ある日の晩、近藤と土方は仕事終わりに居酒屋へ来ていた。
「近藤さんと二人で飲みに行くのは久しぶりだな。」
「そうだなぁ…。トシに恋人ができてからは、一緒にお妙さんの店に行くこともなくなったしなぁ。
…今日は大丈夫なのか?俺と飲んでいても…」
「ああ。今日銀さんは、朝まで警備員の仕事なんだとよ。」
「そうなのか…。でも上手くいってるみたいで安心した。会う度にケンカしてたから、付き合うって
聞いた時はすぐに別れるんじゃないかと心配したぞ。」
「ハハハ…。実は俺も、最初に好きだって言われた時はビックリした。」
「そうだよなぁ…あ、告白は向こうからなんだ。」
「ああ。」
土方は銀時に告白された日のことを思い出し、懐かしむように目を細めた。そんな土方の穏やかな表情を
見て、近藤も満足そうに盃を傾けた。
「トシ…いい人に巡り会えたな。」
「アンタが俺を拾ってくれたおかげだ…。でなきゃ俺は、江戸に出てくることもなかった。」
「じゃあ俺がトシの恋のキューピッド?」
「そういうことになるな…」
「あー…俺とお妙さんのキューピッドになってくれる人も、何処かにいないかなぁ〜。」
「近藤さんなら自分の力で何とかできるさ。」
「そうかなぁ…」
「ああ。そのうちきっと、近藤さんの魅力が分かってもらえる日が来るって。」
「トシに言われるとそんな気がする。…よしっ、これからも頑張るぞ!」
「その意気だ、近藤さん。」
土方は近藤の猪口に酒を注ぎ、近藤はそれをグイッと呷った。
「トシも飲め、飲め。今日みたいに寒い日は熱燗に限る!」
「ああ…」
互いに酒を酌み交わしながら恋愛談議に花を咲かせる。もっとも、話しているのは主に近藤で、土方は
近藤の言うことに相槌を打つ程度だった。
「ところでトシ…体の方は何ともないのか?」
「体?何だよ急に…別に何ともねェよ。」
「そうか?いや、俺も詳しくは知らないんだが、男同士だと、その…下になる方に負担がかかるんだと
聞いたことがあってだな…」
「…下になる?」
「あれっ?トシが下じゃなかったのか?すまんすまん。俺はてっきり…」
「そうじゃなくて、『下になる』って意味が分かんねェんだけど…」
「だからそれは夜の役割というか…」
「夜?」
「だ、抱く方と抱かれる方って言えば分かるか?」
「…抱く?ギュッてすることか?それはどちらかといえば銀さんからの方が…」
「いや、そうじゃなくて…」
何かおかしい―ほろ酔い加減の近藤だが、土方との会話の違和感に気付き始めた。
「そういえば、前に銀さんにも上とか下とか言われたな…。その時は分からないことが多すぎるからって
結局、何のことか教えてもらえなかったんだ。…近藤さんも知ってるのか?」
「あ、いや…分からないなら万事屋に教えてもらうといい。こういうことは恋人に教わるのが一番だ。」
「そうなのか?…俺、今まで誰とも付き合ったことなかったから、分からないことだらけなんだよな…。
銀さんは少しずつ覚えていけばいいって言ってくれてるけど…本当は呆れてると思う。」
「そんなことはないだろう。多少知らないことがあったってトシが立派な侍であることに変わりはない!
