※WJ22・23合併号、第四百九十一訓ネタです。大丈夫な方のみスクロールしてお読みください。











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真実はいつも一つ


桂の潜入を許したため大爆発に見舞われた真選組屯所。幸い死者は出さずに済んだものの、建物の
損傷は著しいものであった。
爆破の衝撃でアフロヘアーとなった沖田は言う。

「こりゃ土方さん一人野宿させるくらいじゃ寝床が足りませんねィ」
「何で俺の野宿は決定してんだ!」

掴み掛かる土方の髪もアフロ。

「アンタの指示で配線切ってドカンですぜ?」
「あっあれは終がZだと……」
[スイマセーン]

爆破には巻き込まれていないがアフロの斉藤終が足を引きずりながら帰還した。マスクの下に
小型スピーカーを付け、物影にトランシーバーを持つ万事屋を伴って。喋らない斉藤に代わり、
銀時らが代弁する。

[Z以外と言いたかったのデスガ、口下手でスイマセーン]
「それより足はどうした?桂にやられたのか?」

土方は直ぐさま医療班を呼び付ける。被害の少ない縁側に斉藤を座らせ治療が始まった。

[本当にスイマセーン]
「安心しろ終、これは来週になれば元通りになる感じの爆発だ」

次回は何事もなかったように髪も屯所も戻るはずだと、ギャグ漫画のセオリーを土方が説けば、

「そうですぜ終兄さん。来週まで土方さんを追放すれば済むことでさァ」

と沖田も悪乗り。

「だから何で俺なんだよ!」
「終兄さんの話を最後まで聞かなかったのは誰でしたかねェ」
「う……」

土方が怯んだことで沖田は畳み掛ける。

「おっといけねェ、今週は合併号でした。再来週まで消えてて下せェ土方さんっ」
「おわっ!」

後ろから振り下ろされた沖田の刀を何とかかわし、土方は庭に逃れて己の刀に手を掛けた。

「再来週どころか永遠に消す気かテメー!」
「バレちゃ仕方ねェ」
[二人ともイケマセーン]

一触即発に思えた土方と沖田の間、足に包帯を巻いた斉藤が割って入る。

[今は喧嘩をする時ではアリマセーン。ましてや殺し合いなど以っての外デース]
「終の言う通りだ。トシも総悟も刀を納めろ」

近藤(当然アフロヘアー)に窘められて二人は渋々ながら戦闘態勢を解いた。斉藤の話は続く。

[事を起こすなら毎週月曜日、タダシ合併号の翌週は休み、これがこの世界の理デース]
「終?」
[アニメもない今、我々が動けるのはジャンプの中だけ。人気投票一位と二位のくせに、そんな
ことも分からないのデスカ。所詮、圧倒的人気の主人公を除いた投票。上位ダカラッテでかい顔
するんじゃアリマセーン]

勿論これは銀時の台詞。だがそうとは知らない土方は怒りの矛先を斉藤に切り替えた。

「投票後に出てきた新参者が偉そうに……」
[名前ダケナラ十一巻に出てました。だから私は知っていマス]
「何を?」
[アナタが再来週まで何処にいるつもりなのかを、デス]
「なっ!?」

少しも表情を変えずに核心を突く斉藤――のように見えてその実、本人も銀時の言葉に合わせて
いるだけで何も分かっていない。顔を真っ赤にして狼狽えだした副長にどんな秘密があるのかと、
銀時の方をちらりと伺った。
一方で、新八と神楽も銀時が斉藤を通して何を言うのか、そもそも何故まだこんなことを続けて
いるのか分からず、じっとその横顔を見詰めていた。

「トシ、出掛ける用事でもあるのか?」
「いっいや、何もねーよ」
[誕生日デース]
「終っ!」
[自分の誕生日を大事な人と過ごすつもりなのデース]
「終ぅぅぅぅぅぅ!!」

マスクの上から口を塞ぎ、これ以上は言うなと無言で圧力をかける土方。ひた隠しにしてきた
恋人の存在をこんな形で公言するわけにはいかない。
しかし実際に話しているのは斉藤ではなく銀時である。土方の威しなど何処吹く風。

[眠りのシマゴロウはすべてお見通しデス]
「……シマゴロウって誰だ?」

トランシーバーを握る銀時へ新八が小声でツッコむ。

「もしかして、眠りの小五郎のパクリですか?」
「この状況はまさにそうだろ」
「土方さんには伝わってないみたいですよ」
「眠りのアフ狼がいいアル」
「その方が語呂いいね」
「るせっ。アイツ、ジッチャンの名にかけて派だから分かんねーんだよ」

気を取り直し、銀時は斉藤として話し始めた。

[とにかく、この名探偵の目はごまかせマセーン。アナタは誕生日と合併号に託けて恋人と
いちゃいちゃしまくる予定なのデース]
「だだだ誰が……」
「へぇぇぇぇ、土方さん恋人がいたんですか?」
「水臭いぞトシ、何で教えてくれなかった」

慌てふためく土方に口角を上げつつ、銀時は決定打を放つ。

[その恋人が坂田銀時だからデス]
「えええええええっ!?」
「えええええええっ!?」

塀の外から響いた新八と神楽の叫びは、近藤とその他近くにいた隊士達の声に掻き消された。

「トトトトシ、本当なのか?」
「近藤さん、あのな……」
[証人も呼んでマース]
「は?」

軽々と塀を乗り越え銀時が顔を出す。トランシーバーは新八に預けて。

「どうも」
「テメー……」

未だ斉藤の発言のからくりに気付かない土方は、銀時が口を滑らせたに違いないと睨み付けた。

「バレちまったもんは仕方ねぇよ」
「だがな……」

土方から否定の言葉が出てこないことで二人の交際を確信し、周囲はざわめく。けれどもう土方は
覚悟を決めていて、気に掛かるのは己より万事屋の子ども達のことであった。囃し立てるか聞かな
かったことにするか陰口をたたくか……隊士達の反応など精々その程度であろう。だが銀時を兄の
ように父のように慕う新八と神楽はどうだろうかと。
そんな土方の気持ちが容易に推測できて、銀時はふっと笑みを零した。

「新八と神楽にも言っといたから大丈夫。つーことで……」
「おっおい!」

土方の左手首を掴み、銀時は正規の玄関に向かって歩きだす。土方もついていく羽目になるが、
手を振り払い留まることも不可能ではない。にもかかわらず足は同じ方角へ進んでいて、また
銀時はふっと笑った。

「再来週までお借りシマース」
「……何でカタコト?」
「やべっ」
「つーかお前、いつからあそこにいた?」
「そっそれでは皆さんまた来しゅ……再来週〜!」

じゃなと手を振る銀時の視線は塀の上、新八と神楽に向けられていた。新八からトランシーバーを
奪い、神楽は斉藤のスピーカーを通じて「お幸せに」と応える。
こうして二人は公認の恋人同士となった。

(14.04.29)


どんな話も私の脳内を経由すると銀土銀に繋がるのですが、特にこの二人が揃って出る話は色々妄想が尽きません。
銀さんが真っ先にバラした内偵日記が土方さんの秘密(盗み食い)だったり、語尾が「腐れ副長」だったり、
土方さんのことが気になって気になって仕方ない感じがもう……Oo(≧▽≦)oO
ここまでお読み下さりありがとうございました。



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