おまけ※居酒屋を出た後の二人


二人で居酒屋を出ると、銀時が土方の着物の袖をクイクイと引いた。

「どうした?」
「ちょっと…いい?」
「ん?」

銀時は土方の袖を摘まんだまま近くの路地に入った。そして辺りを見回して誰もいないことを確かめてから
土方に耳打ちした。

「あ、あのさ…えっと…その、実は…あの……こっこの前の…したく、なっちゃった…」
「この前?」
「だ、だから…その…」

銀時は土方の手を取り、掌に文字を書いた。一文字目は「キ」、二文字目は「ス」。
恥ずかしくて俯いている銀時の耳に土方がそっと囁いた。

「じ、実は、その…お、俺も…したい」

銀時がパッと顔を上げた。二人とも暗がりでも分かるくらいに顔が真っ赤になっている。

「は、走ろう」
「えっ…」
「急いでウチ行って、それで…」
「そ、そうだな」

二人は万事屋へ向かって力いっぱい走った。
そして玄関に入り、忙しない呼吸を整えると向かい合う。


「え、えっと…どっちから、する?」
「先に言ったのは坂田だから…」
「じ、じゃあ、俺からね…」
「おぅ…」

銀時が土方の両肩に手を置き、顔を近付けていく。二人は目を閉じて息を止めた。
二人とも力いっぱい目を閉じているため、首から上が小刻みにぷるぷると震えていた。
やがて、銀時は下唇の先に何かが触れたのを感じ、バッと顔を離して詰めていた息を吐いた。

それから今度は土方が銀時の肩に手を置き、同じようにほんの少し掠める程度の口付けをした。
互いに一度ずつ口付けを交わした後、土方が俯き加減で言った。

「あ、あの…その…も、もう一回…えっと…」
「いっいい、よ…。次は、土方から…」
「ああ…」

こうして互いに二度ずつ口付けを交わし、さすがに恥ずかしくなった二人は玄関を上がり
無言で就寝準備をしたのだった。


(10.09.06)


相変わらず「キス」と言えない二人ですが、「キスしたい」という気持ちだけはあるようです(笑)。おそらく性欲的なものではなくて、相手の温もりを感じて

幸せに浸ってる感じです。居酒屋で食事している相手を見て、この前キスしたことを思い出したんでしょう。

このシリーズ、実は次回で二十話目です!なので次回は少しいつもと違うことをしたいなァと思っています。…年齢制限的なことはしません(笑)

ここまでお読みくださりありがとうございました。

追記:二十話目、アップしました

 

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