※WJ1号・第四百七十二訓ネタです。
※同じタイトルの話が銀土・土銀でありますが、別物です。
※登場人物はさっちゃんと一応銀さんのみです。
※カップリングはリバです。
※大丈夫と思われた方のみお進みください↓









   ↓














土方十四郎VS猿飛あやめ


土方と中身が入れ替わり、元に戻るため俺の魂が半分入ったらしい猫を探している最中、
段だら模様の羽織を着たさっちゃんと遭遇した。部下の忍者を引き連れて、言葉をしゃべる猫の
元へ向かったかに思えたさっちゃんだったが、何故か一人こちらへやって来た。
もしや俺だとバレた?やっぱり入れ物が替わったくらいじゃこの主人公オーラは隠しきれねェか。
まいったね、こりゃ……

「よくもまあ、のこのこと私の前に姿を現せたものね土方十四郎!」

あ、違ったみたい。つーか何?こいつら仲良いの?そんな話聞いたことないんですけど。
まさか俺に内緒で……なぁんてことはねェな。土方に限って。

むしろ内緒なのは俺達の方。

「聞いてるの!?」
「あー、何?」

何じゃないわよと、忍にあるまじくドスドス足音を立てて怒るさっちゃん。約束でもしてたのか?

「この格好を見て、何とも思わないのっ!?」

自分の胸に手を当て、次に両手を広げて羽織をひけらかす。「万事屋五番隊隊長」と衿に書かれた
文字を読んでやればさっちゃんは得意げに笑った。

「そう!私は万事屋の一員なの!銀さんの家族なの!」
「良かったじゃねーか……」

どうでもいいといった体裁を取りながら内心では焦っていた。さっちゃんは何で俺(土方)に
こんな話をするんだ?俺と土方の関係は特定秘密に指定されてもいいくらいの事実のはずなのに。

俺達は少なくとも週に一度は会い、少年誌では描けないようなエロいことをヤりまくっている。
そんなことは誰にも言えやしない。俺は新八にも神楽にも秘密にするからゴリラにも言うんじゃ
ねェって、それでアイツも納得して付き合ってきたんじゃねーの?何でさっちゃんが俺のことで
土方に突っ掛かってきてんの?勘繰り過ぎてるだけならいいんだけどよ……

「悔しい?私の部下としてなら雇ってあげてもいいわよ」
「結構です」
「アナタの銀さんへの愛ってそんなものなの!?」
「…………」

遂に決定打。この二人が親しげにしている様子なんて全く想像できないが、土方から情報が
漏れたのは確実だ。あの野郎、よりにもよってこんな妄想力逞しいヤツに……

「俺の愛は海より深いに決まってんだろ」

土方は後で問い質すとして、今はアイツらしく振る舞っとかねーと。「銀さん大好き」的な態度を
とっておけばいいだろ。へへっ……俺に断わりもなくバラした罰だ。この体を取り戻した日にゃ、
往来で堂々と惚気た男として恥ずかしい目を見ればいい。

「俺は銀時を愛するために生まれてきたんだ」

ぷくく……さっちゃんもぽかんとしてる。そりゃそうだ。土方がンなこと言うわけねーからな。
だがこんなもんじゃ許さねーよ。

「銀時のためなら全てを捨てても構わない!」
「な、ならどうしてまだそんな黒ずくめなのかしら?」

漸く持ち直したさっちゃんだが……黒いからなんだよ。土方は制服も私服も、ついでにパンツも
全部黒なんだよ。まっ、今は「銀さん」してるせいで白い着物着てるけど。
俺の手に掛れば白どころかピンクだって着させられると、自慢しそうになって言葉を飲み込む。
マズイマズイ、俺は今、土方なんだから。

「何を着ようと俺の勝手だろ」
「なぜ万事屋に入隊してないのかって聞いてるのよ」
「あ?」
「アナタも勧誘されたはずよ。私が覗……見せてもらったナニは、万事屋に引き込む銀さんの
作戦だったんでしょ?」
「覗く、つった?今、覗くって言ったよな?」
「何よ今更……前にも言ったけどあれは銀さんが見せてくれたの。そういうプレイなの!」
「ンなわけねーだろ」

だって銀さんちっとも知らなかったし。
つまり土方がバラしたのではなくストーカーが調べ上げちまったと。で、どっちが銀さんに
愛されているか、愛しているかで争っていたと、そういうことか。なるほどなるほど……

一刻も早く例の猫を見付け出さなきゃなんねぇんだが、それはアイツらの大将――俺の体に入った
土方くん――が何とかしてくれんだろ。だったら俺は、万事屋の一員になって勝った気でいる
さっちゃんを大人しくさせておこう。

「俺と銀時は身も心も繋がってるから、俺は万事屋に入らなくてもいいんだよ」
「フッ……負け惜しみ?そうよね。今から入ったって私の下の下……もう十四番隊くらいじゃ
ないかしら」
「その理屈で言うとお前、元テロリストとホームレスより下ってことになるぞ」

確かヅラは三番隊、長谷川さんは四番隊だったはず。
うるさいわね――痛いところを突かれたさっちゃんは、歯噛みしつつも俺を睨み付ける。

「万事屋ファミリーでもないアナタに言われたくないわ!」
「ハァー、仕方ねぇ……」

本当のことを教えてやる――いいこと思い付いてずいと距離を詰め、挑戦的に笑ってやれば、
さっちゃんの頬がぽっと染まった。……これだからイケメンは困る。いとも簡単にフラグが
立ちやがって……だが相手はさっちゃん。その辺の女子とはわけが違う。

