昨夜、初めて銀時を抱いたんだが、何と言うか…予想外だった。
アイツが俺と出会う前、どこでどんな生き方をしていたのか詳しくは知らねェ。
だが、簡単に言葉で表現できないくらい過酷な人生を送ってきたのだということは想像がつく。
それゆえに、その方面にも慣れているんだろうと思っていたし、実際色んな経験があると言っていた。
それをとやかく言う気はない。俺だって―アイツに比べりゃ平和に生きてきたが―自慢できるような
生き方はしてねェ。それどころか、そっち方面に関してはアイツ以上に爛れてんじゃねェかと思う。
アイツはどんな理由であれ、自分を求める者に対して一定の情を向ける。ここからは想像でしかねェが
おそらくアイツは一夜限りの相手でさえ、蔑ろにすることはないだろう。
俺は違う。…いや、違っていた。今は銀時に惚れてるし、大事にしたいと思っている。だが以前の俺は
溜まったモンが吐き出せりゃ誰でも良かったし、そんな相手に何の感情も持ち合わせていなかった。
思えば、惚れた相手とヤるのは初めてだ。今までの行いを恥じ、銀時と真摯に向き合おうと決意した。
決意はしたものの、どうしたらいいのか分からなかった。これまで俺の人生になかった関係を築こうと
してるんだ…分からないのは当然だ。けれど分からないなりにアイツを大事にしようとしてみた。
まずは身体の関係なしで関係を深めようとした。
俺はアイツに惚れて一緒にいる。別にヤりたくて一緒にいるわけじゃねェ。アイツと共に過ごせれば
むしろ身体の関係なんてもんはなくてもいい…そのくらいの気持ちでいたら、宿に行こうと誘われた。
ゲンキンなもんだ…。なくてもいいと思っていたが、銀時から求められれば嬉しいと思っちまう。
銀時にどこの宿がいいのか聞いてみたが特に希望はないと言う。もしかして、俺がヤりたそうに
見えたから仕方なく誘ったのか?だとしたら申し訳なかった。強引にことを進めたくないだけで
できれば抱きたいとは思っていた。銀時にはそんな思いが見透かされていたのかもしれない。
銀時はかなり緊張しているようだった。やはり、俺に気を使って誘ってくれたんだな…。
それなら無理にヤらなくてもいいと言ったが、銀時は最後までヤると言って聞かなかった。
ヤらなけりゃ、俺が離れていくとでも思っているのだろうか?俺はそんな軽い気持ちでお前と
付き合ってるわけじゃない!お前が嫌なら何もしないと決めたんだ!
けれど結局は最後までしてしまった。
銀時はずっと緊張したままだったように思う。本気で惚れたヤツと付き合ったことのない俺は
イマイチどうしたらいいか分からず、アイツの緊張を解してやることができなかった。それにしても
あそこまで緊張するってことは本当は初めてだったんじゃないか?「初めてじゃない」っつーのは俺が
重荷に感じないようという気遣いで…童貞ではなさそうだが、男とは初めてとか、女役は初めてとか…
アイツはとにかく気の回るヤツだから、今までの俺がどんな風に生きてきたかを悟って、それで俺が
受け入れやすい相手を演じているのかもしれん。
よしっ、今度はアイツがビビらなくてもいいようにもっと優しくしよう!
二回目だから
土方と銀時が初めて一夜を共にしてからおよそ一週間が経過した。
二人は今日、あの時と同じように飲みに出かけ、店を出たところで銀時が尋ねた。
「あ、あのさぁ土方…お前、明日休みだろ?」
「ああ。…お前さえよければ、泊まっていきたいと思っているんだが…」
「っ!(やっぱりそのつもりだったか!)…や、宿代出してくれんなら、いいよ」
「そうか。じゃあ…この前と同じ宿でいいか?」
「う、うん…」
(やはり、今日も緊張してるみてェだな…。大丈夫だ、銀時。優しくするからな)
前回の様子から銀時はそれほど経験がないだろうという結論に至り、土方は何とかして銀時の緊張を
緩和できないかと考えていた。
(経験が少ないのなら場数を踏むしかねェ。ただ、闇雲にヤったのでは辛い経験が増えるだけで
緊張は解せねェ。銀時が安心できるような経験をさせてやらねェと…)
少しでも慣れた場所の方がいいだろうと、土方は前回と同じ宿の同じ部屋を選んだ。
「土方お前、ここ気に入ってんの?」
「気に入ってるっつーか…勝手が分かってた方がいいだろ?」
「そうだね…(コイツ…モテそうだから慣れてんのかと思ってたけど、知ってる宿はここだけなのか?
