「出張〜!?」
「ああ。」
今日は土方とデートの日。
いつものように会って早々ラブホテルへとやって来た銀時は、来週出張があると聞かされた。
「しかも二週間って……長ェな。」
「すまない、ぎん……」
「仕事なんだから仕方ねェよ。仕方ねェんだけど……あー、大丈夫かなぁ……」
「寂しいと思うが、我慢してくれ。」
「寂しいのは我慢できるけどさァ……セックスしたいのは我慢できるかどうか……」
「え゛……」
心配するところはそこなのかと土方の気分は一気に下降する。けれど、
(これはそういうことじゃないぞ十四郎。ぎんは「俺と」したいんだ。世の中の常識に囚われるな
十四郎。これがぎんなりの愛情表現なんだ!)
そう自分に言い聞かせて辛うじて持ち直し、銀時にやや引き攣り気味の笑顔を向ける。
「そういう時は、自分で触って吐き出せばいいと教えただろ?」
「それは分かってるよ。昨日だってトシと会えないから自分でやったし。」
「そ、そうか……」
「でもさァ、やっぱりセックスの方が気持ちいいんだもん。二週間も我慢しなきゃなんないなんて
キツいよなァ……」
「で、電話するからな。」
「えー……しなくていいよ。」
「なっなん……」
「トシの声聞いたら絶対セックスしたくなるもん。だから電話しないで。その代わり、今日から
出張まで、いっぱいしような!」
「あ、ああ……」
こうして恋人達はいつも以上に熱い時間を過ごすのだった。
トシとぎんと一人の過ごし方
「ハァー……」
出張七日目。本日分の仕事を終えた土方は宿に戻り、溜息を吐きつつのろのろと着替えをする。
ポケットの中から煙草や携帯電話を取り出して机に置き、隊服を脱ぐ。
(つまんねェ……)
いつもと違う環境に緊張したのは初日だけで、あとは只管目の前の仕事を片付けていくのみ。
それは江戸にいる時と何ら変わらない生活に思えたが、仕事の後の時間を思った以上に持て余す
こととなった。夕飯をとり、入浴を済ませたら全くやることがない。
食事と風呂は旅の大きな楽しみだというものの、地元の名産品を使った料理も七日連続で食べれば
物珍しさもなくなるし、大浴場もまた然りであって、今日は部屋のシャワーで済ませるつもりである。
(まあ、江戸にいても同じか……)
趣味もない土方は江戸にいても余分に仕事をするか、近藤に誘われて飲みに行くか、沖田に命を
狙われるかくらいだった。
(だが、最近はぎんがいたからな……)
覚えたてのセックスにすっかり嵌まってしまった恋人のおかげで、このところ土方には暇な時間
などなかった。会うたび求めてくる銀時に戸惑うこともあったが、こうして離れてみるとやはり
愛おしく、寂しさを覚えていた。
(電話、してぇ……けど、したらぎんが困るからな……。ん?)
浴衣に着替えた土方は、机に置いていた携帯電話の不在着信を知らせるランプが点滅しているのに
気付く。近藤には宿へ戻る前に報告の電話をしたばかりで、一体誰からだろうと携帯電話を開いた。
「えっ……」
画面に表示されたのは今まさに考えていた恋人の家の番号。
(自分で電話するなと言っておいて……メガネかチャイナからか?)
もしかしたら銀時に何かあったのかもしれないと土方は通話ボタンを押した。
『はいはーい、万事屋銀ちゃんですけど……営業時間は終わってますよー。』
「ぎんか?俺だ。」
『トシ!?良かった〜。電話するなって言ったから出てくれないんだと思った。』
「さっきまで仕事だったんだ。……何かあったのか?」
『何かって程じゃないんだけど、トシとセックスしたくて……』
「……今、メガネとチャイナは?」
『いねェよ。だから電話したんだし。セックスの話はトシとだけ、でしょ?』
「ちゃんと覚えてるんだな。」
『そりゃあね。あ〜……セックスしたい!トシの声聞いたら益々したくなった!』
「自分で触ってねェのか?」
『触ってるよ。でも、三日で飽きた。』
「飽きたって……毎日ヤってたのか?」
『うん。……ダメなの?』
「別にダメじゃねェけどよ……三日で飽きて、それからどうしてたんだ?」
『んー……一人になるとトシのこと考えちゃうから、飲みに行ったり新八達とゲームしたりしてた。
でも今日はお妙が休みとかで新八も神楽も志村家に行っちまうし、飲みに行く金もねェし……
さっき自分で触ってみたけど、やっぱりつまんねェんだ。』
「……イケなかったのか?」
『イケたけど、あんま気持ち良くなかったってゆーか……むしろもっとセックスしたくなった。』
「そうか……。今も疼いてんのか?」
『うん。でもトシ出張だし、我慢するしかないんだよな?』
「うーん……」
「ぎん、このままヤってみるか?」
『このままって……?』
「俺と電話したまま触るんだよ。」
『トシと話しながら?』
「そうだ。……嫌か?」
『ううん。なんか、すげぇドキドキしてきた……』
「普通に一人でヤるより興奮してんだろ?いいじゃねェか……」
『どうすればいい?』
「先ずは服を脱がねェとな。……今、寝間着か?」
『そうだよ。』
「じゃあ下だけでいいから脱いで……その前に布団の部屋に行くか?」
『そうしよっかな。ちょっと待ってて。』
