後編
銀時と土方が和室へ戻ると、食卓は片付けられて布団が一組敷かれていた。
因みに、土方が食べかけの(マヨネーズがたっぷりかかった)料理はラップをして冷蔵庫に
入れられている。
「さっ、横になって。」
「あ、あの、銀さん……」
銀時は人差し指を土方の唇にチョンと当て、それからその指を横に振る。
「チッチッチ……銀時、でしょ?」
「本当に俺、一人前になれたのか?今日なんかメシ食うこともできなかったのに……」
「大丈夫。今日のことは十四郎の希望を聞かずに勝手にウチへ呼んだ俺が悪いんだから。
……本当にごめんね。」
「あっ!」
着物の裾を割って下着の上から股間を握られれば、土方の身体は力が抜けて銀時に凭れかかる。
「こんなになるまで我慢させちゃってごめん。いっぱい気持ち良くしてあげるからね。」
「あっ!……あの、ここで、セックスするのか?」
「嫌?」
「えっと……していいのか?ラブホテルじゃないのに……」
「ああ、そういうことね……」
ラブホテルは恋人同士がセックスをする場所だと教わった土方にとって、セックスはラブホテルで
行うものだと認識されていた。
「二人きりになれる場所ならいいんだよ。……ほら、前に映画館の厠でフェラチオしたこと
あったじゃん。」
「……あれは、俺が我慢できなくなったからだ。本当はダメなんだぞ。」
「な、なんで?」
銀時とて、いけないことだと重々承知しているのだが、何故土方がそれを知っているのかが
分からなかった。すると土方は至極真面目な顔付きで言った。
「公共の場で淫らな行いをするのは法律違反なんだ。個室とはいえ皆が使う所だし、そもそも
厠はそういう目的で作られたものじゃねェし……」
「そ、そうだね……」
さすがは警察官といったところか……銀時は脳内にある「十四郎とヤりたいことリスト」から
「青姦」の文字を泣く泣く削除した。
「で、でもここは俺ん家だから大丈夫だよね?ってことで……」
「んっ。」
土方の唇に自分のそれで優しく触れて、銀時は土方を布団の上へ横たえさせた。
それから帯を解き、中身がパンパンに膨れ上がっている下着をずるりと脱がせば、
中から完勃ち状態の一物がぷるんと飛び出してくる。銀時はにこりと笑って土方を上から覗き込む。
「十四郎のって、本当に美味しそうだよね〜。」
「銀さ……銀時のと、何がどう違うんだよ。」
「そう言われると説明が難しいんだけどさ……あっ、銀時って呼んでくれてありがとう。」
「おう。」
「まあ、とにかく美味しそうなんだよね。では、いただきまーす。」
「あ、待って!」
銀時は土方のモノをぱくりと咥えた。
「やっ、ああっ!」
「んー、おいひい……」
あっという間に滲みだした先走りを啜りながら、銀時は頭を上下に動かして更に汁を滴らせる。
「あぁっ!だめっ……ちが、うっ……」
「ん〜?」
普段ならとうに理性を手放して快感を享受している頃であるのに、今日の土方はいつもと違う。
碌に力の入らない手で銀時の頭を押し、何とか引き離そうとしていた。強い刺激がキツいのかとも
思ったが、どうやらそれも違うようだと銀時は一旦、土方から口を外した。
「十四郎?気持ち良くない?」
「そっじゃ、なくて……セックス、したい……」
快感に上がる息で絶え絶えになりながら、土方は自分の思いを訴える。
「勿論するよ。こうして舐めたり触ったりして、最後は繋がるんだから。」
「やっ……今、セックスしたい……」
「うん。だからね……」
「銀時、早く……お願いっ。」
セックスというのは何も挿入行為に限らず、むしろそこまでの過程が重要なのだと説明しようと
したところ、焦れた土方からおねだりされる。土方は震える身体をゆっくりと起こし、銀時の帯に
手を掛けた。
「と、十四郎!?どうしちゃったの?」
「銀時の、ハァッ……大っきくなってる……」
「そ、それは、ねぇ?」
食事の時間も惜しんで求めてくる土方に興奮しないわけがなかった。求められるままに貪りたい
気持ちを必死で抑え、手順を踏んで抱こうと思っていたのだ。けれど、そんな気遣いも今の土方には
無用なようで……
「じゃあ、セックス……」
銀時の状態を確認するや、またおねだりが始まった。
そこで漸く銀時は土方の言葉の意味に気付く。
「もしかして十四郎、ナカに欲しいの?」
「だから、セックスしたいって……」
「そうだね。……そういう時は『入れて』って言うんだよ。」
「入れて?」
小首を傾げながら「入れて」と言う土方に心の中だけで悶えつつ、銀時は解説を続ける。
「そっ。前戯―挿入前にするキスとかフェラチオとか―もセックスの一部だから、ナカに欲しい時は
『入れて』だよ。さっ、俺のこと呼んで言ってみて。」
「銀時、いれて。」
「ぐふっ!」
覚えたての台詞をたどたどしく言う幼さと、情欲を孕んだ艶っぽさとのギャップに打ちのめされ、
銀時は思わず土方から顔を背けて鼻を押さえた。
(ヤバイ!マジで鼻血もんじゃね?すっげェ破壊力!!)
