後編
「こうやってキスしたり、身体触ったりするのもセックスに至る前の大事な行為なんだよ。」
「う……舐、めるの、も…か?」
「んー…」
「ひぁっ!」
銀時の舌が耳朶を這い、土方は身体を跳ねさせる。
「や…ぁ…銀、さん…」
「ん〜?気持ちよくない〜?」
「ぁ…分かん、ない…ひゃっ!」
「じゃあ、分かるまでやったげる…」
耳の形をねっとりと辿り、尖らせた舌先で穴の入口をつつくと再び土方の身体が跳ねる。銀時は左腕を前から
回して土方の顔を左に向かせ、右の耳朶を優しく撫でつつ、左の耳はわざとピチャピチャ音を立てて舐めた。
「やっ…も、やだァ…」
「…気持ちよくない?」
「はひゅ…」
耳元で囁くように言われ、土方の身体から一気に力が抜ける。銀時が後ろにいなければ座っているのも難しい
状態になってしまった。そんな土方の反応に気を良くした銀時は耳への愛撫を続けていく。
「ゃ…も、やめ……へん、に…なるっ…」
「変って…気持ちいいんでしょ?ね?」
「いいっ、から…も、やめっ…」
「気持ちいいならもっとしてあげるよ。」
耳朶を甘噛みすると土方は身体をふるりと震わせる。銀時は肌蹴た胸元へ右手を滑り込ませ、僅かに主張している
小さな飾りを指でピンっと弾いた。
「ひゃぁっ!あっ…そこも、ダメっ…」
「クスッ…十四郎はダメなところがいっぱいだね。…でも、本当は気持ちいいんでしょ?」
「やっ…いいっ、けど…だめっ!」
「…何で?」
「だ、て……もぅ、むりっ…」
土方は身体を捻って銀時の首に縋りつき、限界を訴える。
「銀、さん……シタ、触って…」
「………」
瞳を潤ませ、頬を紅潮させてオネダリする土方の艶姿に銀時の喉が鳴った。
そのまま言うとおりにしてやりたい気持ちをグッと堪え、銀時は土方と唇を合わせながら乳首を摘まむ。
「んんっ!ふっ…んんーっ!」
そうじゃないとでも言いたげに土方は唇を閉じて舌の侵入を拒む。
「ディープキス、嫌ないの?」
「違っ…今は、キスより、こっち…」
土方は銀時の右手首を掴み、下―自分の股間へと誘導する。
硬く膨れ上がった土方のモノは下着を押し上げ、染みを作っていた。
銀時は人差指で染みの中央―尿道孔の辺りにそっと触れる。
「はっ、あ…」
「凄いね…もうすぐイキそう?」
「んっ…イキ、たい…」
「耳と乳首、そんなにヨかった?じゃあ、もうちょっと…」
「やだやだやだやだ…」
再び上に戻ろうとする銀時の腕を、土方は下へ引き戻す。
「は、やく…ぁ…イカせ、て…」
「うわぁ…」
散々焦らされ、恥じらう余裕も奪われた土方は自分の股間に銀時の手をぐりぐりと押し付けいていく。
「すげぇ、エロい…」
「だ、て…銀さんが…」
「うんうん…こうやって触らなかったのがいけないんだよねー。」
「ああぁっ!!」
銀時の手が下着の上から土方のモノを掴んだ瞬間、土方はビクンと身体を震わせて吐精した。
「あーあ…パンツ履いたままイッちゃったね。」
「あっ、待っ…あぁっ!」
達した土方のモノを銀時が下着ごと揉みしだく。銀時は土方への刺激を止めずに、土方をベッドへ横たわらせた。
「俺のも、触ってくれる?」
「う、ん…」
土方は快感で震える手を伸ばし、銀時の服を脱がせていく。その緩やかな動作に銀時の方が我慢できなくなり
一旦土方から手を離して自ら服を脱ぎ、土方の服も剥ぎ取った。
銀時は土方の腿の上に跨り、怒張した自身と回復しかけた土方のモノを合わせて握ろうとしたが、土方は銀時の
胸元に手を伸ばす。
「あ、あれ…?そこ?」
「…銀さんのは、触っちゃダメなのか?」
「ダメじゃないけど…」
「じゃあ、触る…」
土方は仰向けになったまま自分の上にいる銀時の胸へ手を這わせる。
(早く扱いて欲しいんだけど…さっき、焦らしプレイしちゃったから同じようにしたいんだろうなぁ…。
まあ、ちょっとくすぐってェ感じもするけど、それなりに気持ちイイからいいか…。一所懸命乳首摘まんでる
十四郎の顔も可愛いし……って、なんか…睨まれてる?)
