後編
銀時は厠の扉をノックしながら中にいる土方を呼ぶ。
「お〜い、土方くーん?」
「な、なんだ?」
「遅ェから気分でも悪いのかと思って。…大丈夫?」
「だ、大丈夫だからっ…」
一物は気分の落ち込みと共に萎みかけていたため、土方はそのまま下着を履いて水を流し、
手を洗うと厠の扉をそっと開けた。
「あれっ…(素股じゃ物足りなくてヌいてるんだと思ったけど、エロい顔してねェな。むしろ暗い?)
なぁ、マジで具合悪い?屯所戻るか?それとも病院行く?…スクーターで送るぜ。」
「いいいや、平気だ。ちょっと考え事をしてて…」
「本当に?」
「ほっ本当に、何ともねェよ。」
「そう?ならいいけど…。何かあったら遠慮なく言えよ。お前、いっつも無理するから…」
「あ、ああ…悪ィな。(この状況で、足りなくてイジってたなんて言えるかァァァァ!!)」
二人は和室に戻り、また一つの布団に入った。
仰向けに寝た土方の身体を、銀時が横から抱き締める。
「あー、こんなに冷えちゃって…。ウチは大家のババァと一緒で古いから、すきま風入って寒いんだよ。
早く戻って来なきゃダメでしょ。」
「お、おう…。」
銀時に触れられたことで、引きかけていた土方の熱が再び上昇し始める。
(ヤバイ…だが、またすぐに厠へ行くなんて言ったら万事屋に余計な心配を掛けちまう…。
…ヤってほしいと頼むか?いや、こんな時間じゃ迷惑だろ…。俺が厠に行く前、万事屋は寝てたんだから。
朝まで待つしかねェか…)
こうなったのも自業自得と、土方は熱い息を吐いて目を閉じた。
* * * * *
「ハァッ…(くそっ…眠れねェ…)」
暫く目を閉じていた土方であったが、一度灯ってしまった火はそう簡単に消えてはくれず、
少しでも籠った熱を放出しようと息を吐く。
銀時は寝たふりをしながら、その様子をこっそり伺っていた。
「(土方…息遣いが荒いし、眠れねェみたいだし、マジで具合悪いんじゃねェか?)土方…大丈夫?」
「―っ!?わ、悪ィ…起こしちまったか?」
「いや…目ェ閉じてただけで寝てなかった。…なぁ、お前、マジで調子悪くねェの?」
「っ………」
銀時が上体を起こして土方の顔を覗き込むと、土方は思わず視線を逸らした。
(あれっ?今度はなんかエロい顔してる…。ちょっと確かめてみるか。)
銀時は右手の人差指で狙いを定め、土方の乳首がある辺りを着物の上から押してみた。
「ひあっ!」
「おっ…」
予想だにしなかった刺激に声が漏れてしまい、土方は慌てて口を塞いだ。
銀時は途端に締まりのない顔になる。
「なぁんだ…やっぱ、エロい気分だったんじゃん。」
「ち………」
反射的に出そうになった「違う」というセリフは飲み込んだものの、素直に「はいそうです」とも言えず
土方は黙りこくってしまう。
「…どした?ねぇ、ちょっと乳首触っただけであの反応なんだから、エッチな気分なんでしょ?」
「あ…う……そ、その…」
「…えいっ!」
「ああっ!!」
いつものような反応がないことを些か変だと思いつつ、銀時は土方の股間を握ってみた。
布越しに土方のモノがビクビク震え、じんわりと湿り気を帯びていくのが銀時の手に伝わる。
「うわ〜…触っただけでイッちゃった?ここまで我慢しなくても良かったのにィ…」
銀時は喜々として土方の帯を解いていく。
「…す、すまない。」
「ん?何で謝るの?」
「お前は寝てたのに、その…」
「それで我慢してたの?遠慮することなんかないのに…」
「こうなったのは、俺のせいだから…」
「へっ?何で?」
「だから…俺が、初めに、その…感じたのを、認めなかったから…」
「…初めって、素股した時?」
「そ、そうだ。」
耳まで赤くして視線を泳がせながら話す土方に、銀時はふっと微笑みかける。
