えっと…俺と土方はだな…」
「銀さんと土方さんは?」
「その……ちょっとした、お付き合いのような…」
「お付き合い!?」
「銀ちゃん、マヨラーと恋人同士アルか!?」
「ま、まあ…何というか、その…そんな感じ、かな?ハハッ…」
「そうなんですか!?」

銀時と土方の予想だにしない関係に初めは驚くばかりの二人であったが、徐々に表情が明るくなる。

「いつから?いつから付き合ってたアルか?」
「えーっと…いつからだったかな…」
「もしかして節分パーティーの時ですか?」
「あー、そうね…。そんくらいからだったかもな…」
「じゃあ、もう一ヶ月以上付き合ってるアルか?」
「全然知りませんでしたよ。…何で教えてくれなかったんですか?」
「そ、それは…えっと…男同士だし、しかも土方だし…」
「確かにビックリしましたけど…でも僕ら、銀さんの幸せはちゃんと祝福しますよ。」
「新八ィ…今日はお赤飯アル!」
「そうだね。じゃあ、買い物に行かなきゃ。」
「私も行くアル!」
「それじゃあ銀さん、行ってきます。」
「行ってくるアル〜。」
「お、おう…」

二人を見送った銀時は真っ直ぐ電話機に向かって行った。回すのは先程まで会っていた土方の番号。

「…もしもし?」
『どうした?忘れ物でもしたか?』
「あっいや、実はさ…新八と神楽に、お前と付き合ってるって言っちゃって…」
『は?』
「悪ィ…。お前と会ってんの知られててさ…だからって本当のこと言うわけにもいかなくて…」
『まあ、ガキに言うことじゃねェよな…。分かった。もし会ったら適当に合わせとく。』
「サンキュー。じゃあ、よろしくな。」
『ああ。…じゃあまたな。』
「おう。」

土方への根回しが済み、銀時はホッとして受話器を置いた。



同じ頃、真選組屯所。土方が通話を終えたのを見計らって沖田が副長室に姿を現した。

「電話、旦那からですかィ?」
「あ?違ェよ…」
「そんなこと言って…最近二人で会ってんの、よく見かけますぜ。」
「チッ…」
「旦那のこと、好きだったんですねィ。節分の時も、酔って本音が出たってとこですか?
こりゃ、嘘から出た真ってやつで「別に好きじゃねーよ。」

土方は苦々しい顔で沖田の言葉を否定する。

「じゃあ、旦那に好きだって言われて絆されたんで?」
「…そもそも、そういう関係じゃねェんだよ。」
「ホテルにしけ込んでるのに?」
「チッ…んなとこまで見てたのかよ…」
「偶々見えたんでさァ。…それで?肉体関係まであるのに、恋人じゃねェって言い張るんですかィ?」
「ああ…恋人じゃねェよ。」

鬱陶しそうにそう言った土方は、嘘を吐いているようには見えなかった。

「するってぇと…セフレってやつで?」
「…まあな。」
「でも土方さんは旦那のこと、好きなんでしょう?」
「あ?好きじゃねェって言ってんだろ。」
「アンタが好きでもない、しかも男とそんなことするとは思えませんが…」
「そうでもねーよ…」
「それに相手は旦那ですぜ?後腐れなく発散するなら、金で買えるヤツの方がいいでしょう?」
「るせェな…。無駄話してねェで仕事しろ、仕事!」
「へーへー…じゃあ俺は行きますけど、旦那のこと、一人でゆっくり考えてみて下せェよ。」
「誰が考えるかっ!」

土方は胸ポケットからタバコを取り出して咥える。
タバコの煙を肺いっぱいに吸い込んだが、何故だかイライラは治まらなかった。


(11.03.18)


自覚まではもう少しかかりそうです。ていうか、十話で終われるのかな…^^; もしも十話を超えそうだったら「序、壱、弐…拾、終」として十二話にしますね。

内容は大して無いのですが、二人がいちゃいちゃエロエロするので長くなりそうです。続きはなるべく早くアップしますので、少々お待ち下さいませ。

それでは、ここまでお読みくださりありがとうございました。

追記:続き、書きました。18禁ですが直接飛びます。