中編


入浴を済ませ、ベッドの上で全裸になった土方は、銀時に内腿を撫でられぎょっとした。

「銀さんが入れるのか!?」
「そうだよ。」
「や、やり方だけ教えてくれれば、自分でするから…」
「じゃあまず、俺がやって見せるから…」
「だっダメだ!こんな汚いところ…」
「一緒にお風呂入ってきれいにしたんだから大丈夫。ほら、寝て寝て。」
「うぅっ…」

土方は渋々仰向けになる。

「十四郎、膝を立てて少し足を開いてくれる?」
「こ、こうか?」
「うん。そんな感じ。」

銀時に言われ、土方は膝を曲げて足の裏をシーツに付けた。自ら下半身を曝け出すような姿勢を取らされ
土方は身体の横のシーツをぎゅっと握って羞恥に耐える。
銀時は土方の足の間で胡坐をかき、組んだ足の上に土方の腰を乗せた。

「あ、あの…」
「こうしなきゃ後ろが見えないでしょ。」
「や、やっぱり自分で…」
「だぁめ。…俺のを受け入れてくれようとしてるんだから、まずは俺がやんなきゃ。」
「………」

そういうものなのだろうか…。銀時に汚い場所を触らせてしまう罪悪感と、自分でも見たことのない場所を
見られている羞恥心と、こんなに高度なことが本当にできるのかという不安と…様々な感情が混じり合い、
土方にはどうすればよいのか分からなかった。
そして、そんな土方が頼れるのはやはり銀時ただ一人。土方はまた小さく「分かった」と頷いた。

「風呂の前にも言ったけど、少しでも嫌だと思ったら遠慮なく言っていいんだからね。」
「ああ。」
「それと、これの説明がまだだったね。」

銀時は土方の目の前にピンク色のチューブを翳した。

「これはローション。…潤滑剤だよ。」
「潤滑剤?」
「そっ。これを塗れば滑りがよくなるから、挿入しやすいんだよ。」
「…銀さんの指に塗るのか?」
「うん。…十四郎にも塗るけどね。」
「そうか…」

ローションを塗るのなら、何もない状態で触るよりは汚くないかもしれない―土方の心は少し軽くなった。

「それじゃあ、触るよ。」
「お、おう。」

銀時は左手でチューブを握り、ローションを右手の平に絞り出す。そして、右手を握ったり開いたり
しながらローションを指に絡め、中指の腹をそっと土方の尾てい骨辺りに当てた。

「っ!!」

触れられた指の湿った感触に土方の身体は強張る。銀時は安心させるように左手で土方の右手を握った。

「無理なら無理って言っていいんだからね…」
「大丈、夫…っ!」

銀時の指が割れ目をなぞるように滑り、後孔に触れる。
するとまた、土方は身体を強張らせてしまう。

「…今日は、この辺を触るだけにしようか?」
「やだ…」
「でも、辛いでしょ?」
「辛くねェ。」

ついさっきセックスを知ったばかりの土方に、指とはいえ挿入は性急すぎたと銀時は思ったが、
土方は首を横に振り、絶対に「やめる」とは言わない。

「何度も言ってるけど…こういうことは、無理してやっても意味がないの。だから…」
「俺は、ずっと銀さんとセックスしたいって思ってた。」
「十四郎…」
「そりゃあ、セックスが何か分かったのは今日で、ちゃんとできる自信なんか全然ねェけど…でも、
銀さんは、最初から俺とセックスしたかったんだろ?だったら俺も、早く応えられるようになりてェ。」

下から見上げる土方の瞳はとても力強く、そして真っ直ぐ銀時に向けられている。
銀時は左手に力を込め、土方の手をきつく握った。

「ごめん十四郎…。偉そうに教えといて、俺の方こそセックスが分かってなかった。」
「銀さん?」
「セックスは二人でするんだから二人で頑張らなきゃダメなんだ。なのに、十四郎だけに頑張らせてた。」
「それは、俺が何も知らねェから…」
「今から俺も頑張るから!」
「銀さんが…頑張るのか?」
「そう。俺は、十四郎が気持ちよくなるように頑張る!」
「気持ち、よくって…」
「このナカにも、気持ちよくなる所があるんだ。」
「っ!!」

銀時はこれまでより強めに後孔に触れた。土方の身体は反射的にピクリと跳ねる。
けれど、銀時の言葉は漏らさず聞いていた。

「こ、こんな所に…そんなのが、あるのか?」
「うん。いつもみたいに、俺が十四郎に触って気持ちよくしてあげるからね。」
「わ、分かった…」

土方の身体から少し力が抜けたように感じて、銀時はゆっくりと右手を動かし始めた。

*  *  *  *  *

銀時は土方の入口を指の腹でなぞる。
ゆっくりと優しく、土方がその感触に慣れるまで幾度も幾度も小さな円を描く。
初めての経験に緊張していた土方の身体は、少しずつ少しずつ弛緩していった。