「素直になればよかったって、厠で反省してたの?」
「………」
土方の首が僅かに縦に振れた。
「クスッ…そっか。じゃあ、これからどうしたい?」
「ど、どうって…」
「素直になるんでしょ?何がしたいか言ってよ。」
「………」
「もうイッちゃったから終わりでいい?」
「っ………」
土方は首を横に振る。
「嫌なの?じゃあ、どうしたいの?」
「…さ、最後まで…」
「最後って?」
「そ、その……お前の、を…俺の、なかにっ…」
何とか言えたと胸を撫で下ろした土方であったが、銀時の質問は更に続けられる。
「俺の…なに?」
「な、なにって…」
「だからー…俺の何を土方の中に?」
「何って………ナニだよ。」
「…まあ、そうくると思ったけど。それ、お前の決め台詞だもんな。」
「どこが決め台詞だ…」
「じゃあさ…『銀時入れて?』って言ってみて。」
「はぁ!?」
「それだけ言えたら、ナニって何?とか、ナカってどこ?とかは勘弁してあげるから。」
「っ〜〜〜!」
土方はこれ以上ないくらい顔を赤くして銀時を睨み付ける。
けれど情欲に潤んだ瞳では、すっかり調子付いている銀時を止めることなどできない。
「ほら早く〜。銀さんのバズーカをお尻に入れて欲しいんでしょ?だったら素直に言ってごらん?
はいっ、ぎ・ん・と・き・い・れ・てぐはっ!」
堪忍袋の緒が切れた土方は、自分に乗り上げている銀時の頬に拳を叩き付けた。
「痛ァ!!ちょっ…素直になるんでしょ!?これ、最初と同じパターンじゃん!」
「るせェ!!分かってるならさっさと入れやがれこのクソ天パァァァ!!」
「もー、しょーがないなァ…。じゃあ入れますよ〜…」
「チッ…」
銀時は精液に塗れた土方の下着を抜き取り、潤滑剤を絡めた指で後ろの入口に触れた。
「んっ…」
「なんか…既に柔らかくなってない?」
「うっ…」
「土方く〜ん、素直になるんでしょ?なんでココ、もう解れてんのかなぁ〜?」
「……かっ、厠でっ…」
「厠で?自分でヤったの?我慢できなくて?」
「………そうだよ!」
「へぇ〜、そうなんだぁ…。で、何本入れたの?」
「…………さんあうっ!!」
銀時の指が一気に三本挿入された。
「てめっ…」
「そんなに睨まないでよ〜。もう充分解れてるんだから、一本ずつなんてまどろっこしいでしょ?」
ナカの指がバラバラに動き出す。
「あっ…ハッ、あぁっ!」
「土方のチ○コ、またビンビンになってる…。銀さんのバズーカ、早く入れて欲しい?」
「ほ、しいっ…」
「りょーかい。」
「ああぁっ!!」
銀時は指を抜き、土方の足を抱え上げて自身をズンッと奥まで挿入した。
その衝撃で、土方の先端から白濁液が飛び散る。
「あーあ…またイッちゃった。」
「ひあぁっ!!」
銀時は土方から出たモノを掬い取ると、その手で土方の一物を扱きながら腰を動かした。
「あぁっ!!くっ…ああっ!!」
限界を超える快楽を叩き込まれているはずだが、土方から制止の声は上がらない。
…上がったとしても銀時に止める気はないが。
「気持ちイイの?」
「あっ…いいっ!いっ…ああっ!!」
素直に「いい」と口にされたことで気を良くした銀時は、もう片方の手で土方の尿道孔を弄る。
「ひぅぅぅっ!!」
内側と外側から強い快楽を与えられ、土方の目尻から涙が零れ落ちる。
「ああっ!!ああっ!!ああっ!!」
「ハァッ…」
ぎゅうぎゅうと蠢くナカに、銀時も徐々に余裕がなくなっていった。
銀時は一物から手を離し、土方の足を抱え直すとこれまでより速く腰を動かし始める。
「ひあぁっ!!ハッ…くっ…はぁっ!!」
「くぅっ!!」
求めるように上げられた土方の腕を、銀時は自分の首に回させた。
すると土方がぐっと腕に力を入れて銀時を引き寄せ、唇を合わせる。