「なあ銀時……入れてくれねェのか?」
「入れます入れます入れます!むしろ入れさせて下さいコノヤロー!!」
「うわっ!」
早口で捲し立て、銀時は再び土方を押し倒した。性急に着物の裾から手を入れて後孔に触れる。
「ちがっ……銀時の、入れて。」
「ぶは!わ、分かってるから!ちゃんと入れるって!だからそんな煽んないでよ!」
銀時自身がいいと言う土方と、暴発してしまいそうなムスコと。両者を必死で宥めつつ、銀時は
土方のナカに指を一本挿入した。
「やっ!もっと奥まで……」
「ちゃんと解さないと、痛いのは十四郎だよ。」
「痛くていい……。だからおくにコレ……」
「―っ!!」
仰向けの体勢から手を伸ばし、土方は銀時のモノをそっと握る。銀時は即座に腰を引いて土方の
手から逃れた。
「だっだめだよ!無理に入れたら切れて、もうセックス出来なくなっちゃうよ?いいの?」
「やだ……」
「俺だって、十四郎が痛い思いすんのもセックス出来なくなるのもヤダよ。だから、もうちょっと
我慢ね?」
「……分かった。」
ハァと熱い息を吐き出して、土方は準備が終わるまで耐える決意をした。
「あっ、はぁ……あっ、あっ……」
「入口、いつもより硬くなってる……。十四郎、最近自分でシてないの?」
「……ってない。」
「なんで?」
「セックス、したくなるから。」
「指だけじゃ足りないんだ。」
「んっ、ああっ!」
銀時の指が、土方の前立腺を押し上げる。
「こ〜んなに、気持ち良さそうだけど?」
「ひゃうぅっ……」
破裂寸前の一物も握り、ナカと同時に刺激する。
「ああっ!!」
土方は達し、それと同時にナカの指が二本に増やされた。
「ひぁっ!あっ、んんっ!」
「と、十四郎?」
達した直後から土方のナカが収縮し始め、二本の指をぎゅうぎゅうと締め付ける。何とか指を
根元まで押し込んだものの、固く締まっていて動かすことができない。
「銀時っ、早く!」
「そうしたいんだけどギチギチで動かなくて……十四郎、力抜いて。リラ〜ックス。」
「ハァ、ハァッ……」
銀時に言われて土方は息を吐き、脱力しようとする。
「そうそういい感じ。」
「銀時……奥が、きゅるきゅるする……」
「疼いてるんだね。俺の指、これ以上ムリなのに、十四郎のナカが『奥に来て』って動いてるよ。」
「んっ……早く、セックスしたい。」
「うん。……俺も。」
二本の指を数回抜き差しし、潤滑液を足して指を三本捻じ込んでいく。
「くっ、ハァ……」
土方から苦しげな声が上がるが、銀時はゆっくりとナカを進んでいく。早く繋がりたいと訴え
続ける土方と、自分自身のため。
「んんっ!ハッ、あ……」
「十四郎、もうちょっとだからね。頑張って。」
「んっ、ハァ……」
解すことを第一目的としたため、あまり性感を引き出す動きはしていないものの、それでも土方の
モノは期待に再び膨らんでいた。
「ハァッ、ぎんとき……」
「んー……まだちょっとキツいんだけど、ギリギリ大丈夫かなァ。」
「大じょーぶ。」
「うーん……」
「ねっ。銀時、入れて。」
「……うん。」
土方の身体を傷付けないよう、挿入には慎重を期したい銀時であったが、潤んだ瞳でねだられて
遂に陥落した。
(とりあえず入れてみて、痛そうだったら止めればいいよな。)
そんな風に都合よく考えを改め、銀時は猛りきった一物の先端を土方の後孔に宛がった。
「あ……ぎん、とき……」
「―っ!!」
熱い期待の込められた瞳で見詰められ、銀時のモノが更に膨らむ。
銀時はごくりと喉を鳴らし、腰を進めた。