万事屋もトシの魂に惹かれたんだと思う。自信を持て、トシ!」
「ありがとう、近藤さん。」
土方を励ましながら、近藤は銀時と話をしなければならないと決意していた。
* * * * *
翌日昼過ぎ、近藤は一人で万事屋を訪れた。何度も呼び鈴を押して漸く寝間着姿の銀時が出てくる。
「ふあー…何なんだよ、ゴリラ…。今日は万事屋銀ちゃん休業日でーす…」
「朝まで仕事してたんだったな…すまん。トシのことで話があったんだが、日を改めることにする。」
「…入れよ。」
恋人の名が出たことで銀時の瞳に光が灯る。銀時は近藤を万事屋へ招き入れた。
「…で、十四郎のことって何?」
事務所のソファに座り、銀時と近藤は向かい合う。
今日は朝までビルの警備の仕事があり、その後は寝て過ごす予定だったから、新八と神楽にも休みだと
言ってあった。そのため、二人は思い思いの場所へ遊びに出掛けていた。
「疲れてるところにすまんな…」
「別にいいって…。つーか俺の仕事のこと、十四郎から聞いたのか?」
「あ、ああ。」
「それで?」
「お前は、その…トシがあまり知らないことを知っていたのか?」
「…何のこと?」
「だからその…トシに夜の知識が不足していることを知っていたのか?」
「………」
銀時の眉がピクリと動く。
(コイツ…十四郎がまっさらだってこと、今まで知らなかったのか?まさかそれを知って俺との交際を
反対しに来たとか?マズイ…コイツに反対されると十四郎との関係を続けるのが厳しくなる…)
「どうなんだ?知っていたのか?」
「…付き合ってから、知った。」
近藤の真意が見えないが、とりあえず銀時は本当のことを言っておくことにした。
「そうか…。実は俺も昨晩知って驚いたんだ。」
「ふ〜ん…」
「そのことで、お前に折り入ってお願いがあって来た。」
「…で、何よ?」
銀時はあくまでも平静を装っていたが、心の中ではいつ別れを宣告されるのかとドキドキしていた。
近藤はソファから立ち上がると、床に正座して頭を下げる。
「トシを頼む!」
「………は?」
「何も知らないトシを相手にするのは大変だろう。だがトシはトシなりに本気でお前の事が好きなんだ。
だから頼む!トシを見捨てないでやってくれ!」
「いや…見捨てるとか、そんなことは考えたことねーけど…」
「ほっ本当か!?」
近藤は顔を上げる。
「ああ。…つーか、言いたいことってそれ?」
「そうだ。爛れた恋愛しかしてなさそうなお前にとって、無垢なトシは面倒なんじゃないかと思って…」
「おい、さり気なく失礼なこと言ってんじゃねーよ。だいたい…そういうつもりならとっくに別れてる
はずだろーが…。俺はなァ…十四郎が何も知らないって知って、悪いヤツから護ってやらなきゃって
思ってんだよ。そんで、俺達の関係はゆっくり深めていけばいいと…アイツともそう約束してっから。」
嘘は言っていない。ただ、近藤が思っている以上に土方は銀時と色々な体験をしているのだが、もちろん
銀時はそんなことを言うつもりはなかった。何も知らない近藤は銀時の言葉に感動すら覚えていた。
「そうか…お前がそこまでトシのことを考えてくれているのなら安心だ。ゆっくり教えてやってくれ!」
「銀さんに任せなさい。」
「本当にありがとう!お前みたいな恋人ができて、トシは幸せ者だな…」
「いやいや…理解のある上司に恵まれて、十四郎は幸せだよ〜。」
「あっ、俺が今日ここに来たことトシには…」
「言わねェよ。俺も…護ってやるとか思われてんの知られたら、嫌がられそうだし…」
「ハハハッ…そうだな。」
「そんじゃあね〜。」
「ああ…疲れてるところ邪魔してすまなかった。」
近藤は何度も振り返りながら「トシを頼む」と言って万事屋を後にした。
(よっしゃー!!)
一人になった万事屋で銀時はガッツポーズをする。
(これで完璧に近藤は味方につけられた。例え十四郎といちゃいちゃしてんのがバレても、手順を踏んで
ちゃんと教えてると言えば問題ない。近藤のお墨付きがもらえれば、他の真選組連中なんか敵じゃねェ。
あとはゆっくりじっくり十四郎に色んなことを教えていけばいい。…俺たちの未来は明るい!)
