後編
土方の体には未だ包帯が巻かれていた。銀時はそっと包帯に触れる。
「本当に、ごめんね…」
「それはもういいから…」
「でもさ…」
「…いいから、早くっ」
「あ、ごめん…」
包帯の少し下には刺激を待ち望んで震える土方のモノがあった。銀時は土方の足元に屈み込んで、それを咥えた。
「あっ…」
「声、抑えてね」
「分か、てる…くっ!」
土方は歯を食いしばり、声が漏れ出るのを堪えた。
「んっ!…くっ…んんっ」
静かな部屋にくぐもった喘ぎ声と口淫の水音が響く。
室内灯は消えているが、障子から外の光が入ってくるため部屋の中は薄明るい。
微かに隊士たちの声や足音も聞こえてくる。真選組屯所内において、今この空間だけが異質であった。
「んんっ!んっ!…んー!」
(もうイキそうかな?)
口内のモノの感触で銀時は土方の限界を悟り、唇を窄めて激しく頭を上下させる。
土方は手の甲で自分の口元を覆った。
「んむっ…んっ、んっ、んっ…んっ!…くっ…んんーっ!!」
ガクガクと腰を震わせながら土方は達した。
銀時は口内に放たれたものを全て飲み込むと土方の着物の合わせを閉じる。
「てめ…何してやがる」
「何って、着物を整えようと…あ、その前にパンツ履かせなきゃね」
「まだ終わってねェだろーが」
「…もう一回出したい?」
「違ェ。もう口はいいからテメーをよこせ」
「え……」
銀時はどう反応してよいか分からなくなった。土方の怪我のことを考えるなら断るのが正しいと思う。
しかし、こんなにも積極的になっている土方の誘いに乗らないのはもったいない気もしてしまう。
銀時が理性と欲望の狭間で判断を決めかねていると、土方のイラついた声が飛んだ。
「ヤんのかヤんねーのかハッキリしやがれ!」
「や、ヤりません!」
「あぁ!?」
「怪我が完治したらいっぱいシよ?ねっ?」
すんでのところで理性が勝ったのは、怪我の原因が自分にあるという責任から。
(俺のせいで怪我したのに、更に酷くするわけにはいかねェもんな)
「分かった…」
「ごめんね。治ったら必ず…って、えぇっ!?」
銀時が安堵したのも束の間、土方は銀時の股間のファスナーを下ろして一物を取り出した。
「ちょっ…何してんのォォォ!?」
「なんだ…もう、完勃ちじゃねーか…」
「まあ、そうなんだけど…ちょっ、だから、何してんのって!」
土方は何処からか潤滑剤のボトルを取り出して、自分の掌に垂らした。
「慣らすからそのまま待っとけ」
「いやいやいやいや…俺、ヤんないって言ったよねェ!?」
「ああ、言ったな」
「そんで土方は『分かった』って言ってくれたでしょ?なのに何でこんな…」
「テメーはいつも俺が嫌だっつったってヤるんだ。だから今日はテメーが何と言おうとヤる」
「待って!それとこれとは状況が違うだろ!今は土方の怪我が…あー!そんなエロいことしちゃダメだって!」
銀時の目の前で土方は足を大きく開き、先程の潤滑剤に塗れた指を孔に挿入した。
「んくっ…」
(ヤバイヤバイヤバイ…今日の土方エロすぎ!でもダメだ!ここでヤったら治りかけの傷がまた…)
銀時はガチガチに猛った自身を無理矢理服の中に押し込んだ。
「あ、てめっ…しまってんじゃねーよ」
「だから今日は休まなきゃダメだって!土方のためなんだから、ねっ」
「このままヤらない方が辛ェ」
「ちゃんとイカせてあげるから」
「てめーでイキたい」
「うっ…お口で我慢して?」
「やだ」
「そんな可愛い顔しても今日はムリだから…うひょわっ!」
土方は再び銀時のモノを取り出し、口に咥えた。
「ちょっ…土方、離して!ヤバイっ!」
「んぐ…」
「ひひひ土方ァ!?」
一物を咥えながら土方は自らの秘書に指を埋め込んだ。
「んっ…んむっ、んぐっ…」
(何これェェェ!!俺のを咥えながら自分も……あー…こんなん、我慢できるかァァァ!!)