「あ、あ、あ……」
「十四郎っ、力抜いて……」
待ち侘びた感触を逃すまいとするかのように一物を締め付けるため、銀時が痛みを感じる程で、
土方の額や顔を撫でてリラックスするよう促していく。
「ハァー……んんっ!あ、ぁ……」
「うわぁ……」
一番太いカリの部分が入ると、そこからはナカの蠕動に合わせて容易に奥へと進んでいく。
「すごいよ。十四郎のナカがうねうね動いて、勝手に入ってく……」
「ああ……銀時の、奥まで来てる……」
銀時のモノが全て収まってもナカの蠢きは止まらない。
「ハァ、ハァ、気持ちいい……」
「俺も。十四郎のナカ、すっごくいいよ。(ていうか、ヨすぎてヤバイんですけどォォォ!)」
笑顔で土方の身体を撫でながら、銀時は内心焦っていた。
(ヤバイヤバイヤバイヤバイ……十四郎のナカ、どーなってんの!?何この絡み付いてくる感じ!!
ちょっと動いたらイッちまいそうで微動だにできねェんだけど!ていうか、微動だにしなくても
気ィ抜けばイッちまうって!!どーすりゃいいんだよォォォォ!!)
「銀時……動かねぇのか?」
「ああああうん。動くよ。動きますよー……」
大丈夫、俺はやればできる子だ……そう自分に言い聞かせて下腹に力を入れ、銀時は慎重に慎重に
一度埋めきったモノを引き抜いていく。するとナカがそれを阻むようにぎゅるっと締め付けた。
「うあっ!!」
「ハァ……」
銀時の精液が注ぎ込まれ、土方は感嘆の息を吐く。しかし悦に入る土方とは対照的に、銀時の気分は
急降下していった。
(出ちまった……。初回に引き続いてまたロクに動かねェうちに……)
「銀時、疲れたのか?」
落ち込む理由の分からない土方は、銀時が黙ってしまった理由について達した疲労感くらいしか
思い浮かばなかった。
「い、いいや!疲れてないよ!つ、次は十四郎のこと、気持ち良くしてあげるからっ。」
「無理しなくていいぞ。イクと疲れるもんな。」
「いや!マジで大丈夫だから!まだ一回だし!十四郎だってさっきイッたからおあいこだし!」
自分に言い訳するように早口で喋り続ける銀時。
「ていうかこんなん、イッたうちに入らないし!もう回復してるから!ほらっ!!」
「あぅっ!!」
抜きかけていた一物をずんっと奥まで挿入すると、その刺激で銀時のモノは完全に回復した。
最奥まで入れたまま銀時が腰を揺らせば、土方から銀時を心配する余裕は奪われる。
「あっ、あっ、あっ、ああっ!」
「こーすると気持ちいいんだよね。」
「ああぁっ!!」
前立腺に当たるよう角度を調整して抜き差しされ、土方は背を仰け反らせて喘いだ。
「ああっ!はっ、あぁっ!」
銀時の肉棒が打ち込まれるたび、土方の先端から先走りが溢れて身体を濡らす。
それすらも刺激になり、土方は身を震わせて快感に浸った。
「あぁっ!あぁっ!あぁっ!」
「くっ!(ヤベぇな……)」
ヒクつく内壁に銀時は再び危機感を覚え、土方の一物を握った。左手で竿を扱き、右手で鈴口を弄る。
「ああぁぁっ!!」
「んんっ!!」
土方のモノから勢いよく白濁液が飛び散った直後、銀時も土方のナカへ吐精した。
(11.08.25)
まあ、土方さんは満足してるみたいなんで早くてもいいんですけどね。ここから完全に銀時呼びが定着した土方さんですが、タイトルはこのまま「銀さん教えて」でいきます。
前編の後書きで「第二章」と言いましたが「レッスン○」も第一章からの続きでいきます。それから「おまけ」を書きました。翌日、食事会リベンジです。→★