「なっ何よ!そんなドS顔したって無駄なんだから!」

俺の内側から滲み出るS性に魅了されちまったらしい。……それはそれで、さっちゃんが土方を
見直した感じになって微妙だな。
ごめんなさい銀さん――ここにはいない「銀さん」に許しを請うてさっちゃんは俺にビシッと
指を差した。

「アナタがドMだってことは調べがついてるのよ!先週は銀さんに突っ込んでいながら縛られて
喜んでいたし、その前なんてローションなしで突っ込まれて痛がる割りに早くイッたじゃない!」
「いつも見てんのかよ!!」
「何それ嫌味?どうせ四日前はアナタに見付かって追い出されたわよ!」

とりあえず毎回覗こうとはしてるわけだ……恐ろしい女だなァおい。
……つーことは土方って、さっちゃんに見られてるかもしれないと分かった上でヤってんの?
実は人目を気にしながらヤる方が燃えるタイプ?そういうことなら次はそんなプレイもいいな。
俺も嫌いじゃないしね。

「ちょっと!そのドS顔をやめなさい!」
「あー、はいはい」

見られてるプレイを想像してまたS性が溢れ出てしまったようだ。

「で?本当のことって何なのよ」
「あー、それね……」

ドSのフリだ何だと言う割にちゃんと聞いてたのか……

「実を言うと俺も万事屋の一員なんだ」
「何番隊?」
「特別部隊だ」
「そんな部隊がいるなんて聞いてないけど」
「当然だ。銀時専用の部隊で、隊長も隊員も俺一人だしな。……何てったって特別だから」

今のところさっちゃんは俺達がデキてるとは思っていない。ていうか何を見ても俺が彼氏だという
妄想にすり替えられる。しかし、土方よりも俺に近いと誤解させたままというわけにもいかない。
こう言っておけば少なくとも「仕事上」俺が土方を優遇してんのは伝わるだろ。

「本当にそんな部隊があるの?」
「ああ」

そう簡単には信じてもらえないか。「銀さん」の言葉なら一発なのによー……

「何で制服を着てないの?」
「特別だから服装も自由なんだよ」
「仕事内容は?」
「銀時の望むことなら何でも。身の上相談から下の世話まで」
「何ですって!?ずるいわ!交代しなさい!」
「俺の希望じゃなく銀時の指名だからな〜」
「指名!?銀さんがアナタを選んだとでも言うの!?」

あれ?なんか銀さんが土方くんのことすげー好きみたいな感じじゃね?訂正訂正……

「違った。立候補か、推薦だったかも?あっ!猫を無傷で捕らえるって試験があったような……」
「猫ですって!?捕まえたら銀さんの銀さんまでお世話ができるの!?教えなさいよ!ねえ!」
「ちょっ……」

ここで猫を絡ませたら名案だと思ったのに、さっちゃんは俺の衿を締め上げてガクガク揺する。
苦しい苦しい〜……

「殺す気かボケェェェェェ!」
「きゃっ……」

命の危険を感じ、俺はさっちゃんの頭をはたいた。
……といってもそんな強くじゃねーぞ。こんな変態でも一応俺を慕ってくれてる女だからな。
本気で殺されるとも思ってねェし。
なのに何で呆然としてんだよ。

「あの……さっちゃん?」
「ダメよ!私には銀さんという人が……」
「は?」
「アンタみたいなドMにぶたれたって気持ち良くなんかないんだから!」
「違ぇよこの変態!」
「見くびらないで!どんなに冷たくされたって銀さん以外の男にときめいたりしないわ!」

そう叫ぶさっちゃんの顔は真っ赤になっている。おいおい、大丈夫か?こんなんで惚れてたら、
いつかとんでもねェ暴力受ける羽目に……俺の脳裏に浮かんだのは「鬼」と呼ばれるV字ヘアー。
今まさに俺がソイツなのだが、「本人」もさっちゃんに優しくするわけねェし、俺の体を得た
鬼はストーキングに嫌気がさして「近付いたら切腹」なんて言いそうだ。ていうか絶対言った。
で、その理不尽な行動制限に喜びを覚えた変態忍者は「銀さん」に忠誠を誓い万事屋五番隊を
結成と……ん?この場合、彼女は銀さんに惹かれたの?銀さんの中身である土方さんに惹かれたの?

うん、余計なことを考えるのはやめにしよう。最も優先すべきは俺の魂の半分が入った猫の確保。
そんで元の体に戻れりゃ、万事屋組は初期メンバーを残して解散させて終わりだ。

「とにかく銀時は今、しゃべる猫を探してんだ。俺はソイツを見付け出し、献上するつもりだ」
「残念だったわね。その猫なら私の部下が既に始末してるはずよ」
「生け捕りがいいと言ってたんだけどなァ……」
「それを早く言いなさいよ!」

素早く屋根に飛び上がると、さっちゃんは猛スピードで駆けていった。
思考はあれだが忍者としての実力は申し分ない女だ。これで猫も無事捕まえられるはず。
猫が出たという四丁目へ、俺はのんびりと足を進めた。

いよいよ完全体銀さんの復活か……戻れると思うと折角のこの状況、もっと楽しんどきゃ良かった
なんて思っちまう。
とりあえず戻ったら、さっちゃんに見られてたことを隠してた罪で、土方にお仕置きかな。

(13.12.06)


入れ替わった銀さんと土方さんがいちゃいちゃする話も書きたいのですが、そっちは本誌ネタとしてじゃなくても書けるのでこちらを優先しました。
何度か言ってますが、土方さんとさっちゃんの組み合わせが好きです。打たれ強いドM同士(笑)。土方さんは無自覚Mですが^^;
次号発売前にアップできてホッとしてます。ここまでお読み下さりありがとうございました。



メニューへ戻る