※パラレル倉庫「その他」で書いたホスト金魂(金時&トシーニョ)設定です。
※金魂といっても特殊な設定なので「
生まれ変わっても…」および「生まれ変わったら……」を
お読みになってから土誕小説へ進まれた方がいいかもしれません。
※前作まで読む時間はないけど土誕は読みたい!という方や、昔の話の内容まで覚えてない!
という方のために簡単なあらすじを載せておきます↓
・二人は別々の店に勤めるナンバーワンホストです。
・金時(本名:坂田銀時、日本人)は元業界最大手(現・業界二位)の店のホスト。
・トシーニョ(本名:土方トシ、米と仏のハーフ、日本に帰化)は業界最大手の店のホスト。
・金時はゲイです。
・トシーニョは女装好きです。休日は基本女装ですが、女性になりたいわけではありません。
・二人が付き合っていることは客も店側も知っています。
・二人は原作設定から何度か生まれ変わり、その都度恋に落ちている設定ですが、
今回の話では特に生まれ変わりエピソードは出てきません。
・「生まれ変わったら……」のCPはリバですが、今回の土誕小説本文は非固定(攻受不明)です。
このように、おかしなホスト×ホスト話ですが、大丈夫だと思われた方は本文へお進みください↓
こんにちは。ナンバーワンホストの金さんこと坂田銀時です。またお会いできて光栄です。
今日は皆にナンバーワンホストならではの誕生日の祝い方をお見せします。
……えっ?誰の誕生日かって?フッ……そんなの決まってるじゃないですか。
世界でただ一人の愛しい存在……そう、コ・イ・ビ・ト。
仕事で培ったテクニックを総動員して最高の誕生日を演出……勿論、恋人はお客様とは違うから
費用は全て俺持ち。おっと……テクニックと言ってもベッドの中のテクニックじゃないからね。
そっちのテクはプライベートで磨くものだから。
そんなわけで、付き合ってから初めて迎える恋人の誕生日まであと二週間。
プランはもう凡そ決まっている。仕事の休みも取った。
ゴールデンウイーク終盤、客商売なら誰もが稼ぎ時の祝日に生まれた俺の恋人。
もしかしたら当日はどうせ仕事で会えないんじゃないかとか諦めているかもしれないけれど、
ナンバーワンである俺が本気を出せばできないことなんかない!
……まあ、ホストにとって最も稼ぎ時であるクリスマスとバレンタイン以外なら何とか
なるんだけどね。
皆も知ってると思うけど、俺の恋人は今隣に寝ている金髪の男。生まれも育ちも日本だが、
両親共に外国人の彼は、俺と違って生まれついての金髪だ。
ここはソイツの部屋。俺は昨日、仕事を終えてからここへ来て二人で「恋人らしい」夜を過ごした。
そして時刻は昼過ぎ……さて、そろそろ今回の主役を起こすとしますか……
「ひーじかーたくーん……」
「んっ……」
トントンと剥き出しの肩を叩きながら(二人とも裸で寝ました)愛する人の名前を呼べば、
ゆっくりと瞼が開いてキレイな碧眼がお目見え。
「メシ作るけど、お前も食う?」
「……ああ」
ヘッドボードの時計を確認して頷く土方。俺はその頬にキスをしてからキッチンへ向かった。
2012年土誕記念小説〜振替誕生日〜
「もうすぐお前の誕生日だな」
「そうだな」
朝食という名の昼メシを食いつつ誕生日の話題を出す。
当日まで内緒にしてサプライズってのは素人のやることだ。
祝われる方にだって色々と準備が必要だから、祝うよってことだけは前もって知らせておき、
どう祝うかは当日のお楽しみってのが正しいサプライズ。
愛しの土方くんもホストやってるから予め言っとかないと仕事になっちゃうもんな。
あ……
「我ながらいい日に生まれたよな……必ず休日だから、前夜祭も含めて早い時間からお客が
来てくれんだよ」
「そっそう、だね……」
忘れてたァァァァァ!!誕生日と言えばクリスマス、バレンタインと並んで最重要イベントじゃ
ねぇかァァァァァ!!ナンバーワンホストともなれば前夜祭から大賑わいで……当日どころか
前日から休んでる暇ねぇよ!!あ〜……レストランもホテルも予約バッチリだったのに〜……
今から変更できるか?ゴールデンウィークなんてどこも混んでるよなぁ〜……
「おい銀時、どうした?話振っといて……俺の誕生日、祝ってくれんじゃねーのか?」
「そう思って五日、休み取っちゃったんだ……」
「ありがとな。四日はギリギリまで店だから、五日は昼まで寝かせてもらえると……」
「あー、無理しなくていいよ。その後また仕事なんだから」
「は?五日は休みだぞ」
「……へ?何で?」
「誕生祭の翌日は必ず休みをくれんだ」
「……その、誕生祭が五日なんだろ?」
「トシーニョの誕生日は四日なんだよ」
「……は?お前、五月五日生まれじゃねーの?」
「そうだ」
どういうこと?コイツは五月五日生まれでトシーニョは四日生まれ?あれ?
