後編


土方の「講義」が終わり、交代で入浴を済ませた二人はベッドで抱き合い、唇を重ねる。
銀時が衣服を脱ぎ捨て一糸纏わぬ姿になると、一物は既にはちきれんばかりに膨らんでいた。

「トシ……精液出したい。」
「ああ。」

口付けの合間に強請られるまま土方は銀時のモノに手を伸ばしかけて止めた。

「トシ……?早く触ってよ。」
「ぎん、自分でヤってみねェか?」
「え?」

腕を引いて銀時の上体を起こし、その手を一物へ導く。

「俺と会えねェ時にヤりたくなったら、こうして自分で発散させるんだ。」
「あっ、あっ!」


土方は銀時の手の上から一物を握り、銀時の手ごと扱いていく。


「あ……あんっ、トシ……!」
「ほら、一人でヤってみろよ。」


銀時は恐る恐る手を動かしてみた。


「んんっ!」
「自分で触るのも気持ちいいだろ?」
「トシの方がいいよ……」
「そ、そうか。」


初めての自慰行為。拙い自分の手より土方を選ぶのは当然のことであるのだが、土方は並々ならぬ
喜びを感じていた。そして欲望のままに押し倒したい気持ちをぐっと堪え、銀時に教える。


「こっちの手で先の方を触ってみろ。俺が触ってんのを思い出して……」
「あぁっ!」


もう一方の手で鈴口や括れを刺激させると銀時の腰がぶるりと震えた。


「あっ、トシ……もうダメっ!早く精液出したいっ!」
「手をもっと早く動かすんだ。」
「あっ!あっ!あっ!あっ…………出るぅぅぅっ!!」


先端から勢いよく精液を噴出させ、銀時はベッドへ倒れ込んだ。



「あー、疲れた。自分でするのって大変だな……。やっぱりトシが触ってよ。」
「そりゃ、会える時はいつだって触ってやるが、仕事の都合でそうもいかない時だってあるだろ?」
「そっかー……そうだよなァ。我慢できなくなってもトシに会えない時は自分でするしか
ないもんなァ……。でも……なるべくトシが触ってね。」
「も、勿論だ……」

仰向けに寝ている銀時は隣に座る土方の手を取り、見上げるような格好で言った。
素直に自分を求めてくる銀時はとても愛しい。けれど、それが性行為に関してであるから
身体が目当てなのではないかと寂しくなってしまう。
勿論、銀時は「恋人の」土方を求めていることは分かっているつもりだけれど。

「ぎん、もしも……俺が怪我とかして、動けなくなったらどうする?」
「なに急に……近々危険な仕事でもあんの?」
「そういうわけではねぇんだが……お前、セックス好きだから大丈夫かと……」
「トシができない状況なら我慢するしかねェだろ。……トシとしかセックスできないんだから。」
「ほ、他のヤツとはしねぇのか?」
「するわけないだろ。」

些かムッとした様子で銀時の語気が強まる。

「トシ以外のヤツと、こんな恥ずかしいことできるかよ……」
「そ、そうか!」

土方の表情がパッと明るくなった。

「ぎん、疑って悪かった。」
「何のこと?」
「いや、こっちの話だ。」
「ふうん。」

どうして謝られたのかさっぱり分からなかったが、さして重要なことでもなさそうだと深くは
考えず、銀時は「ところで……」と話を切り出した。

「俺と会えない時、トシもセックスしたくなることある?」
「それはまあ、暫く会えねェ時なんかは……」
「そういう時は、トシも自分でチンコ触って精液出すの?」
「ま、まあな……」

気恥ずかしさを感じつつも、無垢な恋人のためにと土方は何とか答えていく。けれど……

「じゃあ、今からやって見せてよ。」
「はあぁぁぁ!?」
「俺、トシが自分で触るとこ見たい!」
「イヤイヤイヤイヤイヤ……」

流石にこれを「教える」ことはできないと頭(かぶり)を振って断固拒否する。
しかし銀時は諦めない。

「なぁ見せてくれよ〜。トシのチンコから精液出るの見てぇよ。」
「み、見たことあるだろ?」
「ねえよ。」
「そ、そうだったか……」

確かに前回の逢瀬は後ろからであったし、その前―二人が初めて結ばれた日―も土方は銀時の
ナカでしか射精はしていなかった。

「なっ?だから見せてよ。」
「おおお前の時と大して変わらねェよ。だから別に見なくてもだな……」
「自分で出す時は気持ち良くってワケ分かんなくなっちゃうから、トシのをちゃんと見たい。」
「そ、それならセックスする時、お前の中でなく外に出してやるから……」
「だから気持ち良いことすると、ちゃんと見られないんだって。」
「……何でそんなに見たいんだよ。」
「見たいから。」
「いやだから、何で?」
「うーんと……面白そうだから。」
「そうでもないぞ。」
「トシは色々知ってるからだよ。俺は見たいの!」
「…………」

動機をきちんと把握すれば銀時の望みを叶える術を探れるのではないかと考えた土方であったが、
返ってきた答えは何とも単純なもの。
それゆえに他の方法がとれるわけでもなく……