当初、銀時の胸元を向いていた土方だったが、今は銀時の目をじっと見詰めている。
「と、十四郎?」
「…気持ちよくねェ?」
「そんなことないけど…」
「………」
「おっ…」
土方は何か思うところがありそうな表情を見せたが、無言で手を銀時の股間へ移動させ、一物を扱き始める。
「………」
「あ、あの…十四郎?どうしたの?」
「……やっぱり、気持ちよくねェんだ…」
「えっ、何で?俺の、めっちゃ勃ってるんだけど…。それにほら、いっぱい垂れてて今にもイキそうだよ?」
自分が早いことをアピールしているみたいで微妙な気分だったが、落ち込んでいる土方を慰めるために
銀時は如何に限界であるかを説明した。けれど土方の表情は晴れない。
「気にはなってたんだが…いつもは、俺も一緒に触られてて…そうすると、銀さんのこと気にかける余裕が
なくなるから確信が持てなくて…。でも今は、俺だけが触ってたから分かった。」
「俺が感じてないって?そんなことないよー…」
「でも、声が…普通だ。」
「声?普通ってどういうこと?」
「俺は…銀さんに触られると、普通に喋れないのに、銀さんはいつも通りで…」
「もしかして…俺が十四郎みたいにあんあん言わないってこと?」
「うん。」
「えっと…」
どのように説明すれば土方に分かってもらえるか、銀時は暫し考えてから口を開いた。
「十四郎の方が感じやすいから、ちょっと触っただけでも声が出ちゃうんだよ。」
「でも銀さんは、いっぱい触っても声が出ない。やっぱり、俺の触り方がダメだから…」
「違うって!えーっと、どう言えば分かるかな…」
「気休めはいらねェ。ダメならダメってちゃんと言ってくれ。」
「ダメじゃないんだって!ちゃんと気持ちいいんだよ?ただ、俺は十四郎より慣れてるっていうか…」
「慣れてる?」
「そう!俺は十四郎より早くこういうことを知ったから、感じても声を抑えられるようになったんだよ。
十四郎も経験を積めばそのうち…あ、あれ?」
やや持ち直していた土方の表情が再び曇り、更には銀時の下敷きになっていた土方のモノが萎んでいくのを感じ、
銀時は慌てて土方から下りて身体を起こさせる。
座る姿勢になった土方は俯いて下唇を噛みしめ、今にも泣き出しそうであった。
「十四郎?」
「悪ィ…。分かってたことだけど…今まで、考えないようにしてて…」
「…何のこと?」
「銀さんが……他の人とも、こういうことしたことあるって…」
「あっ…」
銀時は漸く、自分の軽率な発言が土方にショックを与えたのだと気付く。
「ごごごごごめん…。そういうつもりで言ったんじゃ…」
「分かってる。事実は、ちゃんと受け止めねェと…。色んな経験があるから、俺は銀さんに教わってるんだし…」
「あの…俺は、別に…」
「大丈、夫…だからっ…っ…」
「十四郎!」
膝の上で硬く拳を握って涙を堪える土方を銀時はキツく抱き締めた。
「本当にごめん!俺の考えが足りなかった!」
「銀さんは、悪くない…。俺が…」
「ううん。俺の言い方が悪かったんだ。でもね…十四郎を好きになってからは他のヤツとなんて何にもないし、
それ以前だって…モテなかったから、そんなに経験があるわけじゃないんだよ?俺が色々知ってるのは
そういうのに詳しいダチがいたからで…だから…」
「………」
「だから、その…」
「………」
土方は銀時の背に回していた腕に力を込め、ゆっくりと瞳を閉じた。
辛うじて瞳の中に留まっていた滴が頬を伝い落ちる。土方は目を閉じたまま深呼吸を数回繰り返し、
そして、パッと腕の力を抜いて上体を後ろへ引き、銀時と正面から目を合わせた。
「と、十四郎…?」
「もう大丈夫だ。みっともねェとこ見せちまって、悪かったな…」
「えっ…」
土方の目は未だ赤く潤んでいたが、その表情は何故かふっきれたかのようにスッキリしていた。
「あの、十四郎…無理しなくていいんだよ?」
「無理なんかしてねェよ。もう、気持ちの整理がついたから平気だ。」
「平気だって…」
強がりを言っているようには見えないものの、銀時には何故土方がこんなに早く立ち直れたのか分からなかった。
不思議そうに自分を見てくる銀時に、土方は頬の涙の痕を手で拭いながら言った。
「メソメソしてたって過去は変わんねェんだし…今は俺が銀さんの恋人で、銀さんがこういうことをするのは
俺だけなんだから、それで充分だ。それに…他の人との経験がある銀さんだから、俺は好きになったんだ。」
「ど、どういうこと?」
経験の有無以前に、銀時と付き合う前の土方はそもそも「経験」が何なのかすら知らなかったはずである。
「どんな過去であれ、それがなかったら、銀さんは今と違った銀さんになってたはずだろ?俺は今の銀さんが
好きなんだから、銀さんの今までの経験は俺にとっていいことなんだ…」
「十四郎!」
「わっ…」
銀時は再び腕に力を込めて土方を引き寄せて抱き締めた。
「ありがとう!俺も、十四郎の全部が大好きだよ!」
「銀さん…」
(ライバルを牽制しに屯所に行った自分が恥ずかしいぜ…。十四郎がこんなにも俺を想ってくれてんだから、
俺も十四郎のことだけを考えていれば良かったんだ。他のヤツらが何しようと、俺達の愛は揺るがねェ!)
互いの想いを確かめ合った二人は、その夜、抱き合ったまま眠りに就いた。
(11.01.07)
思いがけずシリアス展開になってしまいました^^; いや、素っ裸で話してるのを想像したらそんなにシリアスでもないか(笑)。銀さんの銀さんは途中で萎え…やめておきます。
どういうわけか、シリアスな話の後書きはおかしなことを書きたくなってしまいます。いけない癖ですね^^; 徐々に土方さんの性格を原作に近付けようと思っているのですが
どうなるか分かりません。次回からはまた、ほのぼのエロ路線に戻ると思います。前回(レッスン7)も今回もエロがあっさり目だったので、次回こそはっ!
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
ブラウザを閉じてお戻りください