「ハッ…ぁ…」
「十四郎、気持ちいい?」
「分かんね、けど…いやじゃ、ねぇ…」
「そっか…」

銀時は指に少しだけ力を込め、入口の孔を押してみた。土方から特に抵抗はない。
指がナカに入らないよう力を加減して、入口をマッサージするように孔を押していく。

「銀、さん…」
「なに?」
「ちょっと…気持ちい、かも…」
「ありがと。」

恥ずかしそうに眼を伏せながら、それでも銀時に応えようとする土方に、銀時は自然と目尻が下がる。
銀時は萎えたままだった土方の一物を左手で握り、シュッシュと擦った。

「あっ、あっ、あっ…」

慣れた快感に土方は喉を逸らせて喘ぐ。
銀時は左手を止めずに右手の中指にくっと力を入れた。

「あっ!」

中指が第一関節くらいまで入ったところで、銀時は左手を止めた。

「…分かる?俺の指が今、十四郎の中に入ってるんだよ。」
「分か、る…」
「いたい?」
「…ぃたく、ねェ。」
「良かった…。ちょっと、動かすね。」

銀時はほんの少しだけ中指を抜き、またほんの少しだけ奥に進める。
そうして、一センチにも満たない僅かな距離を行きつ戻りつしながら、徐々に徐々に指を埋めていった。


「十四郎、大丈夫?」
「ああ。」
「痛くない?」
「ああ。」
「…大丈夫?」
「クスッ…」

過剰なくらい自分を気遣う銀時に対し、土方はつい笑みを零す。

「…十四郎?」
「悪ィ…でも銀さん、さっきから『痛くない?』と『大丈夫?』ばっかで…」
「だって、心配なんだもん。」
「心配?」
「俺は十四郎の『初めて』なんだから、失敗したくないし…」
「銀さんでも、失敗することなんてあるのか?」
「そりゃあね…。俺だって、十四郎とするのは初めてなワケだし…」
「銀さんも…初めて?」
「そっ。」

銀時もある意味初めてなのだと判り、土方はなんだか嬉しくなった。

「銀さん、初めてなら失敗して当然だ。どんどん来い!」
「どんどんって…」

呆れたように息を吐く銀時の表情は、しかし、どことなく幸せそうであった。

「本当…十四郎には頭が上がらないよ。」
「それは俺の方だろ?色々教えてもらってるんだし…」
「そうでもないよ。」

無垢ゆえに常識に囚われない土方の考え方は、本当に学ぶことが多いと思った。

「じゃあ、もう少し動かすからね。」
「おう。」

銀時はナカで指を軽く曲げ伸ばしして、徐々に引き抜きながら快楽点を探った。

「…どう?何か感じない?」
「うーん…押されてる感じはするけど…」
「この辺にあるはずなんだけどなァ…」
「…その、気持ちいい所って、全員にあるもんなのか?」
「もちろん。」

感じ方は人それぞれであろうが、その器官自体は誰でも持っているはずである。
銀時は根気強く色々な個所を押していった。

そしてついに、

「ひゃっ!」
「ここ!?」

周りと少し感触が違う所を見付け、そこに触れると土方から驚いたような声が上がった。
銀時はそこに中指の腹を当てたまま、軽く手を揺すってみた。


「あぁっ!…あっ、あぁっ!」


先程まで難しい顔をして、何処が気持ちいい場所なのか考えていた土方がビクビクと背を逸らせて喘ぐ。


「やっと見付けた。」
「あぁっ!あぁっ!」


初めての体感に耐えようと、土方は両手で枕の両端を力いっぱい握る。
固く閉じた目尻には薄っすらと涙が滲んでいた。


「はぁっ!あっ…んんっ!…あぁっ!」


土方のモノは完全に反り返り、先端からは雫が零れ始める。
ナカを刺激されて悶える土方の艶姿に、銀時は生唾を飲み込んだ。


「ちゃんと気持ちいいみたいね。」


銀時は少し強めに快楽点を押してみた。


「ああっ!!」


土方の目から涙が零れ、身体はガクガクと震えだす。


「ぎ、さんっ…イキた、いっ!」
「うん。」


銀時は再び左手で土方の一物を握り、激しく扱いて射精を促す。


「ああぁっ!!」


ナカと外から同時に快感を与えられ、土方は耐える間もなく吐精した。


(11.03.03)


これ書いてる途中で本誌(第三百四十四訓)があり、テンション上がりまくりました(笑)

前編と中編の間で、土方さんは厠にて事前準備を行っていると思われますが、さすがにそこはカットしました…だったらここに書くなって感じですね。すみません。

さっさと続きに行きましょう。続きは普通に(?)いちゃいちゃしてます。