トシーニョってコイツの源氏名じゃなかったっけ?あれぇ?
サッパリ分からない俺に土方は「言ってなかったか?」と聞く。言うって何を?
「トシーニョは五月四日生まれってことにしてんだよ」
「何のために?」
「誕生日くらいは休みてぇからな……」
「な、なるほど〜……」
誕生祭の翌日は必ず休み……前日を誕生日ってことにしとけば、本当の誕生日は休めるってわけか。
「ガキの頃は、当たり前だが、俺の誕生日は毎年休みでよ……だから今でも五月五日だけは
どうしても働く気がしねぇんだ」
「じゃあさ……外に出るのも面倒?」
五日に会えるのは良かったけれど、そこまでして休みたい日なら出掛けるのも……
「そんなことねーよ。……で、何処へ連れてってくれるんだ?」
「それは当日のお楽しみ〜」
「ほ〜ぅ」
土方の碧眼が挑戦的な色を湛える。
「じゃあ五日の二時、駅の東口改札な」
「待ち合わせすんのか?」
「ああ。それと、土方はいつも通り自分の好きな格好で来るように」
「……は?」
今は寝起きでそのままリビングに来たから、俺に負けず劣らずぴょんぴょん跳ねた金髪と
淡いブルーのシルクの寝巻き姿の土方。けど、普段は―きっと今日だって着替えたら―
スカートに、黒髪ロングヘアーのウイッグを高い位置でポニーテールに結び、メイクもして
可愛いトシ子ちゃんに変身。……あ、トシ子ちゃんって言うのは俺が心の中でそう呼んでるだけ。
本人は女物の服が好きなだけで、身も心も立派な男の子だから。
でも、女の子に興味のない俺に合わせて、二人の時はそれも控えめにしている。
そんなわけで折角の誕生日。俺の好みなんて気にせず思いっ切りお洒落してほしい。
そう思っていたけれど、土方はまだ俺に気を遣ってくれていた。
「オメーと出掛けるのにそんな……」
「土方の誕生日なんだし、好きにしなよ」
「けどお前は……」
「俺さァ、ゲイってだけで女嫌いじゃねェから。それとも土方くんは街中で襲って欲しいのかな?
確かにそれだったら男らし服装の方がいいけどね〜」
「ンなわけねーだろ。ただ、見るヤツが見れば俺が男だってすぐバレるぞ?そしたらオメーまで
変態だと思われるじゃねーか」
「別にいいんだけどね……。まあ、気になるなら目だけそのままにしてよ」
女の格好をする時、土方は黒髪に合うようにグレーのカラーコンタクトを入れている。
だけど、瞳が今と同じで青ければ外国人に見えて、多少ゴツくても誤魔化せる気がする。
土方もそれが分かったようだ。
「ブロンドのウイッグにした方がいいか?」
「その辺は任せるよ」
「……ありがとな」
「それは誕生日デートが終わってから言ってよ」
こうして、無事に誕生日デートの約束ができた。
* * * * *
五月五日。
俺は約束の三十分前に待ち合わせ場所へ着いた。持て成す側が遅刻するわけにはいかねぇからな。
そういえば、外で待ち合わせって初めてだ。いつもは前日からどっちかの家に泊まってるし。
土方、どんな格好で来るかなぁ〜。可愛い系?セクシー系?それとも……
土方が来るまでの三十分間、目の前を通り過ぎる女の子達の服を土方が着たところを想像しては、
あれは似合いそうだ、ああいう格好はやめてほしいな、などと考えていた。
「よっ」
「…………」
待ち合わせ時間ぴったりに現れた土方の格好は俺の想像と全く違っていた。
生まれながらの碧眼は事前の打ち合わせ通り。ブラウンの……マスカラ?付け睫毛?どっちか
分からないけど、睫毛が上向きにカールしてていつもよりおめめパッチリ。
オレンジ系のアイシャドウと同系色の口紅がくどすぎずいい感じなんだけど……
「何でスカートじゃねぇの?」
「は?」
今日の土方は、淡いグリーンのハイネックに細身のパンツというスタイル。
「俺に遠慮せず、好きな服着て来てって言っただろ」
「だから女の格好で来たんじゃねーか」
「そうだけど……」
確かにちゃんとお化粧してるし、おっぱいもちょっと出てるし(土方曰く、盛りすぎると
不自然になるので巨乳にはしないらしい)、ピンクダイヤの十字架ネックレスとおそろいの
ピアスも可愛いから女装は女装なんだけど……今まで見た「普段着」の中で一番男っぽい服装だ。
「もっと、ヒラヒラフリフリした服にすれば良かったのに……」
「何処行くか聞いてなかったから、動きやすい服の方がいいと思ってよ」
「そっちか……。じゃあまず、その辺でスカート買おうぜ」
「別にいいって。これも好きで着てんだからよ。それより、オメーの方こそ何で銀髪なんだ?」