「い、一回だけだぞ?」
「やったぁ!」

喜ぶ銀時を前に、土方は大切な何かを失う気分であった。


*  *  *  *  *


「服は脱がねェの?」
「あ、ああ。」

ベッドの上、枕を背凭れにして座った土方は、浴衣の裾を割り下着の中へ手を入れた。
銀時は全裸のままでその前に正座し、土方の下半身に瞳を煌めかせる。
土方は銀時から視線を逸らし、数回呼吸をして自分に気合いを入れて一物を取り出した。

「あっ、トシのチンコでかくなってる。」
「あ、ああ。」

いたたまれない状況に追い込まれて萎みかけてはいるが、銀時に自慰行為をさせた時の興奮は
多少なりとも残っていた。
その時はまさか、自分が同じことをさせられるとは思ってもみなかったが。

とにかく早く終わらせてしまおうと土方が手を動かし始めた瞬間、銀時が立ち上がった。

「よく見えないから脱いでよ。」
「は?ちょっ……」

銀時は返事を待たず土方の帯を解き、浴衣を左右に開いた。土方は銀時の行動についていけず、
一物を握ったまま呆然としていた。
浴衣を肌蹴させた銀時は満足げな表情で元いた位置に座る。

「パンツも脱いでね。」
「は?」
「ほら早く〜。そこが一番見たいんだから。」
「チッ……」

こうなったのも自分に責任がないとはいえない土方であったが、舌打ちくらいしないことには
正気を保てそうになかった。
土方は嫌々ながら下着を脱ぎ、銀時に全てを曝け出す。

「へぇ〜、トシのチンコはこんななのかぁ〜……」
「…………」
「あっ、もう充分見たから握っていいよ。」

ただ何もできなかっただけだが、見せるためにサービスしてくれているんだと解釈した銀時は
笑顔で先を促す。
土方はまた数回呼吸をしてから一物を握り、その手をゆっくり動かした。


「ハァッ……」


ほとんど目を瞑って銀時を見ないようにし、射精をするためだけに一物を扱いていく。


「っ……」


行為に集中するにしたがって、土方のモノさ硬くそそり勃っていった。

ゴクリ……

「ぎん……?」

喉の鳴る音に気付き土方が目を開けると、荒い呼吸で正座し膝を擦り合わせる銀時の姿が目に映る。

「ぎん、セックスするか?」
「だめ……トシの精液見てから。」

首を振る銀時は肩で息をしていて非常に辛そうであった。
土方は自分のモノから手を離し、銀時に歩み寄る。

「セックスしようぜ?俺も、テメーでやるよりお前の中に入りてェ。」
「で、でも……」
「ぎん。」
「あっ……」

座った状態の銀時を後ろに倒し、土方は自分の先走りに濡れた指で銀時の菊座に触れた。
入口を充分湿らせてからその指を侵入させ、中で曲げて前立腺を押し上げる。


「あぁっ!」


与えられた快感に銀時の身体が震える。


「トシっ、気持ちいい!離してっ……」
「いいから感じてろ。」
「んむぅ!」


尚も抵抗の言葉を吐く口は唇で塞ぎ、入れる指を増やして銀時の内部をかき回す。


「んむっ!う……んんっ!」
「はぁっ……」


後孔が解れたところで口付けを止め、土方は張り詰めた己の欲で銀時を貫いた。


「あぁんっ!」


土方のモノをぎゅうぎゅうと締め付けながら、銀時は感じ入る。


「あっ、あっ、あっ、あっ……トシ、せーえき、出そう!」
「分かった。」


腰を揺すりながら土方は銀時のモノを扱いた。


「……ああっ!!」
「つっ……!!」


銀時は達し、土方はナカで果てそうなところをぐっと堪えて一物を引き抜いた。


「トシ、何で?中、ぐちょぐちょにしてよ……」
「それは次な?出るとこ見たいんだろ?」
「あっ……」

そうだったと思い出し、銀時は肘で少しだけ身体を起こす。
土方は銀時の腰を跨いで一物を軽く擦り、銀時の胸元に精を吐き出した。



「……ちゃんと見てたか?」
「うん。凄かった!」
「それじゃあ、もう一回ヤるか?」
「うん!次は中に出してね。」
「ああ。」
「あっ、そうだ。昨日の後ろからやるセックス、気持ち良かったからまたやりたい!」
「じゃあバックでヤるか……四つん這いになってみろ。」
「は〜い。」


恋人達は今日も、体力の続く限り互いを求め合うのだった。


(11.09.28)


前二話よりはラブラブ度が増したかな?相変わらず振り回されるトシですが、ぎんが立派な大人になるためなんで頑張ってもらいましょう^^

前編の後書きでも言いましたが、この話、シリーズ化します。銀土の「ぎんトシシリーズ」および「教えてシリーズ」と重なるエピソードも

出てくると思いますが、まあ、カップリングが違うだけで同じ設定なんで、その辺は大目に見ていただけるとありがたいです。

銀土の両シリーズを読んでいない(逆カプは読めない)方は今後のトシぎんを、ワクワクしながら見守っていただければと思います^^

それでは、ここまでお読みくださりありがとうございました。

追記:続きを書きました。

 

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