今後の土方との(主にベッドの上での)付き合いを思い描き、銀時は幸せそうに眠りに就いた。
銀さん教えてレッスン7
翌日。銀時と土方はいつも通り裏口のあるラブホテルで待ち合わせた。
「十四郎〜、会いたかったよ〜!」
「銀さん…前に会ったの三日前だぞ。」
「それでも会いたかったの!…十四郎は別に会いたくなかった?」
「そんなわけ、ねぇだろ…」
口を尖らせてそっぽを向く土方を銀時はぎゅうぎゅうと抱き締める。
「ちょっ…そういうのは部屋に入ってから…」
「じゃあ早く入ろう!」
銀時は土方の手を取り、いそいそと部屋に入っていった。
「ねぇ十四郎…今日はお風呂が広い部屋にしたからさァ、一緒に入らない?」
「ああ…」
共同浴室の屯所で生活している土方は、特に気にすることもなく銀時と浴室へ向かっていった。
(やったぁ!十四郎とお風呂〜♪…やべっ、もう勃ちそう…。タオルタオル…)
銀時は芯を持ち始めた自身を隠すように、腰にタオルを巻いて浴室に入る。土方も同じようにタオルを
巻いて後に続いた。
「………」
「銀さん?どうした?ぼーっとして…」
「あ、ああ…ごめん。十四郎がいつもより綺麗だからつい見とれちゃった。」
浴槽から立ち込める湯気が浴室内に充満しており、少し離れている土方が幻想的に霞んで見えた。
「変なこと言うなよ…。俺が綺麗なわけないだろ…」
「そんなことない!十四郎は綺麗だよ。」
「どこがだよ…」
「ぜーんぶ。…さてと、喋ってばかりいないで体洗おうか?背中流してあげるよ。」
「ああ。」
土方は隅にあるイスをシャワーの近くに持ってこようとしてふと手を止めた。
「そういえば…何でここのイスってこんな形なんだ?普通のもあるけど…」
この浴室にはイスが二つあった。一つは銭湯にあるようなごくありふれたもの。もう一つは中央が凹んだ
所謂スケベイス。土方が疑問を呈したのは当然後者のイスである。
「あー…(これ使うのは後ろを使えるようになってからだよな…)それの使い方はおいおい説明するよ。
とりあえず今日はただ座るだけにしよう。」
「ごめんな…。俺が何も知らねェから、教えること多すぎて大変なんだよな…」
「そんなことないって。それに、十四郎は確実に成長してるよ!」
「だといいけど…」
「心配しなくていいよ。ほら、座って座って。」
「ああ…」
銀時は自らスケベイスに座り、土方を普通のイスに座らせてシャワーから湯を出す。そして土方の体に
湯をかけていく。
「熱くない?」
「ああ。」
タオルにも湯を含ませ、石鹸を滑らせて土方の背中に当てた。
「どこか痒いところはございませんか〜?」
「ハハハッ…なんだよ銀さん…。床屋みてェ…」
「あっ、じゃあこの後、髪も洗ってあげるよ。」
「その前に俺が銀さんの背中流してやるよ。」
「本当?嬉しいな〜。」
土方の背中を洗い終えると体の向きを変え、今度は土方が銀時の背中を流す。
「…どこか痒いところはあるか?」
「ハハハッ…大丈夫でーす。(ヤバイ…十四郎が俺に触ってると思ったら、マジで勃ってきた!)」
銀時は下半身を覆っているタオルを手で押さえた。
「銀さん、流していいか?」
「あっ、お願いしま〜す。」
その後は互いに自分で残りの部分を洗い、並んで湯船に浸かる。反応しかけた下半身を湯の中に隠すことがで
き
銀時はホッと一安心…。すると、土方の身体をじっくり観察する余裕が出てくる。
「十四郎の乳首、可愛いね。」
「はぁ?ンなもん、誰でも同じだろ…」
「違うよ〜。十四郎の乳首はピンク色で可愛い。」
銀時はピンと土方の乳首を指で弾いた。
「やんっ!」
「あれ〜?もしかして…感じた?」
「ち、違っ…」
「嘘でしょ?…今のは感じてる声だったよ。」
「あっ、だめ!あっ、ん…」
人差し指でクニクニと乳首を押されると、土方は背中を丸め、ビクビクと震えだす。
「ほ〜ら…やっぱり気持ちいいんじゃない。」
「やっ…銀さん、もっ、やめて!」
「何で?気持ちいいんでしょ?」
「だ、て…あっ!んんっ…もう、ダメだって!」
土方は銀時の手から逃れようとするものの、浴槽の中では逃げる場所に限界があり、あっという間に縁まで