意外と経験少ねェのかも…。じゃあ俺がリードしてやらねェとな。緊張してる場合じゃねェ!
前回は土方が頑張ってくれた分、今度は俺が頑張らなきゃ!土方とも二回目なんだし、もう大丈夫!)」
互いに勘違いをしたまま交代で入浴を済ませ、備え付けの浴衣を着てベッドへ向かう。
「きょっ今日は、お前、横になってるだけでいいぞ」
「は?」
仰向けになった土方を上から覗き込むような体勢で銀時は言った。
「こっこの前は、お前がリードしてくれたから…今日は、俺が…」
「銀時…(声が震えてやがる…。まだ恐ェのに精一杯平気なふりをして…)無理しなくていいんだぞ」
「むっ無理なんかしてねーよ!」
「でもよ…」
「こ、この前は、お前とヤんのが初めてでちょっと間誤付いたけど…もう、二回目だしっ」
「まだ二回目じゃねーか…。俺にさせてくれ」
「だっダメだ!(俺の方が経験豊富なんだから、リードしてあげなきゃ!)」
「お、おい…」
銀時は土方の浴衣の裾を開き、下着を腿までずらして一物をそっと握った。
「お前、何を…」
「い、いいから寝てて…」
「ぎんと…っ!」
身体を起こそうとした土方を再び寝かせ、銀時は土方の脚の上で蹲って一物に舌を這わせた。
「ぎん、とき…(緊張してるのに、俺のためにここまで…)」
経験が乏しく性交に恐怖すら感じている銀時が、自分を喜ばせようと頑張ってくれている…
銀時の行動をそのように解釈した土方は、感動すら覚えていた。
それに伴い、土方のモノは一気に膨れ上がる。
「んっ、んぐっ!(もうこんなに硬く…すげェ敏感だな…。もしかして、口でされんのは初めてか?
だとしたら、もうちょいゆっくりヤった方がいいかな?)」
「ハァ…(なんか、もたついてんな…。やはり慣れてねェのか…もしかして、口ですんのは初めてか?
それなのにこんな…)銀時、もういい」
「えっ…(結構ゆっくりヤったつもりだったんだけど…もうイキそうなのかな?)」
「もう、充分だ。(初めてなのにここまでしてくれて)ありがとな」
「あ、うん…(やっぱり、もうイキそうなんだ…。まあ、経験少ないなら当たり前か…)」
銀時は一物から離れ、土方の下着を完全に脱がせる。
勃ち上がった土方のモノを改めて見て、銀時の動きが止まった。
(土方の…結構デカいな…。やべェ…入るかな…。いや、この前は入ったんだから大丈夫だ!)
