お題配布元:銀魂深夜の即興小説45分一本勝負
ルール:発表されたお題に45分以内で小説を書き、そこから15分以内に発表する。
以下の作品は2014年6月8日に出されたお題「童心」で書き、pixivにアップしたものです 。







どうしん


思えば最初から万事屋の様子はおかしかった。


「土方くんお疲れ〜」
「遅ェよ」

いつものように仕事終わりに待ち合わせ今夜の飲み屋を探す。大分暖かくなってきたというのに
ヤツは屋台でおでんが食いたいと言い、まあいいかと付いて行った。

「マスター、いつもの」

普段より低めの声でそう告げて腰を下ろす万事屋。この時点で何かが変だと感じたが、とりあえず
隣に腰を下ろした。夜風と川の音に着流し一枚では心もとなく、俺は熱燗を注文する。

「なかなかいいバーだろ?」
「は?」

何を言ってやがると目で訴えてみたが万事屋はふっと笑い、焼酎のいちご牛乳割りを――

「焼酎じゃねェ、カミュだ」
「は?」
「マスター、今日のカミュもなかなかだぜ」

おい、何なんだよ!お前の飲んでるもんの何処がカミュなんだよ!何とか言え!これが聞こえ
てんのは分かってんだよ。さっき焼酎に反応したじゃねーか!おいこらクソ天パ!

「ふっ……」
「ふっ、じゃねェェェェ!!なめてんのかコノヤロー!」
「落ち着けよ土方」
「その話し方も腹立つ!!」

なに若干低めに声作ってんの?目と眉も近付けやがって、今更キャラ変更とか無理に
決まってんだろ。

「マスター、コイツにもカミュを」
「だからカミュじゃねーし、マスターでも……ん?」

カミュとマスター、聞き覚えのある組み合わせのように思えた。一体いつ?何かが見え始めた
俺の横で、万事屋は葉巻を咥えて火を点けた。コイツ、まさか……

「おい」
「何だ」
「今日のテーマは『童心』だぞ」
「そう。同し……へ?」

脱力した手からこぼれる葉巻を灰皿で受ける。やっぱり勘違いしてやがったな。

「童心?」
「童心」
「同心じゃなくて?」
「ああ。ンなもんがテーマになるか」
「マジでかァァァァァ!!」

項垂れるバカの横で俺はまだ火の点る葉巻を咥えた。おい、一旦バーに戻って立て直すか?

(14.06.09)


オンライン専門だと締め切りに追われることはまずないのですが(誕生日当日に間に合うように等はありますが)、
この企画に参加して初めて時間を気にしながら書く経験ができました。そのうちまた参加したいです。
ここまでお読み下さりありがとうございました。



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