追い詰められてしまう。土方は自分の手で胸を押さえ、銀時に背を向けてガードする。
「もう触っちゃダメ!」
「…勃っちゃうから?」
「え…」
「乳首触られると、気持ちよくて勃っちゃうんでしょ?…別にいいじゃん。どうせ、風呂から出たらするつも
り
だったんだし…せっかく二人で入ったんだから、ここでしようよ。」
「…ここで?」
「そっ。ここならいっぱい出てもすぐに洗い流せていいでしょ。」
「で、でも…」
「それにさァ…」
「あっ…」
銀時は土方を背中から抱き締め、硬くなった自身を土方の腰に当てた。
「俺はもう、ここでエッチしたくて勃ってんだよねー…」
「銀さん…」
「ねっ?ここでしよう?」
「……分かった。」
土方は胸に当てていた手を下ろし、湯の中に沈めた。
* * * * *
「あっ、あっ、あっ…」
「…そんなに気持ちイイ?」
浴槽の中、土方は銀時に後ろから抱き締められて二つの乳首を刺激されていた。指の腹で小さな粒を
押されると、土方は声を上げて身体を跳ねさせる。その度に湯がちゃぷちゃぷと音を立てた。
「あっ…きもち、いいっ…」
「そっか…じゃあ、いっぱい触ってあげる。」
「あ…あぁっ!」
爪の先で乳首を軽く引っ掻くと土方から上がる声は一段高くなった。
(優しく触るより、引っ掻いたり抓ったりする方が気持ちよさそう…。ほーんと…怖いくらいに俺好みに
育ってるよなァ…)
「ひあぁっ!!」
親指と人差し指で硬くなった乳首を強めに挟むと、勃ち上がった土方のモノから先走りが漏れてくる。
「(もっと苛めてみたいけど、そろそろ俺も限界…)ねぇ十四郎…俺の、触って。」
「あ、あ…」
銀時は土方の右手を取って後ろに回し、銀時自身を握らせた。
「あの、銀さん…俺のも…」
「十四郎もちんちん触って欲しいの?」
「う、うん…」
「でも俺の手は十四郎のおっぱいで塞がってるからさァ…そっちは十四郎、自分でやってごらん。」
「えっ、でも…」
「我慢できるならそれでもいいよ。…お風呂上がったらベッドでいっぱい触ってあげるから。」
「…あっ!」
土方の下半身の状況は湯の中でも何となく分かるが、銀時は胸への刺激を続ける。
「やっ、あ…銀さんっ!」
「十四郎…早く右手動かして。」
「んんっ…」
土方は握らされた銀時のモノをゆっくり擦り上げる。
「ハァッ…気持ちイイ…」
「銀、さん…俺も…」
「だから自分で触っていいって…ほら。」
銀時は土方の左手を土方のモノに誘導する。
「あっ、んっ…んっ、んっ…」
(おぉー…エロい…)
我慢の限界を超えていた土方は、銀時に促されるまま自分のモノを擦り始めた。
後ろ手で銀時のモノを擦りながら自身も同じように刺激する土方の痴態に、銀時の喉が鳴った。
「あっ…銀さんの、大きくなった。」
「十四郎の手が気持ちいいからね…。十四郎の乳首もすごく硬くなってる…気持ちいい?」
「いいっ!あっ…もう、イキそうっ!」
「んっ、俺も…」
土方は両手を激しく動かして自身と銀時を追い立てる。銀時は更に強い快楽を求め、土方の手に合わせて
腰を揺らした。水面が波立ち、耐えきれなくなった分が浴槽から流れ出た。
「あっ、あっ…ああっ!!」
「くぅっ!!」
二人はほとんど同時に湯船の中へ白濁液を放出した。
すっかり長湯してしまった二人はその後、短い休憩時間を挟んでから再びベッドの上で抱き合うのだった。
(10.12.11)
今回はいつもよりエロシーンが温めですかね?土方さんは新しい性感帯を知りました^^ 乳首の話(?)は次回も出てくると思います…多分。
そして前半部分で近藤さんのお墨付きをもらった銀さんは、ますます調子に乗って土方さんにエッチなレッスンを仕掛けるんじゃないでしょうか^^;
今回出番のなかった反銀土派の隊士達ですが、次回は出番がある…といいな(笑) ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
追記:続きを書きました。→★
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