「ハッ…んっ!ふっ…んんっ!!」
土方は自ら積極的に銀時の口内へ舌を滑り込ませ、深く深く口付けを交わす。
「んっ!んっ!んっ!んっ!…んん〜っ!!」
「っ…!!」
力の限り銀時に抱き付いて土方は果て、銀時も土方の中に吐精した。
* * * * *
後日、銀時は密かに屯所を訪れ、山崎を呼び出した。
「どうしたんですか?副長なら今、本庁の方に行ってますけど…」
「その副長さんのことで、ジミーに確認しときたいことがあってさ…」
「何ですか?」
「ジミーさぁ…わざと土方を怒らせてるってこと、ないよな?」
「は?なに言ってるんですか?副長が怒ったら凄く怖いんですよ。旦那だって知ってるでしょう?」
「いや、そうなんだけどさァ…ジミーってよく、土方に乗っかられて殴られてるだろ?」
「知ってるじゃないですか…そうですよ。だから、わざとなんてそんな恐ろしいこと…」
「でもさァ、着流しの時とか…制服着てても、上着とスカーフ取ってる時とか胸元がこう…」
「!?…すすすすいません!俺、ちゃんと仕事してますから!」
山崎は急に怯えたような貌をして屯所の中へ引っ込んでいった。
銀時が恐る恐る振り返ると、そこには米神に青筋を浮かべた土方が立っていた。
「よう…」
「どどどどーも、こんにちは…。ハハハッ…げ、元気?おわっ!!」
土方は無言で刀を抜いて振り下ろす。
銀時は右側に飛び退いて難を逃れたものの、僅かにかわしきれなかったのか数本の銀髪が宙を舞った。
「チッ…避けんじゃねーよ。」
「よ、避けなきゃ死んじゃうでしょコレェェェ!」
「部下にまでくだらねェこと吹き込む野郎は、死んだ方がいいだろ…」
「誤解だよ!ジミーがお前のこと、変な目で見てるんじゃないかと心配になって…」
「変な目で見てんのはテメーだろ!!」
「ふおっ!!」
今度は横に刀を振り抜かれ、銀時は地面に這い蹲ってそれを避ける。
「待って!この前、素直になるって言ったじゃん!ほら、大好きな銀さんが死んだら悲しいでしょ?」
「テメーにゃ永遠に黙っててほしい!」
「ちょっ…」
再び銀時に向かって刀が振り下ろされ、避けきれないと思った銀時は愛刀でそれを受けた。
カラン
銀時の愛刀の上半分が、音を立てて地面に転がった。
「えぇっ!?お、折れたァァァァ!?ちょっ…俺の洞爺湖が真っ二つだよコレ!!」
「あ!?ンな木の棒で真剣に勝てると思ってんのかテメー…」
「木の棒じゃねーよ!俺の洞爺湖はなぁ、星砕っつー妖刀で、そんじょそこらの木刀とはワケが…」
「奇遇だな…。俺の村麻紗も妖刀だ…」
「そ、そーでしたね…。さすが真選組の副長さん…素晴らしい刀をお持ちのようで……じゃっ!」
「あっ、待てコノヤロー!!」
愛刀の成れの果てを掴み、銀時は自宅のあるかぶき町方面へ全速力で駆け出した。
土方も刀を抜いたままそれを追う。
恋人達の物騒な追いかけっこはこの後、数時間にも及んだ。
(11.02.02)
前編をアップした時点で書いていたのは二人がイクところまで。その後「二人は満足して眠れました。めでたしめでたし」的な一文を加えて完成の予定でしたが
上手くまとまらず、前編のみ先にアップしました。そしたら、殴られた銀さんに「山崎化してる」というコメントをいただきまして、現在の形になりました^^
ありがとうございます!いや、コメントの銀さんはもっとカッコよく(?)屯所に乗り込んでいたんですけどね。この山崎は土方さんに恋愛感情はありません。
土方さんカッとなって暴力→土方さん反省→銀さんの言いなりに→銀さん調子に乗る→土方さんキレる・・・愛の無限ループですね(笑)。
殴られても斬られても懲りない銀さんが好きです(笑)。 ここまでお読みくださり、ありがとうございました。