「むぐっ!」
銀時は土方の頭を両手で掴んで一物から口を外させた。
「おい、てめ…」
「もうムリ!我慢できない!」
「…へっ、やっとその気になったかよ…」
「全く…何でこんなにエロいんだろうね…」
「テメーに仕込まれた」
「はいはい…じゃあ責任とりますよー」
土方を四つん這いにさせ、銀時は入り口に自身の先端を宛がった。
「辛かったらすぐに言うんだよ」
「いいから早く来い」
「はいはい…」
「んあっ…」
ついに銀時のモノが土方のナカに挿入される。待ちに待った刺激に土方のモノは歓喜の蜜を溢れさせる。
銀時はそのまま一気に進みたい気持ちをグッと堪え、土方の体を労わるようにゆっくりとナカを進んでいく。
「もっと…」
「大丈夫。ちゃんとあげるから…」
「早く…」
待ちきれなくて強請る土方を宥めながら、銀時は慎重に挿入していく。
そしてすべて納めきると、そっと腰を動かし始めた。しかし、とっくに理性を手放している土方はそんな刺激では足りず
中を絞めたり緩めたりしながら腰を振った。
「んっ、あっ、あっ、あ…」
「ちょっ、ちょっと待って!そんなに動いちゃダメだって!」
「…じゃあテメーが動け」
「だから怪我が…」
「テメーが動かねェんなら俺が動く…んっ!」
「あー、分かった!俺が動くから土方はじっとしてて!」
「よしっ」
こうなったら早く終わらせて休ませるしかないと銀時は思い、土方の求める通り動きを進めたものの
それでも土方に負担がかからないように、強く奥を突くことはしなかった。入り口と前立腺の辺りを中心に刺激していく。
「あっ、ああ…あっ!」
「土方…声、抑えないと…」
「あっ…んむっ!」
土方は枕に顔を埋めた。銀時は土方のモノを握り、軽く扱いて射精を促す。
「ハッ…んんっ!ぎん、とき…もっと、おく!」
「…大丈夫なの?」
「もっと!あっ…早く!」
「…ちょっとだけだよ」
「んっ!…んむぅっ!!」
銀時が最奥を穿つと、土方は枕の両端を握り締めて喘いだ。
二度三度と突くと、銀時の手の中のモノがドクドクと脈打つ。
「んっ、んっ、んっ…んんぅっ!!」
「…っく!!」
土方が銀時の手を白濁液に塗れさせた直後、銀時はナカから自身を抜いて土方の身体に欲望を放った。
「ヤベェ…」
土方は達すると同時に意識を失ってしまった。
怪我の状態を確認しようと土方を表に反した銀時は焦った。傷を覆っているガーゼに血が滲んでいる。
銀時は急いで自分と土方の服を整え、勢いよく襖を開けた。そこには…
「あっ…」
「や、やあ…」
「どうも…」
真っ赤な顔の近藤と、苦々しい表情の沖田が座り込んでいた。
二人は其々書類を手にしていて、土方に用があって来たものの入るに入れなかったということが判った。
「え、えっと…」
「そそその、すまん…。トシにちょっと書類を見てもらおうとだな…」
「いや〜、治りかけの傷を抉るような真似するなんて、さすが旦那ですねィ。ドSの鑑でさァ」
「あ、いや、その…」
「それとも土方さんが、自分の傷に塩を塗り込みたいドMなんですかねィ」
「いや、あの、これはね…」
「これ、土方さんが起きたら渡して下せェ。それと、山崎あたりに救急箱持ってこさせますんで…」
「すいまっせーん…」
「さあ、近藤さん行きやしょう。ここにいるとホモが伝染りますぜィ」
「あ、あの…トシによろしく」
その後、山崎が来て傷のガーゼを取り換えたものの、やはり土方の怪我の状態は悪化していた。
そして我に返った土方から「完治するまで会わない」と言われ、銀時はそれを快諾するのであった。
(10.09.18)
土方さんは仕事より快楽を優先するような人ではないと思うのですが、それでも入院中に中途半端な禁欲生活(触るだけで挿入なし)をしていたので溜まってたんです。
そんな時に銀さんと布団が揃ったのでヤりたくて仕方なくなってしまったんですね^^ 銀さんは本気で休んでもらおうと布団を敷いたので(枕二つは冗談のつもりでした)
まさか土方さんがスイッチ入っちゃうとは思ってませんでした。傷の悪化、最中は夢中になってて気付かず、目が覚めて土方さんも「ヤベェ、痛ェ…」とかなったと思います。
それと、前半の後書きの方とは別の方から「(「病院ではお静かに」を読み)外で聞かれているシチュエーションが好きな事に初めて気付きました」というコメントもいただいたので
今回も聞かれてる設定にしました。 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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