「ああ、これ?いつもとちょっと違うデートにしたくてさ」
俺は久しぶりに髪を生まれついた銀色に戻した。
土方の誕生日を本来の姿で祝いたいってのが理由だが、恥ずかしいので内緒。
俺達は話しながら改札の中へ入る。
「……で、何処に連れてってくれんだ?」
「大江戸タワー展望台」
「へえ……」
大江戸タワーってのは、この春下町にできた新しい電波塔だ。
タクシーで行ってもよかったんだけど、タワーのオープンに合わせて駅も新しくなったから
電車で向かう。
「チケット、よく取れたな。抽選じゃなかったっけ?」
「そうなんだけどね……」
オープン間もないタワーの入場券は、抽選で当たった人しか買えない仕組みになっている。
「これね、栗子ちゃんからのプレゼント」
栗子ちゃんはトシーニョのお客さんで、親父さんが警察のお偉いさんだから色んなツテを
持ってるらしい。
「彼女が先月ウチの店に寄ってさ……誕生日当日は自分達が独占しちゃう代わりに、
せめて翌日はトシーニョ様と楽しく過ごして下さいって。いい娘だね、あのコ」
「そうだったのか……じゃあ、土産でも買って行かねーとな」
「展望台で写メ撮って見せてあげれば?」
「……今日の俺達の格好じゃ、誰だか分からねーかもな」
「ハハッ、そりゃそーだ」
大江戸タワー周辺は大勢の人で賑わっていたが、皆、タワーを見上げたり展望台から景色を
見下ろしたりするのに夢中になっていて、俺達は思いのほか普通のデートができた。
地上六百何十メートルのタワーを前にしたら、トシ子ちゃんのデカさも霞むってもんだ。
デカい女だとジロジロ見られて男だとバレる心配もない。
俺にしたって、この毛色を珍しがって見てくるヤツもいないから……ほら、俺達が手を繋いでも
全くもって問題ない。
栗子ちゃんはそこまで考えてチケットをくれたわけじゃないと思うけど、夜の街以外にも
俺達が普通に過ごせる場所があるんだと分かったのは収穫だったな。
こうして、まったりタワーデートを楽しんだ後は予約したレストランでフレンチフルコース。
ここは個室になっていて、夜景も見えるし恋人同士にピッタリ。
仕事で浴びるように飲むワインも今日はゆっくり味わって、コースの最後のデザートは
土方の分だけチョコレートでHappy Birthdayの文字。
そんなに甘い物が好きじゃない土方も、こればかりは美味しそうに食べてくれた。
さてと、後はホテルに行っていちゃいちゃするだけだな。
……ん?プレゼントはどうしたって?チッチッチ……何か物をあげるだけが誕生祝いじゃない。
今日こうやって一緒に楽しく過ごすのが、俺からの誕生日プレゼントなんだよ。
物より思い出って言うだろ?だいたい「物」はもう既に色んな人から沢山もらってるしね。
ナンバーワンホストのトシーニョは、お客様からも店からもプレゼントもらいまくりだ。
だから俺は敢えて「物」のプレゼントは贈らない。だけど勿論これで終わりじゃない。
誕生日デートの最後を飾るに相応しいプランを考えている。
それはこの後を読めば分かるんだけど……色んな事情で読めない人もいると思うから簡単に
説明だけしておくな。
俺は今夜、女の子の格好をした土方と愛し合うつもりだ。
土方のことは好きだけど女の子に興味のない俺は、黙っていれば女に見えるトシ子ちゃんには
欲情しない。だからいつもはメイク落としてリボン外して……でも今日はトシ子ちゃんと!
* * * * *
一番大切な人が生まれた一番大切な日。
「ありのままの」土方と一つになれた俺は心の底から思った……生まれてきてくれてありがとう。
(12.05.02)
今年の土誕はトシーニョ誕です。相変わらずホスト設定がたいして活かされていないし、デートも端折っていてあまり誕生日っぽくもありませんが^^;
パラレル小説の中でも特殊設定の部類に入るこの二人ですが、管理人はかなり気に入っているんです。毎回、土方さんの服装を考えるのが
大変でもあり楽しくもあります。今回はスカートにするかパンツにするか、間をとって(?)チュニックにするか悩んだ結果の産物です。普段着として
女物を愛用しているからこそこういう女装もありなのかなと思いました。
この後のおまけはリバエロになります。なるべく早くアップしますので、18歳以上でリバOKで女装OKの方はよろしくお願いします。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
追記:おまけのリバエロ書きました。こちら→★