「おう。」
『準備できたよ。……ねぇ、トシも俺と話しながら触らない?』
「一緒にヤりてぇか?」
『うん。』
「じゃあヤるかな……」
『トシは今、制服?』
「いや……浴衣だ。」
『じゃあパンツ脱ぐだけでいいね。』
「そうだな。……こっちも準備できたぜ。」
『そっちも布団?それともベッド?』
「ベッドだが、今はソファーに座ってる。」
『へぇ〜。……もう触っていい?』
「ああ。最初はそっとな。」
『んんっ!』
『すげぇ。軽く握っただけなのに、めちゃくちゃ気持ちいい……』
「良かったじゃねーか。ぎん、お前のモン今どんな状態だ?」
『えっと……勃起してる。』
「どれくらい?」
『えーっとねェ……いっぱい。』
「ハハッ……可愛いな、お前。」
『何だよそれ……。』
「先走りも漏れてるか?」
『精液の前に出るヌルヌルのこと?ちょろっと出てるよ。』
「そうか……」
『何でそんなに聞くの?ちょっと、恥ずかしいんだけど……』
「見えないんだから聞かなきゃ分からねェだろ。」
『そっか……』
『じゃあ、トシは?いっぱい勃起してる?』
「いっぱいって程じゃねェな。……半分くらいか?」
『えー……早くいっぱいになってよ。』
「なら、少し扱くぞ。……ハァッ。」
『トシ、触ってる?』
「触、てる……っ!」
『気持ちいい?』
「ああ。」
『いっぱい勃起した?』
「もう、ちょい……」
『トシっ、俺もチンコ触りたいっ……』
「触ってるだろ?」
『もっと、ぬちゃぬちゃってしたい。』
「ぬちゃぬちゃになる位、溢れてんのか?」
『うんっ。』
「だったら手ェ動かしていいぞ。ただしゆっくりな……」
『んっ……あっ、あっ!』
「……相変わらず感度がいいな。」
『かん、ど……?』
「気持ち良くなりやすいってことだ。」
『トシの……んっ!教え方が、うまいから、だよ……。ハァッ……俺だけで、触った時は、
こんな……んんっ!』
「ぎん……」
『ね、トシ……先走り、出てきた?』
「ああ……お前のエロい声を聞いて、興奮してるからな。」
『俺も……それ聞いてコーフンしてる。』
「ハァ、ハァッ……ぎ、ん……」
『トシっ……気持ちいい……。ゆっくり触ってんのに、先走りいっぱい出てる。』
「俺もだ。……お前のモンを扱く音が聞こえる。」
『ぬちゅぬちゅ聞こえるの?』
「ああ。」
『トシのも聞きたいな。』
「ああ。……っ、ハァ…………聞、こえたか?」
『んっ、聞こえた。聞こえたら、俺のチンコがビクッていった。……もう、イキたい。』
「じゃあ、強く擦っていいぞ。」
『あっ、あっ、あっ……』
「ぎん……」
『トシ、トシっ……んっ、ああっ!!』
『ハァーッ……あっ、あっ、あっ……』
「ぎ、ん?まだイッてねぇのか?」
『イッたよ……あっ、んんっ!』
「……また、触ってんのか?」
『だ、って……一回じゃ、足りなっ……』
「……次は一緒にイクか?」
『うん。一緒に……あぁっ!』
「ハッ……くっ!」
『トシ……ケツん中も、触っていい?』
「いいぜ。」
『んくっ……』
「……痛くねェか?」
『だいじょーぶ。毎日やってるから、上手になったんだ。はぁっ……』
「ナカ、どうなってる?」
『キュウキュウしてるよ。……本当は、トシのチンコに入ってほしいからね。』
「俺も、ぎんのナカに入りてェよ。……帰ったら、いっぱいしような。」
『うん!それまで、自分で我慢……んんっ!』
「イイ所に当たったか?」
『んっ!こ、こも……一人でした時より、気持ちいいっ!』
「ハァ……もう、ナニも勃ってるか?」
『う、んっ……あっ、あっ、あぁっ……』
「ハァ、ハァ、ハァ……」
『ああっ……もう、出したくなっちゃった。トシ、一緒にイケる?』
「いいぜ。俺も、もうすぐイキそうだ。」
『あっ……トシっ、トシぃ!!』
「ぎんっ……」
『んんっ、ああぁっ!!』
「くぅっ!!」
『ハァ〜……』
「……少しは発散できたか?」
『うん。……また、電話していい?』
「ああ。俺も、電話するな?」
『じゃあ、おやすみ。』
「おやすみ。」
通話を終えた土方は携帯電話を充電器に繋いで浴室に足を運んだ。
離れていても恋人との結び付きを感じられ、その足取りは帰って来た時より随分と軽くなっていた。
(11.11.08)
銀さんがノリノリ過ぎて霞んでいますが、土方さんだって銀さんのこと大好きで「抱きたい」って気持ちはちゃんとあるんですよ。今回の出張は、
そんなところを再確認するきっかけになったんじゃないかと思います。エロシーンを台詞のみで書いたのって初めてかもしれません。難しかった……^^;
基本的には一人称や台詞のみで書く方が楽なのですが、エロに限っては三人称で書く方が楽です。なのに今回どうしてこの形にしたかというと……
単なる思い付きです(笑)。電話エッチだから、状況説明も台詞で入れられるなと思っただけです。次回は、出張から戻って濃厚エロ……だといいな。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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