※単独でも読めますが、何となく「ひじちょりす」と繋がってる感じです。
※少しだけですが、第三百五十訓ネタです。
※銀土で同じタイトルの話がありますが、別物です。
ここは真選組屯所副長室。部屋の主である土方がいつものように文机に向かい仕事をしていると、
天井裏に人の気配を感じた。
「…そこにいるのは誰だ。」
低く、ドスの効いた声で姿の見えぬ天井裏の「敵」を威嚇する。
すると天井板が一枚外れ、一人の女性が下りてきた。
彼女は気付かれたことに臆することなく不敵な笑みを浮かべている。
「テメーか……」
土方は女性を一瞥すると仕事の続きに取りかかった。
土方十四郎VS猿飛あやめ
天井から下りて来たメガネのくの一は、土方の態度に憤慨する。
「何その態度！！ドＭなアナタに冷たくされても全然気持ち良くないんだから！！」
「誰がドＭだァァァ！！テメー、不法侵入の上にヒトを侮辱する気か！？」
「フッ……私がアナタを侮辱して喜ばせるとでも思って？アナタは私のライバルなのよ。」
「喜んでねーよ。」
まともに取り合っても無駄だと判断した土方は、用件だけ済ませてさっさとお引き取り願うことにした。
「何の用だ？」
「フフッ……そんなに警戒しなくてもいいわよ。今日はアナタにいいものを見せに来たの。」
「あ？」
「これよ！」
彼女は一枚の写真を取り出して見せた。そこには全裸の銀時が写っていた。
「テメー、これを何処で手に入れた！？」
「私が撮ったのよ。よく撮れてるでしょ？」
「な、に？」
土方は彼女から写真をひったくり、まじまじと見詰める。
「ショックかしら？まあそうよね……。恋人だと思ってた人が他の人の前でこんな姿を晒してるんだもの。
でもこれが真実なの。銀さんは私の彼氏なの！！」
「いや、違ェだろ。この写真、何処だかは分からねェが、背後に大型モニターがあって銀時は舞台の
ような所に立っていてどう見てもテメーと二人きりじゃねーよ。……そういやぁ、近藤さんと総悟が
ゲーム大会で銀時に会ったつってたな。……そん時の写真か？」
「くっ……」
冷静に写真を分析され、彼女は言葉に詰まる。
「やるじゃない……。流石、銀さんの恋人（仮）ね。」
「おい、（仮）って何だ。俺ァ、マジで銀時の恋人だコラ。」
「なに言ってるの？さっきも言ったように、銀さんは私と結婚を前提に付き合ってるの。アナタは
放置プレイに利用されてるだけなのよ！」
胡坐をかいて座っている土方の前に仁王立ち、彼女はビシッと人差し指を土方の鼻先に突き付けた。
土方は表情を変えずに煙草の煙を吐き出す。
「あのなァ……そりゃ、テメーの妄想だ。俺と銀時は海よりも深く愛し合ってんだよ。」
「それこそアナタの妄想よ！だって銀さんはドＳなのよ？」
「……だから？」
「自分にこんなことする男と、銀さんが本気で付き合うわけないじゃない！！」
「なっ！？」
彼女は別の写真を取り出した。そこに写っていたのは精液と思われる白濁液に塗れ、ベッドに四肢を
投げ出している銀時。土方はその銀時に見覚えがあった。銀時が寝ているのは二人がよく利用する
ホテルのベッドである。
「てってめー、盗撮か！？」
「人聞きの悪いこと言わないでちょうだい！私は常に銀さんを見守っているの！これはその記念よ！！」
「やっぱり盗撮じゃねーかァァァ！！テメー、俺達の愛の営みを見てやがったな！？」
「違うわよ！！これは銀さんのプレイなの！私を苦しめて楽しんでるのよ！！」
「っざけんな！！ストーカーは専門外だが、ここまでされて黙ってられるか！！」
「どうするって言うのよ。」
「しょっぴくに決まってんだろ！」
土方はダンッと畳を踏み締めて立ち上がり、鞘に収めたままだが刀の先を彼女へ向けた。
彼女は眉一つ動かさずそれを手で払いのける。
「やれるもんならやってみなさい。警察なんかに銀さんと私の愛は裂けないんだから！！」
「だからテメーと銀時の間にゃ何もねーんだよ！銀時が愛してるのはこの俺だ！！」
「何度言ったら分かるのよ！ドＳの銀さんをこんな風に汚す男が愛されるわけないじゃない！！」
「これは没収する。」
「あっ！」
再び見せられた精液塗れの銀時の写真を土方は彼女から奪い、懐にしまった。
「何するのよ！返して！！」
「これは俺だけが見ていい銀時だ！！」
「私の銀さんよ！！」
「俺の銀時だ！！」
「私よ！！」
「俺だ！！」
「ふっ副長、これは一体……」
異変に気付いた隊士達が副長室に駆け付けた時には、二人は其々くないと刀を構えて睨み合っていた。
永遠に続くと思われた二人の戦いであったが、彼女の方が「バイトの時間だから」と屯所から
去って行ったことで呆気なく幕を引いた。
その後土方は真選組の情報網を駆使して彼女の家を突き止め、銀時の写真やビデオを没収するのだった。
(11.07.12)
「ひじちょりす」をアップした時に、土方さんとさっちゃんのバトルが見たいというコメントをいただきまして、土VSさ（土銀版）を書いてなかったことに気付きました。
土方さんとさっちゃんの組み合わせ（CP的な要素ではなく）はかなり好きなので、コメント下さったＴ様、ありがとうございました！とても楽しく書けました。
また、さっちゃんと土銀の話を書きたいです＾＾ その時には銀さんも出したいな…。
ここまでお読みくださりありがとうございました。