(銀時のヤツ、どうしたんだ?こっちを見て固まって……そうか!俺のを見て、それで恐く
なっちまったんだな。この前はアイツに負担が少ないようにバックだったからな…)
土方は身体を起こし、そのついでを装って着物の合わせを閉じた。
「なあ銀時、今度は俺から…」
「あっ…だだっ大丈夫だから寝てろって…(やべェやべェ…俺がビビってんのバレたらコイツのことだ…
経験少ねェのに頑張ろうとするに違いない。無理させたら悪いもんな…)」
「そうか?それなら…(やるって言ってんのを止めたら、コイツの努力が無駄になっちまう。
自分から動いていれば気が紛れるのかもしれねェし、好きにさせてやるか…)」
土方は再び横になり、銀時はその腹の上に跨った。
「じゃあ、いくよ…」
「お、おう…(もう入れんのか?嫌なことはさっさと終わらせようってことか?)」
銀時は腰を浮かせ、土方の先端を自分の入り口に押し当てた。
「つっ…!(痛ェ…やっぱコイツのチ○コでけェよ…)」
「ぎ、銀時!」
土方は銀時の腰を両手で掴んで持ち上げ、自分と銀時の間に距離を作る。
「何すんだよ。まだ入れてねェのに…」
「その前に慣らさねェと…」
「風呂場でやってきたから大丈夫」
「それでも、このままじゃお前がキツいだろ?ローションとか使って…」
「あ、そうか!(マジでテンパってて忘れてた!)」
(ローション使うことも知らねェくらいウブなのか?それなのにこんな…可愛いやつだ)
銀時が土方のモノにたっぷりと潤滑剤を塗り、再度挿入を試みる。
「あっ…んんっ!」
「銀時…大丈夫か?」
「んっ…だい、じょーぶっ!」
滑りはよくなったものの、銀時の身体は未だ緊張で強張っており、なかなかスムーズに挿入できない。
銀時の痛みに堪えている姿を見て、土方はいてもたってもいられず、身体を起こして銀時を抱き締めた。
「銀時!」
「おわっ!(えっ、なに?俺がもたもたしてるうちに限界きちゃった?)あ、あの…ごめ」
「謝らなくていい!お前は何も悪くないんだからな…」
「で、でも…」
「いいからそこに座れ」
「えっ…う、うん」
銀時は言われたとおり土方の膝の上に腰を下ろした。向かい合って座る体勢になり、自然と銀時の手は
土方の肩に、土方の手は銀時の背中に回る。
「なあ銀時…まずは一緒に気持ちよくなろうぜ?繋がるのはそれからだ…」
「えっ、あの…うあっ!」
土方の手が銀時のモノに触れた。そのまま上下に扱いていくと、それはあっという間に硬くなる。
「あっ、あっ、あっ…(なんでこんなに気持ちいいんだ…コイツ、経験少ないはずなのに…)」
「ここだろ?」
「ああっ!」
親指と人差し指で輪を作り、上部の括れをくるくると刺激すると銀時のモノから雫が漏れ出る。
「あっ、あっ…(そうか…こないだので覚えたのか。学習能力すげーな、おい…)」
「そろそろ一緒に…」
「えっ?あっ…ああっ!」
土方は銀時の腰を引き寄せ、自分のモノと銀時のモノを重ねて擦った。土方のモノに塗られた潤滑剤と
銀時のモノから溢れた雫で手を動かすたびにぐちゅぐちゅと水音が鳴る。
「ああっ!あっ…ああっ!!」
土方は銀時の先端の窪みを指先で刺激した。
「えっ…やっ……ああぁっ!!」
銀時のモノから精液が飛び散り土方の手を濡らした。
「ハァ、ハァ…(すげー…あっという間にイカされた…。コイツ、覚えよすぎだろ…)」
「大丈夫か、銀時?(随分早ェな…やはり、こういうことに慣れてねェんだな)」
「………」
「銀時?」
たちどころに吐精させられた銀時は、張り詰めていた糸が切れるように土方に凭れ掛かり
そのまま寝入ってしまった。
(大分無理させちまったな…。今度はもっと優しくしよう!)
銀時を寝かせた土方は自己処理すべく厠へ向かった。
翌朝、目覚めた銀時は途中で寝てしまったことを猛省し「今度こそ自分がリードする」と自分を追い込み
次回も緊張で強張るのだった。
二人が余計なことを考えずに交われるようになるのは、まだ先の話。
(10.11.09)
「初めてだから」を書いた時に「土方さん視点も見たい」とコメントをいただきまして、「それいいな!」と思って書いたら何だか別の話になってしまいました^^;
でも楽しいすれ違い(?)が書けたのでこれはこれで気に入っています。似た者同士で言わなくても全部分かっちゃう二人も好きですが、まともな恋愛に不慣れゆえに
相手のことを大いに誤解しながらも何だかラブラブな二人も好きです(笑)。タイトルと違って二回目のエッチとならなかったわけですが…これ以降は続きません(多分)。
もしも続きを思い付いたら忘れた頃に続きを書くかもしれません^^; ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
追記:続きを書きました^^;→★
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